「やさしい温泉」人、動物、地球にも! by 西村理恵

第17回 食事・コスメ・エネルギー、向き合って変革する「おとぎの宿 米屋」(福島県・須賀川温泉)

「地球にやさしい」とか「オーガニック」とか、今やちまたにあふれていますが、本当のところはどうなの?と考えてしまうこと、ありませんか。福島県須賀川市にある「おとぎの宿 米屋(よねや)」も、そんな疑問を一つ一つ考えながら温泉宿を運営しています。

取材日は雪。各部屋に温泉風呂が付いているため、大浴場はほぼ独泉でした。
毎分500リットル、泉温51度、加温加水もなしの、
とろみのあるモールのお湯を心ゆくまで楽しめます。とろけました

きっかけは10数年前、添加物アレルギーのゲストをお迎えしたこと。「以来、食品などの裏側にあるラベルを気にするようになりました」と広報の有馬愛さん。その後、震災と原発事故が起こり、より深く環境について考えるようになったと言います。

 「薪」をイメージした焼人参。5時間かけてじっくりと火を通し甘味を引き出しています。
びっくりしたおいしい一品!

米屋が取り組んでいるのは主に3つ。食事、コスメそれからエネルギーです。食材は有機無農薬・無化学肥料などで栽培された近隣のオーガニック野菜を中心に使っています。宿の裏手に1200坪の自家農園を開き、5年間かけて土を作り、種をとりながら野菜作りに取り組んでいます。卵や肉類も動物福祉にのっとった平飼いや放牧飼育のもの。量はかなり控えめです。この冬のメニューである岩手短角牛の「ねぎ焼きすき」は、薄切りのサーロイン。足りない人は追加(一枚1650円)で注文する形になります。これは少食の人にはジャストな量。「食べ残しなどの食品ロスがほとんど出ない」という言葉にも納得です。

シャンプーや化粧水などのコスメ類は、いずれもオーガニックな国際認証を受けたもの。なかでも浴室に置かれているオリエントステラのジェンマというヘア&ボディソープは、今までにないしっとり感。源泉100%かけ流しのナチュラルな温泉の香りのジャマにならない、自然でほのかな香りです。

エネルギーは太陽光による蓄電のほか、温泉排湯熱を活用した冷暖房システムを取り入れています。「今のところ約50%のエネルギーの削減ができています」と有馬さん。吹き抜けの広いロビーには薪の暖炉を設置し、客室の床下には温泉パイプが通っています。そのおかげか、外は零下の気温でしたが、滞在中、客室暖房を入れることは一度もありませんでした。

宿泊した客室に付いていた温泉風呂。自分でお湯の調整ができるようになっています。
浴室と客室の間に小さな窓があるためか、客室はほどよく加湿されていました

米屋をはじめた先代は、スーパーやボウリング場、ホテル、不動産など様々な事業を営んできました。30年ほど前に温泉を掘り当て、団体さん中心の温泉宿をはじめます。今のようなオーガニックなスタイルを取り入れたのはここ6年ほど。幅広い分野で事業を行ってきたこともあり、先進的な取り組みを行っていく開拓精神に富んだ宿なのだろうと思われます。環境にやさしく、かつ居心地良く、そんなチャレンジに日々取り組んでいる宿です。

食事処へと続く廊下の土壁。古木や土など自然素材を使っており、館内の空気もやわらか。幼児の宿泊は受付けていない、おとなのための静かなおとぎの宿です。

おとぎの宿 米屋(よねや)
電話:0248-62-7200 住所:福島県須賀川市岩渕字笠木168-2

http://e-yoneya.com

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