今日も古墳日和 by 多田みのり

第14回 2体の被葬者と豪華な副葬品が出土した、謎とロマンに満ちる藤ノ木古墳(奈良県斑鳩町)

【古墳プロフィール】

名  称:藤ノ木古墳
古墳の形:円墳
時  代:6世紀後半
整備状況:国指定史跡として整備
展示施設:斑鳩町文化財活用センターでレプリカを展示、実物は奈良県立橿原考古学研究所附属博物館で展示

URL:http://www4.kcn.ne.jp/~ikaru-i/cgi-bin/recommended/details.cgi?pid=1455755004

日本には古墳が約16万基ありますが、多くの人に名前を知られる古墳がいくつかあります。今回ご紹介する藤ノ木古墳もそのひとつでしょう。奈良県斑鳩町の法隆寺から西へ400mほどのところにあり、直径50m以上、高さ約9mの大型の円墳です。

きれいに史跡整備され、地元の方が草刈りをして景観を維持していました。
昔から近隣の人に守られ続けてきた古墳です。

1985年に初めて発掘調査が行われるまでは、それほど注目されていませんでしたが、朱塗りの刳抜式家形石棺と、繊細で華麗な装飾が施された世界的に見ても類例の無い金銅製鞍金具などの馬具、武器などが発見され、一躍有名古墳の仲間入りをしました。

その後、1988年にファイバースコープ調査と石棺の開棺調査が行われ、未盗掘の石棺からは金銅製の冠・履・大帯、1万数千点を越えるガラス玉などの装身具や金属製の玉類、大刀や剣、銅鏡など豊富な副葬品が見つかりました。

ガラス越しに、約14mの石室の奥に置かれた実物の石棺を見ることができます。
特別公開時及び、斑鳩町のふるさと納税の返礼品として石室の中に入り見学することができます。

さらに驚くべきは、一人用の石棺から、二体分の人骨が検出されたこと。大規模な古墳と豪華な副葬品に対して、やや粗雑な造りが見られる石室や窮屈な状態での埋葬は、特別な事情を伺わせ、被葬者はどんな人物であったのか想像が膨らみます。いまだ結論は出ていませんが、だからこそ興味を引き続ける古墳といえるでしょう。

古墳のガイダンス施設である「斑鳩町文化財活用センター」では、出土品のレプリカや発掘の様子や出土状況の映像を見ることができます。

展示室への通路は古墳の羨道を模しています。
突き当たりには石棺が! 古墳に入れなくても模擬体験できる仕組みがされています。

レプリカとはいえ、精巧に復元された金銅装透彫鞍金具や金銅製履などを間近に見ることができ、
古代の技術と副葬品の豪華さに驚かされます。

出土時の状態の石棺レプリカは、想像以上の副葬品の多さにびっくり! 
よくぞ盗掘されずに残ってくれたと思います。

なお、法隆寺参道にある法隆寺iセンターでは藤ノ木古墳ファンにおすすめのグッズが販売されています。今までいろいろな古墳グッズを見てきましたが、この遊び心には感心しました。古墳散策の記念にぜひいかがでしょうか?

石棺を模した箱の中に、被葬者ブックマークとクリップが収められた「藤ノ木古墳クリップケース」と、
さりげなく古墳好きがアピールできる「石棺型ピアス」。

★古墳日和ポイント★

斑鳩一帯は古墳がたくさん! 法隆寺iセンターでレンタサイクルを借りて、古墳サイクリングを楽しんでみましょう。

協力:斑鳩町教育委員会

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