ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

第26回 歴史的価値の高い近代化建築を活用した、ニトリが生んだアートエリア「小樽芸術村」前編(北海道・小樽市)

小樽芸術村 左:似鳥美術館 右:西洋美術館(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)

国や市のみならず、企業や企業の創業者が美術館を建てることは昔からよくあります。旅恋で以前ご紹介した、倉敷の大原美術館(現クラレや現クラボウの大原財閥)、京都と六本木にある泉屋博古館(住友財閥)、磐梯高原の諸橋近代美術館(スポーツ・アパレル『ゼビオ』の創業者・諸橋廷蔵氏)、京都嵐山にある福田美術館(某企業の福田吉孝氏)など、数えきれないほどです。そして、北海道・小樽にある「小樽芸術村」もそのひとつです。

似鳥美術館1階のステンドグラスギャラリー

2016年7月に開設された「小樽芸術村」は、北海道で生まれた、家具・インテリア大手のニトリグループが、小樽が栄華を誇った20世紀初頭の歴史的な5つの建物を活用した複合アートスポットです。

大正時代から昭和初期の建設当時の歴史的価値の高い建造物や倉庫が今も多く残る小樽。ですが、時代の変遷とともに所有者が変わり、建物の保存や補修には多額の費用がかかるため、残念ながら取り壊しになってしまうことも少なくありません。そんな中、元々札幌に本社がある道内の企業であるニトリが、北海道への恩返しの意味を込めて開設したのが「小樽芸術村」です。

 小樽芸術村のステンドグラス美術館として活用されている旧荒田商会
(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)

大正12年築の旧北海道拓殖銀行小樽支店は「似鳥美術館」に、昭和10年築の旧荒田商会と大正12年築の旧高橋倉庫は「ステンドグラス美術館」、昭和2年築の国指定重要文化財の旧三井銀行小樽支店は銀行建築の資料館として。そして、2022年4月にオープンした「西洋美術館」は大正14年築の旧浪華倉庫(なにわそうこ)が使われています。ちなみに、小樽芸術村は2020年10月からは公益財団法人 似鳥文化財団が運営しています。

似鳥美術館の近代・現代の日本画フロア(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)

小樽は札幌駅からJRの特急で約30分、新千歳空港からも直通の特急なら約70分の便利さ。小樽駅から10分ほど歩けば小樽芸術村があります。

そして、完成から100年近く経った「小樽芸術村」の5つの重厚な歴史的な建物は、芝生広がる中庭を介して歩いて行き来ができるようになっています。入館は、1館ごとのチケットとお得な4館共通チケットがあります。4館すべてまわろうと思うと、それなりに時間がかかりますが、共通チケットでは入館しなかった館については後日行くこともOK。小樽に1泊して、2日間に分ければ4館すべて訪問できるのもうれしいポイントです。

1泊して、夜の小樽運河散策もおすすめです。これからの積雪の季節はより幻想的

後編ではそれぞれの美術館についてご紹介いたします!

小樽芸術村 https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/

<参考>
都市ホテル「OMO5小樽 by 星野リゾート」の旅恋アンバサダーによる滞在記はコチラ
小樽運河など歴史的価値の高い小樽の紹介記事はコチラ

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