ニホンノカタチ 旅恋ver. by yOU(河崎夕子)

第18回 子どもも大人も惹きつける、江戸から続く鬼子母神の老舗駄菓子屋!(東京都・豊島区)


東京都豊島区雑司ヶ谷。

かつて後醍醐天皇の雑務係の者達が土着したことからこう呼ばれるこの土地に仏教における安産と子安の善女神の一人、鬼子母神が祀られた仏堂があります。雑司ヶ谷鬼子母神堂は徳川4代将軍の時代に建立され、現在は国の重要文化財に指定されている美しい建物。

またこの鬼子母神は、幼児を抱いた菩薩形の美しい姿から「鬼」の字の「角(ノ)」を取った表記をされているとか。

雑司ヶ谷鬼子母神堂には週末ともなると人で賑わう

2021年11月下旬。そろそろ紅葉も終わりかけの時期に、この鬼子母神堂に足を運ぶ機会がありました。黄金に色づいた銀杏の葉が少しずつ地面を敷き詰めるそんな時期。その中でも境内入り口近くの樹齢700年の立派な大銀杏の紅葉は、真っ青に澄んだ空に一際映えていました。立派な大銀杏を見上げた首を下ろすと、その麓に小屋。

見ればずらりと駄菓子が並ぶ駄菓子屋さん、その様子はまるで映画のセットのようで思わず声をあげてしまいました。

 色づく銀杏の麓にカラフルなお菓子がずらりと陳列する

ふと、陳列する駄菓子に囲まれてセットの一部のような(笑)店主と思われる女性に目が行きました。低い位置から手を伸ばす子供達に腰をかがめてお菓子のケースを手渡しする優しい笑顔はマスクの上からでもよく伝わってきました。

「今年は綺麗に色づいたねえ。それにしてもねえ、こんな時代になっちゃっていつまで続くんだかねえ...」

よく立ち寄るのだろうか、カメラを持った中年男性と談笑したり、お参りに来た女性と手をあげて挨拶を交わしたり、軒先にはひっきりなしに人が行き来していました。

しかしその女性、いわゆる昭和の「駄菓子屋さんのおばあちゃん」のイメージではないのですよ。細身でキリリとしたちょっと垢抜けた感じのおばあちゃん。

内山雅代さんは80を超えても毎日この店を切り盛りする現役バリバリの13代目。

雅代さんは駄菓子屋歴70年!

ってえ?13代目???

見上げればしっかりと看板が。「創業1781年上川口屋」これはこれは。なんと240年も続く大大老舗の駄菓子屋さんだったのです。驚き! 昔は手作りの飴屋さんとしてこの地にスタートさせたものの、高級飴がなかなか売れなくなって1950年頃から駄菓子屋さんに転身したのだとか。かつては大名も訪れたと言われ、失礼がないような構造上の工夫が随所に見られました。

駄菓子以外にも懐かしい紙風船や吹き戻しも

ガラスケースに並ぶ麩菓子やミルクせんべえ、ラムネにキャラメル、カラフルな包に魅了されて思わず手が伸びました。そして更に目に止まったのは「手作りかきもち」。昔祖母が鏡餅をかいて揚げてくれたのを懐かしく思い出して、

「これください。」

「あ、それはちょっと高いよ」

って聞けば540円。あ、そっか。他の駄菓子よりは高いわけですね。

カラフルなかきもちは、近所の伊達米店さんの手作りで黒豆、桜エビ、川海老、こきび、たかきびの5種類の味。後日トースターで焼いて食べたらしっかりした懐かしい味。

まるで遊園地のような気分になる駄菓子屋さんで一頻り童心に返ってきました。子供達だけでなく、童心に返る機会をもらえる大人達のためにも、この先250年を目指して是非続いて欲しい老舗店のひとつです。

上川口屋

東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20 鬼子母神境内
雑司が谷駅(東京メトロ)から196m
営業時間 10:00~17:00 定休日  雨・雪・台風などの荒天候時

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