アケスケ的イチ推し古墳探訪 by 多田みのり

和を学ぶラグジュアリーホテル「ホテル龍名館お茶の水本店」

2014年8月1日、東京・お茶の水で創業116年の歴史を刻む老舗旅館が、高級ラグジュアリーホテルとしてリニューアルオープンしました。高品質のサービスと日本ならではの和のもてなしをテーマにした都会の隠れ家ホテルを、多田と関屋が訪ねてきました。

20141022ryumeikan32.jpg●文化人に愛された名旅館の伝統を継承して

 JR御茶ノ水駅からニコライ堂を見遣りながら坂を下ってほどなく、「ホテル龍名館お茶の水本店」が姿を現します。12階建てビルの1階と2階部分がホテルになっており、エントランスには石灯籠が立ち、和の風情を醸しています。

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 ホテルの前身である「旅館龍名館本店」は、明治32(1899)年にこの地で創業。選び抜かれた調度品や什器を備えた総2階建ての建物で、客室は全室庭園に面して造られ、その庭には西洋館を設けてコックが洋食を提供するという、時代の最先端をいく旅館として知られていました。文人墨客の利用も多く、幸田露伴の次女・幸田文は、小説『流れる』で、帝国ホテルと並び在京の名店として挙げているほか、画家の伊東深水や川村曼舟などもひいきにしていたそうです。その後、高度成長期に高層ビル化し、営業を続けてきました。

 今回のリニューアルでは、旅館時代の伝統と格式、もてなしの心を最大限に生かしつつ、客室は9室のみにして全室ジュニアスイート仕様のスモールラグジュアリーホテルへと生まれ変わりました。
 運営には、5年前に東京駅前に開業した「ホテル龍名館東京」のマーケティングノウハウを活用。予約がとりにくいことで知られ、トリップアドバイザーでは23区内650ホテルのうち常にトップ10入りするという人気の姉妹店で知り得たニーズを元に、9室だからこそできるきめ細やかなコンシェルジュサービスを提供しているとのこと。これは期待が高まります。

●まるで高級温泉旅館のような、優雅で上質な空間

 それでは早速、ホテルに入ってみましょう。
 エントランス正面には木目の内装に旅館時代の古い看板が飾られ、重厚感を漂わせます。書棚をバックにしたフロントは、椅子に腰掛けてチェックインできるようになっており、一見するとホテルのフロントではないようなシックな雰囲気。日本人はもちろんのこと、訪日観光客をターゲットに据えているとのことで、館内随所に上質の「和」を取り入れています。1階にはほかに、後ほどご紹介するレストラン「GREEN TEA RESTAURANT 1899 OCHANOMIZU」が併設されています。

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 2階には、9室の客室とライブラリー、リフレッシュルームがあります。客室は番号で呼ばず、「桜」「松」「菊」などすべて花の名前がつけられています。実はホテルのコンセプトのひとつに「学ぶホテル」を掲げており、外国からいらしたお客様にひとつでも日本語の花の名前を覚えて欲しいという想いが込められています。ゆえに「cherry blossom」ではなく「SAKURA」、「pine」ではなく「MATSU」なのだそう。スタッフは全員、日常英会話だけでなく「わびさび」などの日本独特の抽象的な概念も説明できるよう特訓されています。

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お部屋入り口のプレートは、お茶に因んでティーポットの形をしています。
部屋ごとに異なるので、見比べても楽しめます。水龍のモチーフもかわいいですね。

 この日は、角部屋の「松」にご案内いただきました。
 入り口で旅館のように靴を脱ぎます。格子の引き戸を開けて部屋に入ると、何とも居心地の良い空間が広がります。客室は52〜62平米の広さを確保し、畳が敷かれたスペースもあります。調度品は落ち着いた色調でまとめられ、旅館創業当時のデザインを取り入れた障子からは、柔らかな日差しが差し込んでいました。客室までスタッフがアテンドし、室内各所の説明をしてくれるとのことです。

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お茶の湯気をモチーフにした絨毯スペースと、畳敷きのスペースがあり、
日本人は落ち着きを、外国人は和を感じるよう配慮されています。

