今日も古墳日和 by 多田みのり

第8回 兵馬俑とは異なる中国の遺跡、発掘されたままを見ることができる漢陽陵帝陵外蔵坑保護展示庁(中国・西安)

【遺跡プロフィール】
名  称:漢陽陵
時  代:紀元前2世紀
整備状況:漢陽陵博物館として整備
展示施設:陽陵帝陵外蔵坑保護展示庁、考古陳列館、南闕門遺址保護展示庁
U R L:http://www.hylae.com/

日本各地の古墳を巡ってきましたが、今回はちょっと趣向を変えて海外の墳墓をご紹介しましょう。

中国・西安といえば、なんと言っても世界遺産「秦始皇帝陵と兵馬俑坑」が有名ですが、あんまり熱心に兵馬俑を見る私を見たガイドさんが、そんなに遺跡が好きならここにも行くといい、とオススメしてくれたのが「漢陽陵帝陵外蔵坑保護展示庁」です。

紀元前153年から28年を掛けて完成したという漢陽陵。日本では弥生時代にあたります

一帯は漢陽陵博物館として整備され、前漢4代皇帝・景帝と皇后の陵を中心とした陵園と、そこから出土した遺構や出土品を展示した博物館施設からなります。特に今回ご紹介する漢陽陵帝陵外蔵坑保護展示庁は2006年オープンの中国初の全地下博物館で、遺跡の展示と保護の模範となる先進的な博物館と評されています。

※景帝は日本では第6代とされていますが、うち2代の皇帝は短期間かつ正統性に疑いがあるということで、中国では第4代皇帝とされています。

入場の際には、シャワーキャップの様なビニールを靴にかぶせます。
遺構を強化ガラスで覆い、その上を歩きながら発掘されたままの状態を見るためです。
ちょっとおもしろいですね

入口には漢陽陵の模型があります。
放射線状に81もの陪葬坑があり、その一部をここで保存展示しています

兵馬俑との違いに最初は驚き、そして裸なのでちょっと目のやり場にも困り(笑)。景帝は質素倹約をモットーとし、社会経済や文化発展を推進したことで知られます。それゆえ俑も簡易な作りになっています

兵馬俑(俑とは副葬された人形のこと)は約180cmありとても大きいものですが、景帝の俑は50センチほどとミニチュアサイズ。そして何より、服を着ておらず腕もありません。なぜ裸なのかというと裸の俑の上に衣服を着せ、木製の腕を後からはめており、衣服と腕の部分は腐ってなくなってしまっているのです。

本来はこの様に衣服を着用していたそう。
鎧を着た俑も出土していますが、右端の様に鎧が腐食してしまっています

多くの武人俑の他に、侍女俑や豚・馬・牛・羊・鶏・犬などの動物俑が出土し、
漢の宮廷文化と社会生活を如実に再現した貴重な考古学的発見とされています

西安に訪れることがあったら、「秦始皇帝陵と兵馬俑坑」だけでなく、ぜひ漢陽陵博物館にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。秦と漢の違いがわかりおもしろいですよ。

★アケスケ・チェック★

西安空港のそばにあるので、西安観光の最終日に空港へ向かう途中に立ち寄るのが便利。ただしとても広いので、じっくり見たいなら2〜3時間は確保したいところ。バスは不便なので、タクシーをチャーターするのがオススメです。

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