京都には深い井戸が幾つもある by 小林禎弘

第36回 京都の奥で寛ぐ、本格的な農民体験ができる農家民宿 後編(京都市)

久多(くた)の農家民宿の後半は、農家民宿らしい宿と変わり種の宿を紹介します。

その前に前号でも触れた久多の伝統行事を補足します。7月前半の夜に行なわれる虫送りは、害虫駆除・退散を願って鉦と太鼓をたたいて歌いながら練り歩く松明行列です。10本ほどの松明を、上流の集落から下流の集落へ火をリレーしていきます。8月23日の松上げは京都北部から若狭の山村部に残る行事で、運動会の玉入れそっくり、球が火の玉(手松明)に代わると思ってください。

中坊明正さんが営む農家民宿「ゆるり」。その名のごとくゆるりとしており、予約が詰まっていなければ、翌日もゆっくりしてかまわないそうです。

薪割り、餅つき、宿前での渓流釣り等が体験できますが、おすすめは畑でご主人に教えてもらう農家ならではのノウハウでしょう。趣のある田舎らしい縁側のある居間に泊まれ、低農薬野菜と地産食材を使った食事が楽しめます。

1泊2食¥8000
〒520-0463 左京区久多宮の町75 
予約090-2354-3647

餅つき体験や宿の目の前で渓流釣りができます

猿や鹿が入らない畑で、農業知識豊かな「ゆるり」のご主人中坊明正さんからノウハウを学びます

 

田邉賢司さんが営む「きさく」はオーベルジュのような宿です。

田邉さんは、京都の岩倉生まれで実家は蕎麦屋。京都の料亭やフランス料理店で修業しました。兄の影響で京都市が募集した「北部山間かがやき隊員」に参加し、令和3年8月から久多に移住。地域の方とともに、活動支援や移住促進、地域の魅力発信等に取り組んでおられます。

借り受けた丘に建つ民家で、洗練された夕食が堪能できます。料理は多国籍な8品のコース仕立てで、ジビエの猪やこだわりの地産野菜、キノコ、川魚など、一皿一皿がとても楽しめます。

「きさく」のコース料理の始まりです。
淡海地鶏、黄身の味噌漬け、ソレル、破竹、鬼髭蕨、鯖寿司、アピオスなどを
盛り込んだ前菜と地鶏とヤマドリダケモドキのお椀。中にはモミジガサ、シャクの花

あまごのコンフィ、わさび菜とルッコラのサラダ。
焼いた加茂ナス、アミガサダケにフレンチタラゴンなどを加えたソース。

イノシシ陶板焼きと切り分けて、ブロッコリー、アスパラを行者ニンニク醤油漬け焼き。
オイスターリーフ。マタタビ酒、黒ニンニク、栃の蜂蜜などでマリネしてから焼いたイノシシ

「cmice」という出張料理もされています。宿泊は5名のみで、田邉さんは別の家に住んでおられるため貸し切り状態になります。

締めの豆ごはんと淡竹の味噌汁にちりめん昆布と摘果メロンの漬物が付きます。
デザートは、栃のチーズケーキ抹茶パウダーと栃の蜂蜜。
「きさく」のご主人田邉賢司さん

1泊2食¥13500
〒520-046左京区久多宮の町152
予約090-8467-4977
kenji03054977@gmail.com

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