ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

第43回 今年のお花見はどこへ行く? アートと一緒に楽しむスポット4選(東京・京都・山梨・長野)

六本木一丁目近辺の桜並木

そろそろ各地で桜の開花宣言がされる頃ですね。よく知られるお花見の名所へ出かけるのもいいですが、美術館と一緒にお花見するのはいかがでしょう。今回は桜とともにアートも楽しめるスポットをご紹介します。

 ひとつ目は、大使館やサントリーホール、教会などが並ぶ、東京の六本木一丁目・赤坂の泉ガーデン、城山ガーデン近辺です。以前ご紹介した、泉屋博古館 東京、日本で現存最古の私立美術館「大倉集古館」、展示品も美術館の空間自体もおおいに美意識が反映された「菊池寛実記念 智(とも)美術館」が徒歩圏内に点在します。そして、これらのミュージアムをハシゴしながらお花見が楽しめます。

泉屋博古館 東京

ふたつ目は、京都駅から電車で約15分の山崎にあるアサヒグループ大山崎山荘美術館です。朝日麦酒株式会社(現アサヒグループHD)の初代社長・山本爲三郎氏が支援した民藝運動に関連する作品や、クロード・モネの《睡蓮》をはじめとする西洋画などを見られます。

美術館へと続くトンネル

そして庭園はなんと約5500坪! 広大な庭園に枝垂桜、染井吉野、八重桜とさまざまな桜が順に咲きますので、長く楽しめます。昭和初期に完成したチューダー・ゴシック様式の英国風別荘を生かした本館、安藤忠雄設計の地中館も見事ですので、ぜひお花見と一緒に美術館も訪れてくださいね。

  枝垂桜の大木

美術館近くには、日本の木造モダニズム建築の傑作ともいえる1928年築の住居「聴竹居」がありますので、併せて訪れてみては。こちらは事前予約制です。

最後は、山梨にある「清春芸術村」です。芸術村という名にふさわしく、広大な敷地内に十六角形の建物「ラ・リューシュ」、ロダンや梅原龍三郎などの作品を所蔵する「清春白樺美術館」、谷口吉生氏設計の「ルオー礼拝堂」、安藤忠雄氏設計の「光の美術館」、建築史家で建築家の藤森照信氏による「茶室 徹」などが点在します。そしてこの村を彩るのが、約30本の桜。樹齢90年を超えていますが、今もなお力強く毎年花を咲かせています。

内部は通常非公開の「茶室 徹」

車で清春芸術村を訪れた時は、ぜひここから車で40分ほど行った長野県・諏訪へも足を延ばしてください。同じ藤森照信氏による茶室「空飛ぶ泥舟」「高過庵(たかすぎあん)」、地面の下の茶室「低過庵(ひくすぎあん)」「神長官守矢史料館」が集落に点在します。案内板もほぼないので見つけるのは大変ですが、ぜひ季節に合わせて訪れてみてくださいね。

 空に浮かぶ茶室「空飛ぶ泥舟」。茶室はいずれも内部は通常非公開

◇おひとり様ポイント◇
にぎやかなお花見スポットは大勢でワイワイするのが楽しいですが、アートとともに向き合うお花見はおひとりや少人数でしっとりと。

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