●リピーター続出の秘訣は、ベッドとお風呂

 オープンからまだ2ヶ月ちょっとですが、すでに4〜5回宿泊されているという熱心なリピーターもいらっしゃるそう。その理由のひとつは、こだわり抜いたベッドとお風呂にあります。
 ベッドは、京都で180年以上続く寝具製造会社・イワタ社のベッドマットレス「ラークオール」を採用。馬などの天然毛を使った高品質のマットレスで、しっかりとした固さが特徴です。国内の工場で匠の手によってオーダーメイドで作られており、関東のホテルで使用しているのはここだけとのこと。あまりの寝心地の良さに、朝起きられなかったというお客様が多いとか...。ぜひ寝心地を試してみたいです。またベッドカバーには細かい和風の地模様が入っており、とても素敵でした。

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(左)手でぐっと押しても沈み込まない固さが魅力のベッド。抹茶色のクッションもかわいいです。
(右)見えますか?光をあてると浮かぶ地模様が、繊細で奥ゆかしい和の美を感じさせます。

 そしてお風呂。特注の信楽焼の湯船が好評で、このお風呂に入りたくていらっしゃるお客様も多いそう。径110センチの湯船に包みこまれるような湯浴みのひとときは、温泉旅行気分を手軽に味わうのにぴったりです。実際、「箱根に行く時間はちょっと取れなくて...」という、都内在住のエグゼクティブな方々の宿泊が多いとのことでした。

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(上左)しっとりとした信楽焼の質感が、バスタイムを上質かつ安らぎで満たしてくれます。
(上右)風呂敷に包まれたアメニティも和風の装い。「まかないコスメ」のスキンケアグッズも。
(下)バスアメニティは緑茶入りで色も美しい「トリプルC」を用意。購入も可能です。

 客室には、インターネット無料アクセスをはじめ、CDおよびDVDプレーヤーやミニバー、茶器、コーヒーメーカー、アイロン&アイロン台、セーフティボックス、LEDデスクライトなどの豊富な備品があらかじめ用意されています。部屋に入った当初から、会話の邪魔にならない程度の音量で音楽が流れているのもおもしろい試みです。ベッドサイドには、海外製品対応のマルチタイプのコンセントも2つありました。また、江戸型染作家の小倉充子さんに、周囲を散策してデザインしてもらったという浴衣と下駄もあり、散策に出かけることもできるそうです。東京・お茶の水にいながら、温泉気分♪ なんだか不思議な感覚ですが、完全に日常と切り離されずにリラックスできるのも、多忙なビジネスパーソンにはちょうど良いのかもしれません。

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 またもうひとつの人気の理由は、小さいホテルだからこその決断力の早さ、フットワークの軽さが挙げられます。フロントスタッフがお客様から直接いただいた意見をすぐさま取り入れて変えていくこと。わずか9室だからすぐに変えられるし、挑戦できる。大きいホテルでは真似できない、まるで個人商店のような現場主導の柔軟さが、ホテルの魅力を大きく育てています。若手の意見も積極的に取り入れているとのことで、上記の備品などにも彼らのアイディアが盛り込まれているとのことでした。

●訪日観光客を意識したパブリックスペース

 オープンしてまだ間もないため、外国人の利用は全体の10%ほどだということですが、観光地へのアクセスが良い立地を生かして、今後はより多くの訪日観光客を取り込んで行きたいと考えているそうです。そのための施設としてライブラリーとリフレッシュルームを用意しています。
 海外のお客様はフライトの関係上、早朝にホテルに到着してしまいますが、ほぼ満室で稼働しているホテルでは、アーリーチェックインはできません。そこで、
チェックイン前にリフレッシュルームでシャワーを浴びてさっぱりしてもらい、その後はライブラリーでのんびり寛いだり、1階レストランで朝食をとったりし
て過ごしてもらえるシステムになっています。これなら海外からのビジネスでのお客様や友人にも、自信を持って紹介できますよね。

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ライブラリーにはガイドブックや日本文化を紹介する英訳本、コーヒーメーカーなどが備えられていて、
日本での最初の一日を有意義に始められる、素敵なサービスです。

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リフレッシュルームにはランドリーと洗面台、シャワールームを完備しています。
2階廊下には江戸時代の古地図が飾られたスペースもあり、外国人のみならず日本人も目を引かれます。

