古都・飛騨&高山エリアをアクティブに楽しもう! 前編(岐阜県・飛騨・高山エリア)

岐阜県の最北端に位置し、北を富山県に接する飛騨&高山エリア。東側には標高3000mを超える北アルプスの名峰が連なり、それらが織りなすダイナミックな景観は圧巻です。さらに歴史、アクティビティ、グルメ、温泉ほか、バラエティに富んだ旅スポットも充実しています。今回、12日でその魅力をたっぷりと満喫してきました。2編に分けてご紹介します。

 

神岡町で待っていたのは!

東京から飛騨&高山エリアへのアクセスは、北陸新幹線で富山駅(最速2時間10分)をめざし、そこからレンタカーかJR高山本線を利用して向かうのがおすすめです。富山駅から南下し、岐阜県の玄関口となるのが飛騨市神岡町。かつて東洋一の規模を誇った神岡鉱山とともに発展し、大きな花街もあって大変にぎわったところです。鉱山は2001年に鉱石の採掘を休止しましたが、今も往時の暮らしを彷彿とさせるレトロな街並みが残っています。

大自然を満喫 レールマウンテンバイクGattan Go!!

この町でぜひ体験したいのが、「レールマウンテンバイクGattan Go(ガッタンゴー)!!」です。2006年まで神岡町内には鉄道が走り、住人や物資の輸送手段として重要な役割を担っていました。廃線後、その駅舎や線路を利用して誕生したのがGattan Go!!です。線路の上をマウンテンバイクで走る新感覚の乗り物で、今や観光客に大人気のアトラクション。2007年に営業を開始して以来、約50万人もが乗車しています。

漆山駅の駅舎は受付に。記念グッズも販売

コースは山間の絶景のなかを駆け抜ける「渓谷コース」と、年齢にかかわらず、そしてペットも一緒に楽しめる「まちなかコース」の2種類があります。今回は渓谷コースを体験しました。旧・漆山駅をスタートし、二ツ屋トンネルまでの片道3.3kmの区間を往復する、所要約50分の行程です。

運行期間は4月上旬から11月下旬。2023年は11月26日まで

マウンテンバイクの車体は、ガイドローラー付きのフレームでレールにがっちりと固定してあり、脱線する心配がなくて安全。電動アシスト付きなのでペダルが軽く、体力や脚力に自信がない人でも楽々こげます。21組になっており、自転車の間にはボックス型の観覧シートも設置されています。

渓谷コース用の車両。観覧シートを含め、最大3人乗車可能

木漏れ日が降り注ぐなか、深山に向けていざ出発! 道中はアップダウンがなく、ストレスフリーで進めます。レールの継ぎ目の上を通るたび「ガッタン、ゴットン」という音や振動を感じ、まるでローカル線の運転士になったような気分を味わえます。この音こそ、Gattan Go!!の名前の由来なのです。

ヘルメットと安全ロープを身につけ、出発進行!

旧・神岡鉄道は「奥飛騨の地下鉄」とも言われ、全線の6割にトンネルや鉄橋があるほど山深い場所にあります。サイクリングの道中にも、大きくカーブした高架橋や色鮮やかな鉄橋など次々と歴史の遺構が現れます。また、山が一気に開けた谷間に差しかかると、開放感たっぷりで気分爽快。幾重にも重なる山の稜線を一望でき、眼下には高原川の清流も望めます。

変化に富んだ景観が続き、運転が楽しい! 大人だって大はしゃぎ

何より、一番印象的だったのはトンネルです。中の灯りは自転車のヘッドライトのみ。自分の手元すらまったく見えないほど真っ暗で、気温も少しヒンヤリとしています。ときには天井から浸み出した地下水がポタリと落ちてくることもあり、とってもスリリング。もはや一緒に自転車をこぐ仲間の声だけが心の支えです()。一方、トンネルを抜けると、今度は真っ赤な鉄橋がそびえ立ち、素晴らしい景観が待っています。間近で眺める鉄橋は想像以上のスケール! 自転車で通るからこそ味わえる迫力満点の光景です。

トンネルは、まるで異次元にワープするルートのよう

 自然あり、トンネルあり、鉄橋あり、この土地ならではの醍醐味がギュッと詰まったGattan Go!!は、まさにほかでは体験できないようなサイクリング。冒険心が刺激され、50分があっという間です。特に渓谷コースの沿線は、地元の人が神岡鉄道のなかで最も自然が美しいと話す場所。緑が鮮やかな春や夏もおすすめですが、10月下旬から11月上旬にかけての紅葉の時期もとても素敵だそうです。ブナ、ミズナラ、クロモジなどを中心とした紅葉で、シーズンには一帯が朱色から黄金色のあたたかい色に包まれてメルヘンチックな雰囲気になります。ぜひ、足を運んでみてくださいね。

