マイスターと世界遺産の知の旅へ by 山本厚子

日帰りさんぽ Vol.1 水郷の町・佐原(千葉県)

 sawara1

はじめまして、山本です。これから関東近郊の"日帰りおでかけスポット"をいろいろとご紹介していきたいと思っています。

第1回目は、江戸時代、利根川とその支流・小野川の水運によって繁栄し、「北総の小江戸」と呼ばれた佐原です。

sawara2

散策エリアへは、佐原駅からは歩くこと10〜20分。お散歩して回るにはちょうどよい広さです。江戸の情緒が今も残ると言われるように、中心を流れる小野川沿いには、土蔵造りの商家が軒を並べ、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。

sawara3

小野川にかかる樋橋(とよはし)は、橋から水が滝のようになって川に流れ落ちるので、通称"ジャージャー橋"と呼ばれています。もともと、江戸時代、灌漑用の水を送るために作られたもので、人を渡すものではなかったそうです。現在の橋は、平成4年に架け替えられたコンクリート製のものですが、30分おきに落水する様子が見物できます。「日本の音風景百選」の一つに選ばれる"ジャージャー"という音を楽しんでみてください。

sawara4

橋のたもとには、町を代表する偉人、伊能忠敬の旧宅があります。江戸時代に初めて実測日本地図を完成させた忠敬ですが、それは50歳を過ぎてからのことです。佐原で主に酒造業や舟運業を営む商家に婿養子として入り、隠居するまで商売に励み、財を築きました。忠敬が30年以上住んだ家と店舗、土蔵が今も残されていて、無料で見学できます。

隠居後、江戸に出て数学や天文学を学び、どのように測量や地図の制作を行ったかについては、小野川を隔てて反対側に立つ、伊能忠敬記念館で知ることができます。測量図や測量器、資料など展示されていて、興味深いです。

伊能忠敬記念館
香取市佐原イ1722-1
tel 0478-54-1118

sawara5

少し視線を変えるなら、小野川遊覧船がおすすめです。小野川沿いの柳や、立ち並ぶ木造の商家を見上げながら、風情ある水上散歩へ。笠をつけた船頭のお母さんたちに佐原のことをいろいろ尋ねてみるのもいいでしょう。(乗船は伊能忠敬旧宅前から、町並みコース30〜40分、1200円)

佐原でひと休み

●カフェしえと

sawara6

明治時代の町家を利用した、いわゆる"古民家カフェ"です。しかしながら、店正面の格子戸や季節の花を生けた空間、通り土間など和のしつらえに、客席部分のフローリングなどモダンなデザインが見事に調和し、古めかしさを一切感じさせません。佐原の古い町並みのもつ空気感とはまた違う落ち着いた雰囲気で、ゆったりとくつろげます。フェアトレードコーヒーやダージリンティーなど、こだわりの一杯とともにひと息つくのにおすすめです。

香取市佐原イ-3382-3
tel 0478-55-8808

最後に、ちょうど今の時期(6月の1カ月間)は、水郷佐原あやめまつりが開催されていますので、花見とレトロな町並み散策を一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。(ただし、あやめまつりの中心となる水郷佐原水生植物園や前川あやめ園は、利根川の北に位置し、古い町並みのエリアとは少し離れていますので、ご注意を。)

●佐原へのアクセス:

東京駅からJR総武線・成田線経由でJR佐原駅まで約1時間50分。車の場合は東関東自動車道佐原香取ICから約4km
 

●佐原のお問い合わせ:
水郷佐原観光協会はコチラ
NPO小野川と佐原の町並みを考える会はコチラ

 

(取材・執筆 山本 厚子)

 

 

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