温泉地の片隅でゴロゴロとくつろぐ猫たち。想像するだけでほっこりとした気持ちになってきます。温泉地は人がのんびりと過ごし幸せになる場所ですが、猫にとっても同じだとは限りません。様々な温泉地で猫問題を見聞きし、少しだけ猫活動にも関わってきた身としては、外で暮らす子猫らのかわいい姿を見ると、元気に育つだろうか、増えすぎてしまわないだろうか、など心配が先立ってしまいます。
地域をあげて猫活動をしている温泉地もありますが、まだまだ数は多くありません。そんな中、福島市の飯坂温泉で猫の譲渡会が開催されているという情報をキャッチし、出かけてきました。
窓口を務めているのは飯坂温泉で商店を営む川又麻理さん。最初はお店の駐車場で小さな譲渡会を開いていましたが、仲間や参加者が増えていったため、8回目となる今回は公営の「飯坂学習センター」多目的ホールで開催されていました。
6名の実行委員を中心に、福島市の大学生ら20名ほどがボランティアで参加しており、写真やポスターも数多く展示、会場全体に活気があります。今回の参加猫は25匹。「特に個人で保護された方々は、譲渡会に参加するチャンスが少ないので、福島市や県北部からならば、ご連絡をいただき条件が合えば無料で参加ができます」とのこと。開始30分ほど前から、多くの人たちがやって来て開場を楽しみにしていました。
当日は390名もの来場者が。赤いスカーフは保護主さんで今回は個人団体12名。
温泉街の活性化やイメージアップにもひと役買っている
譲渡会では、福島市保健所の獣医さんによる「保護ねこ 地域ねこ教室」も開催。福島の猫の現状や、避妊去勢の必要性などを分かりやすく教えてくれます。後援には福島県や福島市、福島市教育委員会、飯坂温泉観光協会、さらに福島の新聞社やテレビ局、ラジオ局7社が名前を連ねています。飯坂温泉の旅館や観光案内所、鯖湖湯周辺などあちらこちらにポスターが貼ってあり、温泉街全体で猫の活動を受け入れている様子がうかがえました。
獣医さんによる勉強会。1回目はクイズ形式でこどもたちにも分かりやすく、
2回目はデータなどもまじえて、おとなにも満足できる内容
川又さんによると「以前は自分で保護をしていましたが、仕事もあり、なかなか活動をすることができなくなってしまいました。その代わりに保護をしてくださっている方々へのリスペクトを持って、猫にも人にも気持ち良く参加をしていただける譲渡会を開いていければと考えています」とのこと。
猫活動は、なるべく多くの人が関わり、無理のないように少しずつ知恵や技や時間やお金を分け合うことで、良い方向へと進んでいくと考えます。温泉地で開催していると、宿泊者が見学にやって来ることもあるのだそうです。またボランティアの若い人たちが共同湯に入浴するなどして温泉地に親しみを持つきっかけにもなっています。さらには温泉街で暮らす人たちにも、猫の問題をやわらかく提示しています。年に2回、飯坂温泉で譲渡会が開催されていますので、ご興味のある人は一度、出かけてみてくださいね。
「飯坂温泉で猫ちゃんの譲渡会」