提供:レールマウンテンバイク事務局

ランチは殿さま気分で 史跡 江馬氏館跡庭園

体を動かした後は、歴史ロマンを感じながらのランチタイムを堪能しました。神岡町を含む北飛騨エリアは、室町時代から戦国時代にかけて武将・江馬氏が治めていました。その江馬氏の下館跡は現在「史跡 江馬氏館跡公園」となっており、園内には主人が客の接待に使った会所や庭園などが復元されています。中世の武家館と庭園をともに復元したのは全国でもここだけとのこと。当時と同じ景色を同じ視点で眺められます。そのため両者は国の名勝に指定され、さらに館跡は歴史的価値の高さから国史跡にも指定されています。

庭石にまつわる地元の伝承を元に発見され復元

会所は食事場所としても利用できます。庭園に面した広い客間を備えており、眺望抜群! 中央に枯池を据えた庭園には築山や地元産の景石が配され、その背後には雄大な飛騨の山々が連なっています。かつて江馬のお殿様も眺めたであろう、この景色を追体験すれば、おのずと悠久の歴史に思いを馳せるというもの。優雅な気分に浸り、穏やかな時間を満喫できる心地のいい空間でした。

庭石の配置は飛騨の山並みを表現したという説も

ランチのメニューは、神岡町にある料亭「花の家」の「蒸し寿司」。玉子焼きをのせたちらし寿司の蒸籠蒸しで、酢飯の上には甘辛く炊いた干しシイタケ、レンコン、タケノコなどものり、ほんのり甘く優しい口あたりです。神岡町の花街が栄えた時代を今に伝える一品で、往時はこうした華やかな料理が贅沢に並び食膳を彩ったといいます。

飛騨春慶の蒸籠に盛られた蒸し寿司

蒸し寿司は3日前までに予約すれば、この施設への訪問時間に合わせて出前をしてくれます。このほか、体験・観光予約サイト「VISIT岐阜県」では観光案内と組み合わせた観光ツアーも実施しています。また、江馬氏が賓客をもてなした際の料理を再現した「江馬・室町 饗応膳」の出前も可能です。詳細は道の駅スカイドーム神岡内「お食事処ひだ小僧」へ問い合わせを。

大自然の芸術に圧倒 飛騨大鍾乳洞

午後はさらに南下し、高山市にある飛騨大鍾乳洞を訪ねました。この鍾乳洞は約25千万年前、海だった場所が隆起してできた鍾乳洞。標高900mほどの地点にあり、国内に約80ヵ所ある観光鍾乳洞のなかでもっとも高所に位置しています。また、洞内の気温は年間を通して10度前後しかありません。私が訪れた日、平地は猛暑でしたが、ここは夏でも羽織が必要なほどの涼しさ。食後の運動がてら散策するにもぴったりの環境でした。

洞内は絶好の避暑スポット

洞内は3つのゾーンに分かれています。第1洞は、比較的若くて繊細な鍾乳石が集まっている洞内一の見どころゾーン。鍾乳石をライトアップした幻想的な空間が広がっています。この照明は鍾乳石を美しく見せるためだけでなく、鍾乳石を守るために行っているものでもあり、白い光を当てないようにしてコケを生えにくくしているそうです。

第1洞の名所「竜宮の夜景」と「夢の宮殿」

 続く第2洞から先はグッと道幅が狭くなり、急階段や坂が増えて探検気分を味わえます。第3洞はワイルドさではゾーン随一。大胆な割れ目があったり、天井が見えないほどの高さまで続いたりする、スケールの大きな鍾乳洞に出合えます。ただし、足腰に自信のない人は要注意。この鍾乳洞ではゾーンごとに出口を設けているので、必要に応じて利用するといいでしょう。

第3洞の絶景「洞穴シールド」

飛騨大鍾乳洞は、ヘリクタイトという珍しい鐘乳石が多く見られることで有名です。ヘリクタイトは先端を左右に捻じったり曲げたりしながら自由奔放に成長した鍾乳石で、その見た目はまるで根菜類のひげ根のよう。どうしてそんなふうに成長するのか、見れば見るほど不思議でなりません。学術的にも珍しく、日本で一番多く見られるのがこの鍾乳洞だそうです。

