ついに2024年が始まりまして、連載も41回目となりました。気づけば4年目に突入!いつもお付き合いくださってありがとうございます。
今年の一回目は「ニホンノカタチ」という点では、この連載を始めるずーっと前から気になっている町中のアレ。その佇む姿をついカメラに納めたくなるのは私だけじゃないはず。
そう、昔はどの町でも見かけていた円柱型の赤いポストのことです。
現在都内在住の私にとってはすっかり珍しくなってしまって、地方に出かけると時々再会できるため、やっぱりその場の風景と共にカメラに納めたくなってしまいます。
かつて主流だった丸型ポストは、イギリスの「Pillar Box」の影響で日本でも採用されて、1901年に原型が日本橋に初めて登場したそう。その後進化をしながら1949年に今の形となり、その後1970年に四角い箱型のポストが登場するまで、その姿はあちこちで見かけられました。その赤い色は町の中で目立つように、そして円柱型なのは、通行人の邪魔になったり怪我をしないように...そんな配慮があったようです。
では、機能美溢れた丸型ポストが何故箱型にシフトしてしまったのでしょうか。
それはポストの中の仕組みのようで、郵便物の容量の問題以外にも、回収の際に箱型ポストは郵便物が中に吊るされた袋に入るため、袋を新しいものと交換するだけなのに対して、丸型ポストは小さな取出し口から手でかき出さなくてはならないのだとか。確かに回収する側のことを考えれば箱型の方が効率的ですね。
日本全国の雪国や森の中、はたまた海辺に...と様々な風景に映える赤とそのフォルムのレトロ感漂う可愛らしさ。全国で残るのが4000本余りという希少価値ゆえに、現在は保存傾向にあるようです。なんと「全国丸型ポストサミット」が開催されるほどの人気だとか。
ちなみにこの丸型ポスト、正式名称は「郵便差出箱1号(丸型)」と何やらお堅め(笑)
みなさんの町に丸型ポストはいくつ残っていますか? そんなことを考えて歩いてみるのも楽しいかもしれませんね。
最後にこちらは先日赴いたスイスのアルプス山脈の山、ユングフラウの鉄道の駅に設置された日本の丸型ポスト。
1993年、今からちょうど30年前に日本の富士山5合目簡易郵便局(標高2305メートル)とユングフラウ山岳郵便局(3454メートル)との間で姉妹関係の提携が実現したのを記念に、富士山にはスイスの黄色いポスト、スイスには赤いポストが設置されることになったそうです。ここから実際に郵便物を送れるそうですよ。まさか海外で丸型ポストに出会うとは思ってもみませんでした。