トコトコ東北 by 川崎久子

第27回 郡山駅前にいるなら食べるべき!地産グルメを満喫(福島県・郡山市)

居酒屋 安兵衛のお刺身盛り合わせ。身の締まった鯉の歯応えも楽しめます。
メイプルサーモンは西郷村の特産で、カナダ原産のニジマスを改良した大型トラウトのこと。

鯉、食べたことありますか?海沿いで生まれ育った私は、大人になるまで鯉を食べたことがありませんでした。はじめて口にしたのは、新潟県の温泉旅館にて。夕食の一品として鯉のあらいが供されて、その意外なおいしさに触れたのでした。

鯉を食べる文化は各地で見られますが、食用鯉の産地はというと、茨城県と福島県でトップを競り合っている状況。市町村単位のデータを見ると、福島県内の生産量の8割を占める郡山市が全国1位なのです。

そもそも郡山市で鯉が盛んに養殖されるようになったのは、「第24回郡山歴史散歩[前編]駅からてくてく、日本遺産のストーリーを追いかけて」でご紹介した明治時代の一大事業、安積疏水が関係しています。開拓事業で使われなくなった灌漑用のため池があったこと、当時養蚕が盛んで鯉の餌である蚕のサナギが豊富にあったことなどの要因が重なり、海のない土地の貴重なタンパク源として鯉の養殖が行われるようになったのだとか。

鯉は別名“薬用魚”とも称され、タンパク質のほか、脂質・ビタミン・ミネラル類も豊富に含み、利尿効果や血液の巡りをよくするほか、肝機能の改善、冷え性などにも効果が期待できます。なんて、いいことづくし!毎日食べたくなります。

郡山は鯉の生産量は全国1位ですが、数年前まではいざ食べるとなると提供するお店は数軒しかありませんでした。しかし、近年「鯉に恋する郡山プロジェクト」をはじめ、さまざまなPR効果もあって、鯉料理を提供する店は90店あまりに増えています。

郡山駅前で気軽に鯉料理を味わえるお店の一つが、「居酒屋 安兵衛」。郡山駅から真っ直ぐ延びる駅前大通りから一本入った路地裏に立つお店です。

郡山駅から徒歩約5分の場所にある飾らない雰囲気の大衆居酒屋。

“地域密着”を謳う居酒屋だけあって、メニューを開けば地産の食材を使用した料理や地酒がずらり。鯉料理はお刺身、なめろう、唐揚げをラインアップしています。鯉の他にも郡山市内の農園から届くジャンボなめこや、白河市のお隣・西郷村産のメイプルサーモン、会津地鶏など、福島県内の魅力的な食材をたっぷり堪能できます。地元の名物を肴にグラスが進むことうけあいです。

鯉の唐揚げはポン酢でさっぱりいただきます。臭みが全くなく、美味。

ジャンボなめこの天ぷら。ジャンボなめこは通常のなめこの数倍はあります。
大きい方がぬめりも多いのだとか。

郡山の老舗酒蔵・笹の川酒造の本格芋焼酎「郡山太郎右エ門」をハイボールで。
上品な味わいで、普段焼酎を飲まない私もグイッといけました。

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