世界のファインダイニング by 江藤詩文

第44回 みんなで星12個・9人のスターシェフが博多を彩った一夜限りの晩餐会「Dream9」前編(福岡県・博多)

新しい時代が始まったー。そうまざまざと体感した昨年下半期。日本のフードシーンも、まさに「息を吹き返した」ということばがふさわしく、ものすごいスピードで動き出しました。

今回は2022年末に開催された、新時代を象徴する華やかな一夜のダイニング体験を前後編でご報告します。

2022年12月17日、福岡・博多の新施設「010 BUILDING」の1階にオープンした「GohGan」(*関連記事はこちら ) に日本を代表する9人のシェフが集まりました。

(前列左から、cenci 坂本健さん、GohGan 福山剛さん、villa aida 小林寛司さん、デンクシフロリ 清水将さん、後列左から、Florilege 川手寛康さん、La Cime 高田裕介さん、傳 長谷川在佑さん、Ode 生井祐介さん、Stove+ 齋藤毅さん)

2021年11月に開催された「合餐2021 Gohsan 7chefs in Fukuoka」(*関連記事はこちら )の拡張版として、また、九州から初めて「アジアのベストレストラン50」にランクインするなど(*関連記事はこちら )、20年間にわたって“西中洲の太陽”として九州の希望であり続けた名店「La Maison de la Nature Goh」を閉店し、料理人としての集大成となる新しいステージへと進む福山剛さんを祝福するために、誰ひとり欠けることなく駆けつけたのです。

読者のみなさんにはすでにおなじみの7人にプラスして、今年はcenci 坂本健さん(*関連記事はこちら  )とStove+ 齋藤毅さん、ふたりのニューフェイスが加わりました。

それではさっそくこの日のメニューを登場した順にご紹介します。

SNOW   La Cime 高田裕介さん

2022年「世界のベストレストラン50」41位、2022年「アジアのベストレストラン50」6位、「ミシュランガイド京都・大阪2023」二つ星(*関連記事はこちら )(*関連記事はこちら

文旦のコンフィチュールをアクセントに、生ホタテ、ホタテのジュレ、ドライカリフラワー、カリフラワーのパウダー、カリフラワー、山わさびのエスプーマ、バターミルク、ホタテの出汁、ほぐしてから再度乾燥させた干貝柱を重ねた雪のような白い世界。

前回と同じく「最初に終わらせて他のみんなを手伝いたい」とトップバッターを務めた高田さん。この伏線が後ほど大きく役立つことに。

カブ  Florilege 川手寛康さん

2022年「世界のベストレストラン50」30位、2022年「アジアのベストレストラン50」3位、「ミシュランガイド東京2023」二つ星(*関連記事はこちら)(*関連記事はこちら*News 2023年は新店舗に移転予定

みかんの葉で香りをつけながら塩釜で蒸した聖護院かぶら。ヨーグルトと糠で発酵させたかぶのピュレと、菜種油でとろみをつけた傳特製「傳たいこ」のソースを添えて、イタリアンパセリ、セルフィーユ、ディルをトッピングしました。

「BAO」Ode 生井祐介さん

2022年「アジアのベストレストラン50」13位、「ミシュランガイド東京2023」一つ星

ブーダンノワールをイメージして豚の血を加えた蒸しパン。スパイシーな自家製ケチャップを加えた舞茸のデュクセルを包み、香茸のバターソースを添えました。

「コースの中にパンがないので」と、前回のデニッシュに続いて粉モノを担当した生井さん(実は粉ものがお得意なのだそう)。「みなさんに熱々をお届けしたいから」と、今回も安定の全員総出(*前回の記事を参照してください)でお手伝いとなりました。

ラディッキオのパッケリ  villa aida 小林寛司さん

2022年「アジアのベストレストラン50」14位、「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山2022」二つ星

ゆであがるまでに30分もかかる食べごたえ抜群の大きなリング型パスタ「パッケリ」。これに能登「高農園」のラディッキオと、和歌山「小川農園」のトピナンプールを鳥と豚の出汁で炊いたものを具材として、煮詰めたホロホロ鳥のジュを合わせました。

前編はここまで。料理の続きは後編をお楽しみに。

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