ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

第40回 皇室ゆかりの名宝を展示する美術館が、皇居東御苑にオープン!(東京都・千代田区)

皇居東御苑旧江戸城の大手門近くにある三の丸の地に、113日、「皇居三の丸尚蔵館」がリニューアルオープンしました。

皇居三の丸尚蔵館 外観(写真提供:皇居三の丸尚蔵館)

長い歴史を通し、皇室は代々伝わる国内外のすぐれた美術品を蒐集し継承してきました。奈良時代の聖武天皇の遺愛の品々が納められた正倉院宝物はよく知られる通りです。“御物”(ぎょぶつ)と称されるこれらは、これまで保存や管理がなされていましたが、その多くが皇室から離れて国有となりました。

そして、1989年、上皇陛下と香淳皇后は皇室に代々受け継がれた御物の中から約6千点にも及ぶ美術品を国に寄贈され、その保存・研究・公開のため、199311月に皇居東御苑内に「三の丸尚蔵館」を開館。一般公開がスタートしました。

その後、旧秩父宮家からのご遺贈品や香淳皇后の遺品、三笠宮家などからのご寄贈品も加わり、30年に及ぶ活動に伴い、収蔵能力が限界に近づいたこともあり、2019年から新たな施設の建設が進められました。そして、温度湿度管理のできる収蔵庫と展示室を拡充し、バリアフリー機能を強化した新しい建物として、2023113日に「皇居三の丸尚蔵館」と名をあらたに、リニューアルオープンの日を迎えたのです。

《日出処日本》横山大観 昭和15年(1940)皇居三の丸尚蔵館収蔵
 [展示期間:202414日〜33] (写真提供:皇居三の丸尚蔵館)

以前の三の丸尚蔵館を訪問した方はご存じかと思いますが、御物を展示するにしては入館無料だったとはいえ、「狭い・・・」と思わずにいられない施設でした。それもそうで、展示面積は約160㎡しかなかったとか。

皇居三の丸尚蔵館が2026年に全面開館すると、広さはなんと約1,300㎡に! 収蔵庫の面積も約980㎡から約4,000㎡へと大幅に広くなるそうです。リニューアルを機に入館は有料になりましたが、国宝や皇室ゆかりの品々を快適になった空間で見られるのですから、ありがたいものです。

国宝《唐獅子図屏風》(右隻)狩野永徳 桃山時代(16世紀)皇居三の丸尚蔵館収蔵
[展示期間:2024521日~623] (写真提供:皇居三の丸尚蔵館)

新たに建設された館内に入ると、やはりどこか雅な雰囲気が漂います。丸みを帯びた天井にやわらかさを感じますし、白と茶をメインにした色合いも落ち着いています。皇居・宮殿の欄間に使われているひし形のモチーフもあちらこちらにあしらわれています

丸みを帯びた天井が印象的

開館を記念して現在、開館記念展『皇室のみやび受け継ぐ美』(4期に分けて、2024623日まで)と、特別展示『御即位5年・御成婚30年記念 令和の御代(みよ)を迎えて天皇皇后両陛下が歩まれた30年』(20231224日まで)を開催中です。国宝の伊藤若冲の《動植綵絵》(いとうじゃくちゅう/どうしょくさいえ)も全30幅の内、8幅を第1期と第4期に分けて公開されます。

展示風景より)国宝「動植綵絵」伊藤若冲 [2023年12月19日時点で上記4点は展示終了]

2023年1128日~1224日は国宝《動植綵絵 貝甲図》を展示

展示風景より)ローブ・モンタント[2023年12月24日まで全期間展示]ほか

フルオープンの際はミュージアムショップもできるとか。今から楽しみですね!

皇居三の丸尚蔵館 ※日時指定予約制
https://shozokan.nich.go.jp/

おひとり様ポイント
皇居三の丸尚蔵館鑑賞後はぜひ皇居東御苑(公開日は公式サイトで確認)の散策へ。フユザクラ、南天、椿、蝋梅、梅など冬の植物に出会えますよ。

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