ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

第51回 白みりんの魅力を発信! 発祥の地に誕生した「流山市白みりんミュージアム」へ(千葉県・流山市)

ここ数年、小さいお子さんのいる、特にファミリー層に大変人気の新しい街というイメージがある流山市。ここにある『流山市白みりんミュージアム』へ、流山在住の幼なじみの誘いで早速行ってきました! 流山で白みりん?と頭にハテナが浮かびますが、実は流山は江戸時代、白みりんの醸造と舟運で栄えた歴史ある町なのです。流山市白みりんミュージアムは、その舟運と白みりんの歴史や製造工程を学べる施設として、今年3月末に開館しました。

かば焼きのタレ、どじょう鍋のつゆ、天麩羅のつゆ、肉じゃが、、、今にもよだれが出そうな料理の数々にみりんは使われていますよね。今では和食に欠かせないものとして定着していますが、実は現在のように調味料として使われるようになったのは江戸時代後期のこと。定着するまでは、高価な甘い酒として武家や公家など身分の高い人への献上品として飲まれていました。なぜ甘い酒なのか? それは、みりんは日本酒とは異なり、醸造過程で糖化・熟成することで米の甘みと旨味が最大限に引き出されるからです。

江戸の屋台文化を盛り上げた調味料
Toto meisho Takanawa nijuroku ya machi yugyo no zu
Utagawa Hiroshige  1840s(early)
© The Trustees of the British Museum
歌川広重≪東都名所 高輪廿六夜待遊興之図≫

そして舟運との関係ですが、流山は西部に江戸川が流れています。その水を利用した良質のもち米の産地であった上、舟を下れば江戸までもほぼ一日で到着できるという地の利もありました。酒造りから始まり、酒造技術を利用した味淋が生まれ、江戸後期には流山の白みりんは一大産業として大きく発展。中でも二代堀切紋次郎の『万上』と五代秋元三左衛門の『天晴』が二大銘柄でした。

さまざまな料理に使われるみりん

さて、流山市白みりんミュージアムに一歩足を踏み入れると、まず目に入るのは巨大な仕込み桶! 高さが約2メートルもある伝統的な仕込み桶は、なんと容量も約5,400リットル!楽しいのが、有料の展示エリアからデッキに上がると、もろみをかき混ぜる「かくはん作業」をこの巨大な桶で体感できるのです。櫂棒を持ち上げると、その重さにも驚くはずです。

杉材の巨大な仕込桶

展示エリア「流山白みりんヒストリー」では、流山で白みりんが誕生した理由や歴史、背景などをパネルやガイドさんの解説などで知ることができます。また、昔のみりんの製造工程はミニチュアでわかりやすく展示されています。

木を生かした空間が広がる

他にも、みりんづくり体験ゲームや白みりんクイズ、地元の小学生や流山ゆかりのあの有名俳優さんも登場する『流山白みりん始まり物語』の上映など、楽しく白みりんのことを学べるようになっています。

視覚でわかりやすく解説 

また、みりんを使った調理体験や料理教室などが開催されるキッチンスタジオ「かもしアエール」も併設されていますので、公式HPで講座情報をチェックしてぜひ予約してくださいね。なお、白みりんの特徴は、甘みが強く、クセが少ないこと。琥珀色のみりんと異なり、白みりんは淡い黄金色からほぼ透明だとか。

そして、ミュージアム最後のお楽しみが、ここでしか味わえない白みりんソフトクリーム。ソフトクリームは白みりんが20%も配合されている上、「こぼれ梅」がトッピングされています(トッピングは有料)。こぼれ梅とは、みりんの醸造後に残る絞り粕のことで、江戸時代の女性や子どもたちにお菓子代わりに親しまれていたそうです。ソフトクリームもこぼれ梅も、上品でまろやかな甘みがあって、見学後のひと息にぴったりです。

やわらかな甘さがおいしい白みりんソフトクリーム
こぼれ梅トッピング

最後に、ショップで亀甲萬本店の「万上流山白味淋」や「醤油もろみドレッシング」、流山の名産品チェックもお忘れなく! さて、白みりんの歴史も知ったところで何の料理を作ってみましょうか?

流山市白みりんミュージアム(ガイド付き展示エリア見学は予約制)

https://shiro-mirin.com/museum/

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