●地名に因んで「お茶」をテーマにしたレストランを併設

 ホテルのリニューアルオープンに併せて、「茶を食す」をコンセプトにしたレストラン「GREEN TEA RESTAURANT 1899 OCHANOMIZU」も同時オープンしています。そもそも「お茶の水」という地名は、徳川二代将軍秀忠が鷹狩りの帰りにこの地の湧水を沸かしたお茶を飲んだところ大変良い水だと褒め、以来毎日この水を献上することになったことに由来します。そのエピソードに因み、日本茶を「淹れる」「食べる」ことをメインにした、新感覚のレストランということで話題を呼んでいます。

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 レストランは朝食からディナーまで中休みなく営業していて、宿泊客でなくても利用することができます(朝食6:30〜11:00、ランチ11:00〜15:00、カフェ14:00〜17:00、ディナー17:00〜23:00)。木目調の店内に加えて、抹茶色のパラソルが目を引くテラス席がビジネス街のオアシスのようで、ランチ時は近隣ビジネスマンたちの利用も多いそうです。

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私はスタッフオススメの「太陽とみどりの煎茶」をいただきました。1煎目はスタッフが適温に入れてくれたものを、
2、3煎目は、ポットから自分でお湯を注いでいただきます。3煎目になっても渋みが少なく香りが良くて、軽やかに味わえました。
スイーツは「1899手作りプリン抹茶蜜がけ」。甘く滑らかなプリンに、抹茶の香りとほろ苦さが絡まり、美味でした。

 私たちは、カフェを利用させていただきました。カフェタイムには、茶葉の産地を視察して厳選した日本茶10種を提供しています。お茶をいれる専属スタッフ「茶バリエ」が、茶釜を置いたカウンターキッチンで、それぞれの茶葉に合わせたお湯の温度や抽出時間を見極めながら淹れてくれます。それだけでも楽しみですが、さらに壁に並べられた約50種の湯のみ茶碗の中から、好みのものを選ぶことができるんです。気に入ったお茶碗で、ゆったりと香りと味わいを楽しむひととき...とっても寛げました。ほかに、「自家製てづくり抹茶プリン」や抹茶アイスが添えられた「米粉のパンケーキ 丹波産黒豆入り」などのスイーツもあり、文字通りティータイムを楽しむ人々で賑わっていました。

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(上)朝食のお茶漬け(500円)は、具材を紀州南高梅や鮭、明太子など8種から選べます。

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(下)ディナー時には茶香炉が置かれ、食前酒ならぬ食前茶のもてなしも。もちろんお酒も楽しめます。

 また朝食には、茶飯にほうじ茶とカツオだしを合わせた特製出汁をかけていただくお茶漬けと、ヘルシーなアサイーボウルを用意。ディナーには抹茶を練り込んだ色鮮やかな抹茶ポテトサラダや、ほうじ茶で7日間寝かせたベーコン八方煮などの一品料理があり、アラカルトで楽しむことができます。いずれもお茶が隠し味や風味付けに使われ、日本茶の底力を味わうことができます。

*****

 「ホテル龍名館お茶の水本店」は、お客様第一のおもてなしの心と職人の技が活きた部屋のしつらえ、そして日本の自然が育んだお茶の味わい。それらすべてで「和」を感じられる、まさに学びのいっぱい詰まった、素敵な空間でした。ぜひ一度、プライベートで泊まってみたい!そう思いながら取材を終えました。

●ホテル龍名館お茶の水本店●
住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-4
電話 03-3251-1135
HP http://www.ryumeikan-honten.jp/
客室数 9室(2名1室タイプのみ)
宿泊料金 5万2000円〜5万8000円

20141022ryumeikan33.jpg【最後に】
今回ご紹介した「ホテル龍名館お茶の水本店」では実施していないのですが、東京駅前の「ホテル龍名館東京」では、「龍名館ポストオフィス(1通700円)」という小粋なオリジナルサービスを提供しています。これは、申込日から最長5年間ホテルが手紙を預かり、申込者が設定した任意の期日になったら代わりに投函してくれるというもの。未来のご家族や恋人、あるいは自分に、過去から手紙が届くという、ファンタジー感あふれるサービス。旅行の想い出などを収めたSDカードなどを入れて投函する人もいるそうです。使い方いろいろで夢が広がりますよね。ぜひ「ホテル龍名館東京」にお泊まりの際は、試してみてはいかがでしょうか。

(取材・執筆/多田みのり)

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