今日も古墳日和 by 多田みのり

第21回 渓谷やオシャレカフェとともに巡れる等々力エリアの個性派古墳!野毛大塚古墳と等々力渓谷3号横穴(東京都・世田谷区)

【古墳プロフィール】
名  称:野毛大塚古墳(のげおおつかこふん)、等々力渓谷3号横穴(とどろきけいこくさんごうおうけつ)
古墳の形:野毛大塚古墳は帆立貝形古墳、等々力渓谷3号横穴は横穴墓
時  代:野毛大塚古墳は5世紀初頭、亀甲山古墳は7世紀
整備状況:いずれも都指定史跡として整備
野毛大塚古墳
等々力渓谷3号横穴

前回から多摩川左岸の台地上にある荏原台古墳群を巡っています。今回は世田谷区側の「野毛古墳群」から、野毛大塚古墳と等々力渓谷3号横穴をご紹介しましょう。田園調布から尾山台、等々力と閑静な住宅地が続き、あまり古墳のイメージはないかもしれませんが、現代人が住みやすい場所は古代の王にとっても好立地。多摩川に沿って古墳が点在しています。

まず、23区内唯一の渓谷として知られる等々力渓谷を訪ねます。渓谷の崖に横穴を掘って作られた等々力渓谷3号横穴が口を開けています。後述する野毛大塚古墳が作られた後の、古墳〜奈良時代にかけてこの辺りでは横穴墓が作られました。等々力渓谷横穴群は有力農民の墓とされ、3基が発掘調査されています。

完全な形で残る3号横穴の全長は約13mあり、ガラス窓からは羨道と玄室が見られます。

発掘により3体以上の人骨や、須恵器や土師器、ガラス小玉などの副葬品が出土しました。

1、2号横穴は塞がれてしまい、標識がないとわかりません。
すぐ上には目黒通りが通る、こんな賑やかな場所にも古代人は眠っているのです。

続いて、渓谷の脇の玉川野毛町公園内にある野毛大塚古墳へ。5世紀初めに造られた古墳で、直径約67mの円形部に、長さ約15m、幅約28mの前方部がついた、帆立貝型古墳という特異な形をしています。墳頂には埋葬施設が4カ所あり、関東最古の鉄製甲冑や石製品など様々な副葬品が数多く見つかりました。特に武器・武具の出土がずば抜けて多く、南武蔵の大首長墓と考えられています。

公園内にあるためピクニック客や子供達に親しまれていて、いつ訪れても賑やかな古墳です。
階段がつけられ、墳頂まで登ることができます。

前方部のそばの案内板に墳形を示した模型があり、帆立貝の形がよくわかります。

墳頂には4カ所の主体部の埋葬状況を示したタイルが貼られており、
どこにどんなものが埋葬されていたかがわかるようになっています。

★古墳日和ポイント★
前回の起点の多摩川駅から、今回の野毛大塚古墳の最寄りの等々力駅までは5kmほど。のんびりと古墳巡りを楽しめるコースです。

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