ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

「箸」で食事をもっとおいしく

食卓になくてはならないものなのに、お茶碗やお皿に比べると、意外と存在が薄いお箸。でも、フォークやナイフと違って、お箸は「つまむ」「切る」「まぜる」「すくう」「割る」など多くの機能を持っています。お箸を子どもの頃から使うことで、日本人の手に細やかさや器用さが備わったのでは?との話もあるそうです。

街中に増えつつある箸専門店には、檜、黒壇、津軽塗、輪島塗など、さまざまな箸がそろっています。季節やTPOに応じて、箸ひとつ変えるだけで食卓の彩りがずいぶんと変わってきます。例えば、暑い夏、ガラス箸や竹箸が置かれた食卓は涼し気ですし、季節の花が描かれた箸なら食卓がぐんと華やぎます。刺身箸や焼き魚箸、納豆箸、滑りにくい麺用の箸など用途別の箸を置いていたりします。

私自身、割り箸が苦手なので、取材先で使わないといけないような状況以外は、外出先ではなるべく割り箸を使わないようにしています。割り箸が何故苦手かって? それは割り箸独特の"味"と"舌ざわり"。せっかくおいしい食事を食べようと思っても、割り箸の四角い感触と殺菌されたような割り箸の味が口に残るのが苦手なのです。
もちろん、自宅で毎日使っているお箸は一番のお気に入りです。色も"味"も自分の手で握った時の感触も、これ以上ないほど手になじんでいます。

自分サイズに合った好みの箸で食事をすればより一層おいしく料理をいただけると思いますよ。家族みんなでおそろいのデザインで。それとも一人一人違うものをそろえてみるのもいいのでは?

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手前が、自宅で使っている一番のお気に入り。1膳1500円ほどだったと思います。素材は失念しました。木製です。これは二代目。一代目は私の不注意で先端が折れてしまい、泣く泣く手放すことに。購入した箸専門店で"箸供養"をしていただきました。
標準的サイズとしては私の手にも短いのですが、色、風合い、手触り、舌触り、先端の細さ、デザインが好きで、これ以上のものはないと思っています(笑)

中央は、手のサイズにはちょうどいい長さの箸で1膳700円くらいだったと思います。プラスチック製のつるつる素材ですが、先端部分が少しザラザラしているので、滑りやすいものでもすくいやすいのです。お尻のキラキラしているところが涼しげなので、素麺に合いますね。

奥は、菜箸です。シンプルな柄がちょっと気に入っています。菜箸も、お気に入りの柄だと料理するのが楽しくなるかも!?

<アドバイス・うんちく>

●箸の選び方
利き手の親指と人差し指を直角に広げます。この時、親指と人差し指を結んだ間の長さを「ひとあた」と呼びます。この長さの1.5倍がちょうどいい箸の長さです。ただし長さは好みがありますので、これは目安のひとつです。

●箸の洗い方
木製、漆塗りの箸はとても繊細です。食器洗い器は使わずに、やわらかいスポンジでやさしく洗ってください。水に長時間つけるのも避けた方がいいです。

●箸の使い方
靴と同じように、毎日同じ箸を使うとその分、消耗は激しくなります。何膳かの箸を交互に使うことにより、食卓に変化もつきますし、お気に入りの箸が長持ちします。

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秋田県角館で購入した樺細工(桜皮細工)の携帯用箸です。
真ん中で分かれるようになっていて、中央のネジをクルクル回して簡単に1本にできます。

(執筆:塩見有紀子)

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