ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

カヤックへのお誘い-Vol.2「どこでカヤックを漕いでみたい?」

カヌーとカヤックの違いは前回説明しましたので、「いざッ!実際にカヤックを漕ごう」という時にどこで漕げばいいの?という疑問点を今回は説明したいと思います。
 

大別すると、カヤックには川を漕ぐ"リバーカヤック"と、海で漕ぐ"シーカヤック"があります。私自身、カヤックを始める前は緑に囲まれたゆるやかな流れの川をのんびり漕ぎたいなと思い、リバーカヤックをやってみたいと思っていました。実際に始めてみると、私自身が思い描いていたような、ゆっくり漕ぐリバーカヤックもありますが、基本的にカヤック界(カヤック界という呼称が合ってるかは別として)でリバーカヤックとは、上〜中流の激しい流れの川を漕ぐカヤックのこと。川の音がゴーゴーと鳴る中、岩に当たった水が作り上げた"瀬"という急流や複雑な水の流れを読みながら漕ぐのです。浅瀬があったり、川によっては岩もそこら中に点在しています。群馬県の水上高原や埼玉県の長瀞などで人気が高いウォータースポーツ「ラフティング」。体験された方もいらっしゃるかと思いますが、あのような激しい流れの川を漕ぐことが多いのがリバーカヤックです。

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そこで、そんな激しい流れの中でも漕ぎやすいようにと、リバーカヤックの艇は長さ約2〜3mと短く作られています。ポールをくねくねと避けながら滑るスキーのスラローム競技のように、リバーカヤックでは岩場や瀬を避けたりするために、右や左にと簡単に方向をクルクルと変える必要があるので、艇は短くなっているのです。

 ←こちらがリバーカヤック。東京の奥多摩にて。激しい流れに見えないかもしれませんが、見た目以上に恐怖を抱いています
 

kayak-Tandem.jpg一方、シーカヤックは基本的には、目的地に向かって大海原をひたすら漕ぐことが目的です。川の流れが舟を運んでくれるリバーカヤックと違い、シーカヤックは自分で漕ぐことになります。距離を長く、まっすぐ漕ぐには舟の長さが必要。そこでシーカヤックの長さは約3〜5mと、とても長く作られています。2人乗り・3人乗りのシーカヤックもあり、さらに長い艇もあります。

 → 2人乗りシーカヤックはとても長い!

 

 

舵取りが重要なリバーカヤックと、漕ぐことが大切なシーカヤック。リバーカヤックは、激しい流れの中を短い艇で漕ぐので、その分、沈(舟がひっくり返ること)するのは当たり前。そこでロール(舟から降りずに起きあがること)をマスターすることは必須です。逆に、シーカヤックは、よっぽどなことがない限り沈をすることはありません。うねりが激しかったり、大きな波が発生してしまうような海況の時に、私のような初心者レベルのカヤッカーが海で漕ぐことはないですし、艇が長い分、水の上で安定感があるからです。
ただし、漕いでいる途中で海況が急変することもあるのですが・・・。

SeaKayakjpg.jpgリバーカヤックとシーカヤックのだいたいの違いはおわかりになりましたか? 同じカヤックといっても、漕ぐフィールドが違うのはもちろんですが、舟はまったく違いますし漕ぎ方も若干違ってきます。川と海。どちらを漕ぎたいかは、あなたの性格にも依るかもしれませんね。次々と襲ってくる(?)スリルに立ち向かって乗り越えていくことが好きな方は、リバーカヤック。私のように、ともかく水に浮かぶことがひたすら好きなのんびりやさんはシーカヤックがいいかもしれません(笑) ただ、私が所属しているカヤッククラブには、川のカヤックも海のカヤックもどちらもやっている方もいるので、両方を漕いでから好きなフィールドを選ぶのもいいと思います。「運転をすると性格が変わる!」というように、水の上では、あなたの秘めた性格が現れるかもしれませんしね。

←同じ一人乗りシーカヤックでも、長さも幅も材質もさまざま

なお、川や海のどちらでも、初めてカヤックを漕ぐ際は、必ずインストラクターやガイドのいるカヤックショップを訪ねましょう。パドル(オール)の使い方や艇への乗り込み方などを親切に教えてくれます。初心者が激しい流れの川をいきなり漕いだり、荒波の海を漕ぐようなことはまずありませんので、その点はご安心を。!kayak-river.jpg

 

 

→ 川の流れを自由に操れるようになればリバーカヤックは楽しい!

 

(執筆 塩見有紀子)

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