左上のほうに見えるのがヘリクタイト

また、おなじみの石柱や石筍に加え、細長く、中央が空洞になったストロー、鍾乳洞の壁を這うように成長したフローストーンなど、洞内は神秘的な鍾乳石のオンパレード。大自然が生み出す造形美には見惚れるばかりです。ネーミングも「竜宮の夜景」「夢の宮殿」といったロマンチックなものから「国会議事堂」「テンガロンハット」などのユニークなものまでバラエティに富み、約800mの見学ルートは見ごたえたっぷり。驚きと感動の連続です。

写真スポットもいっぱい。「王冠」は高松宮殿下による命名

興味深いのは、洞内にお酒の貯蔵庫を設けていること。お酒は低温で長期熟成すると、独特のまろやかな味わいが生まれるといわれています。その点、ここは温度変化の少ない理想的な環境にあり、日本酒、焼酎、ワインを貯蔵しているそうです。洞内で熟成させたお酒は、併設の売店でオリジナルの洞窟低温貯蔵酒として販売しています。もちろん、1本購入。飛騨の風情にぴったりだったので日本酒の「飛騨の地酒(特別純米)」を選びました。さっそく夜に晩酌です♪

日本酒なら2年ほどで飲み頃に。最長10年間のボトルキープも可能

奥飛騨温泉郷平湯温泉の名湯 岡田旅館

 奥飛騨温泉郷にある平湯温泉で宿泊。乗鞍岳の麓に湧く平湯温泉は、奥飛騨温泉郷で最古といわれる名泉です。その一角にある岡田旅館は、4本の自家源泉をもつ老舗の温泉宿。館内は和の趣にあふれ、客室では北アルプスの山並みを一望しながら奥飛騨の旅情を存分に感じることができます。

客室数70室の大型旅館。奥飛騨温泉郷の山を借景にした立地

大浴場は内湯が2つ、外湯が2つ。4本の自家源泉により湯量豊富な源泉かけ流しの湯を楽しめます。温泉はほんのりと硫黄が香る無色透明の温泉で、肌馴染みのいいやわらかな湯が特徴です。宿の自慢は、何といっても開放感たっぷりの庭園露天風呂。間近に迫る飛騨の山並みを仰ぎながら入浴でき、非日常の時間に浸れます。このほか、神岡鉱山の鉄で作った「鉄鍋露天風呂」も名物。約37度の低温風呂なので、じんわりと体が芯から温まっておすすめです。

手前が庭園露天風呂、右奥が鉄鍋露天風呂 提供:岡田旅館

夕食は、奥飛騨の食材をふんだんに盛り込んだ会席コース。飛騨牛を使ったコースは、すき焼き付きの「風会席」、陶板焼き付きの「花会席」、「飛騨牛の鉄板焼き」の3種類があります。この日、私がいただいたのは一番人気の「花会席」です。飛騨牛は、しっとりとした肉質や口どけのよい上質な脂のうま味が格別。ふっくらと焼き上げた鮎も肉厚で、日本酒との組み合わせも最高です。地元産の食材などを使った全12品もの滋味深い料理が供され、大満足の夕食でした。また、卵とじにした「漬物のステーキ」、野菜の「朴葉みそ焼き」など数々の郷土料理並ぶ朝食もおいしかったです!

花会席。食事は宿泊プランにより異なる

 

古都のイメージが強い飛騨&高山エリアですが、今回紹介したようなアクティブな楽しみ方もできることはご存じでしたか? 後編では、奥飛騨の自然と、レトロモダンな町巡りができる飛騨市古川町にスポットをあてるのでお楽しみに!

 

【参考サイト紹介】

  • 参考サイト

レールマウンテンバイク「Gattan Go(ガッタンゴー)!!

https://rail-mtb.com/

史跡 江馬氏館跡庭園

https://www.hida-kankou.jp/spot/284

VISIT岐阜県

https://gifu.visit-town.com/area/area01/

道の駅 スカイドーム神岡

https://www.skydome.jp/

飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」

https://www.hida-kankou.jp/

飛騨大鍾乳洞

https://www.syonyudo.com/

岡田旅館

https://www.okadaryokan.com/

岐阜県では1229日までの平日の宿泊を対象にした、ぎふ旅コイン付き宿泊プランを実施中。

「おトクな平日★ぎふとりっぷ」キャンペーン

https://www.kankou-gifu.jp/article/detail_210.html

 

(取材協力:飛騨市まちづくり観光課、岐阜県観光誘客推進課、高山市観光課)

 

取材・文/田喜知久美

 

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