心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第45回 初夏の花々が彩る、のびやかな湿原・戦場ヶ原を歩く(栃木県・日光市)

やわらかな緑と可憐な花が彩る、初夏の湿原散歩に出掛けませんか。栃木県日光市、奥日光に広がる戦場ヶ原は、約400ヘクタールの広大な湿原。戦場ヶ原という勇ましい名前は、美しい中禅寺湖をめぐって男体山の神様と赤城山の神様が戦った場所、という神話が由来になっています。

日光の山々に囲まれた広大な湿原

 湿原内に設けられた自然研究路を、南側から北に向かって進んでみましょう。スタートは赤沼バス停から。「戦場ヶ原自然研究路」の道標に従って進みます。歩き始めは樹林帯。コナシなどの広葉樹の樹林を進みます。5月下旬にはコナシの白い花が木々を彩ります。

自然研究路は木道がしつらえられている

しばらく進むと樹林から湿原へ、日光男体山をはじめとする日光の山々に囲まれるように湿原が広がっています。自然研究路は湯川に沿って整備されています。川底が赤っぽく見えるところもありますが、これは湿原の中に含まれていた鉄分がバクテリアの働きによって赤褐色の物質となって川底に沈殿しているからなのだそう。

このあたりだけ赤褐色の川床になっている

左手に湯川の流れを、右手に日光連山を眺めながら、湿原を進んでいきます。湿原には約350種類もの植物が自生しています。野鳥の種類も多く、貴重な湿地としてラムサール条約に登録されています。

木道が整備されていますが、ところどころにウッドデッキがあり、景色を眺めながら休憩できます。木道のあるところは必ず木道の上を歩きましょう。

湿原の向こう、きれいな円錐形の山は日光男体山

初夏から夏にかけて、湿原は多くの花で彩られます。花の種類が多く楽しめるのは6月半ば~7月にかけて。真っ白いワタスゲの穂は6月中旬、鮮やかな朱色のレンゲツツジは6月中旬〜下旬、ピンクのホザキシモツケは7月中旬〜下旬が見頃です。木道の脇に見られる小さな花々は、ゆっくり歩かないと見落としてしまいます。いつもより歩調をゆるめて歩いてみてください。

湿原の中でひときわ目立つレンゲツツジ

木道の脇、ハクサンフウロが可憐な花を咲かせていた

湿原から樹林に入り、しばらく進むと泉門池へ。きれいな湧き水によってできた、澄んだ水をたたえた池です。ベンチもあるので一息ついていきましょう。

水面に青空や雲も映り込む、美しい泉門池

湯川に沿って樹林の中を進んでいきます。散策のフィナーレは、湯ノ湖から流れ落ちる湯滝。落差70m、長さ110mの滝です。岩肌を豪快に流れ落ちる滝の姿を、観瀑台から間近に眺めることができます。観瀑台の周りは細かな水しぶきが上がり、夏でもひんやりとしています。湯滝から湯滝入口バス停までは10分ほどの道のりです。

迫力満点の湯滝。流れる姿を間近に見ることができる

湯ノ湖まで散策路は続いており、滝を眺めながら歩くこともできます。湯ノ湖の湖畔には日光湯元温泉があり、温泉宿が点在しているほか、バス停近くには足湯もあります。日光湯元の温泉宿に泊まり、中禅寺湖などの観光と合わせて楽しむのも、日光市街まで戻り、日光東照宮などの社寺めぐりを楽しむのもよいでしょう。

日光湯元バス停そばにある足湯「あんよの湯」

【戦場ヶ原:山歩きデータ】
アクセス:JR日光線日光駅または東武鉄道東武日光駅からバス1時間、赤沼下車
コース:赤沼バス停…青木橋…小田代橋…湯滝…湯滝入口バス停
所要時間:2時間
体力度★★☆ 技術度★☆☆

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