「やさしい温泉」人、動物、地球にも! by 西村理恵

第1回 温泉って何、温泉地って何?

温泉ってナニ?なんて話は、普通に旅する時には考えなくてもいいことですが、長年、温泉をなりわいにしている身、ついついそんなことも考えてしまいます。現在、温泉を管轄している省庁は環境省。つまり温泉は、自然環境が守られてこそ生み出される地下資源です。地球の大きな循環の中で生み出されているお湯は、汲めども尽きぬ魔法の泉ではなく、汲み上げすぎると枯渇してしまいます。

自然湧出する泉源地の風景。美しい色合いに見惚れてしまいます。長野県唐沢鉱泉にて。

最新の温泉データを見ると、日本では1分間に約252万リットルのお湯が湧出しています。この湧出量は、オリンピックサイズのプールを1分間で満たしてしまえる量。ですが、このうちの73%は、電力などを使って汲み上げているお湯です。中には地下2000メートルもの深さまで掘削して汲み上げている温泉もあります。

なぜそこまでするのか?それはその場所では温泉が自然には湧き出さない、あるいは湯量が足りないことが原因の一つ。大きなお風呂や、各部屋に設置された露天風呂は、施設としては魅力的ですが、資源の面から考えると環境に負荷をかけることにもなりかねません。温泉とそれを利用する施設というのは、バランスが大切だなとつくづく思います。

古くから温泉地として栄え、多くの宿や施設がある温泉地では、貴重な温泉資源を守るため、共同で温泉を管理しているところもあります。山形の赤湯や長野の美ヶ原、群馬の川原湯、静岡の梅ヶ島、岐阜の下呂、愛媛の道後など全国の温泉地でこの共同管理方式がとられています。こうした地域では、どの施設にも基本同じお湯が配給されますが、だからと言って温泉の魅力が劣るわけではありません。

温泉を「地域の宝」として大事にしている場所は、共同体としてのまとまりがある、ということにも繋がっていくのです。そうした地域のパワーが、「やさしい温泉」を作りあげている例を紹介できればと思います。

山形県上山温泉の葉山地区にある集中管理システム。温度や流量、圧力を自動で管理、適温の温泉にいつでも入浴ができる。

 

まずは女将会を中心に「幸せ猫プロジェクト」を行っている山形県米沢市の小野川温泉について、次回から取り上げてみたいと思います。

米沢の奥座敷、小野川温泉。共同湯を中心にステキなムードの温泉街が開けています。

 

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