京都には深い井戸が幾つもある by 小林禎弘

第1回 京野菜をフレンチに取り入れた先駆者「エヴァンタイユ」(京都市)

 京都洛北の名店「エヴァンタイユ」のオーナーシェフ森谷之雄氏(64)は、京野菜をフレンチに取り入れた先駆者として有名です。

36年前フランスで修業を終えた森谷氏は、東山二条に「エヴァンタイユ」を開店します。やはりフランス産の食材を使うのがベストと固く信じていました。しかし野菜は日本に到着するまでに時間が掛かり、思った味を出せる状態ではありませんでした。悩んだ末、野菜なら京料理だろうとくまなく食べ歩き、情報を仕入れたところ知り合ったのが菊乃井のご主人村田氏でした。

森谷氏とマダム

伝統京野菜を復活させる活動をされていた、鷹峯の農家樋口氏を紹介してもらい、直接取引することができました。樋口氏の野菜は引っ張りだこで、村田氏の口添えがなければ門前払いだったそうです。京都育ちで野菜の味にはうるさかった森谷氏ですが、樋口氏が育てた玄琢(げんたく)ネギと鷹峯唐辛子には感動したそうです。そして市場の地方産の野菜よりはるかにうまかった。

 

京料理でも京野菜を料理する時には油あげを合わせるなど、相性のいい油を使います。それならば、油を多用するフランス料理と同じだと思い、取り組んでみましたが、納得のいく料理にするまでは難しく苦労したそうです。そして京野菜その物の味を引き出していくことを目指すと、結果的に、従来のフレンチよりも油が減ったそうです。

洛北岩倉の地に移って25年、今は近くなった大原の朝市、大原里の駅、静原の朝市で仕入れているそうです。よく使うものとして、つくね芋、金時人参、堀川牛蒡、聖護院かぶら、みず菜、壬生菜、加茂なす等があるそうですが、忘れてはならないのがタケノコです。洛西の某タケノコ農家が栽培したもので、あくも何もなくミルキーでふわっとした柔らかい味で代えがたいものですが、15㎝で1000円ほどするそうです。

 

野菜以外では、亀岡の黒地鶏、京丹波平井牛など地産品を積極的に使っています。

京野菜を使うフレンチは増えましたが、先駆者として日々進化を続け、京都人の舌を楽しませている同店から目が離せません。

「エヴァンタイユ」

606-0006京都市左京区岩倉西五田町1-2

Tel.075-712-0750

月休、11:30~13:30LO  17:30~20:30LO

 昼¥3500ー ¥6000ー(税サ込)、夜¥5000- ¥8000ー ¥12000ー(税サ別)

京野菜のコース¥6500-(税サ別)

テイクアウト¥1000-¥2000- オードブル¥1500-~5000

テラス席のみでカレー、ハンバーグなどの洋食を出している。

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