今日も古墳日和 by 多田みのり

第10回 韓流ファンにもおすすめ!芝生の古墳を歩きながら伽耶国の盛衰を学べる福泉洞古墳群(韓国・釜山)

【遺跡プロフィール】

名  称:福泉洞古墳群
時  代: 2〜7世紀
整備状況:福泉洞古墳公園として整備
展示施設:福泉博物館
U R L:https://japanese.busan.go.kr/museum/bcmintro01

今回は韓国・釜山にある福泉洞古墳群をご紹介します。韓国の三国時代および伽耶文化の解明において重要な古墳群とされ、釜山市が整備を進め史跡公園事業を推進したことにより、福泉博物館と併せて当時を学べる歴史エリアになっています。

古墳公園は芝で覆われ、代表的な遺構の場所はチョウセンヒメツゲの植栽で示しています。丘陵なので見晴らしも良く、吹き渡る風を受けながらの散策は実に爽快♪

伽耶国は、朝鮮半島南部の小国をまとめて西暦42年に首露王(スロワン)が金官伽耶を建国したことに始まります。福泉洞古墳群のある東莱地域は、鉄を使った貿易で軍事力を拡大し、地理的に金官伽耶と新羅の双方の影響を受けて独自の文化を形成していきました。

再開発によって発見された古墳群は、馬鞍山から南方の丘陵地帯に191基が築かれており、内169基が発掘調査されています。内部からは土器や鉄器など12,000万点以上の遺物が見つかり、特に鉄製甲冑は国内最多の出土数を誇ります。

丘陵中央付近には、ドーム状の野外展示館があり、
53号墳、54号墳が発掘されたままの状況で展示されています

古墳群は2世紀から7世紀までの古墳で形成されており、丘陵部の南から北へと時代を追って築造されています。4世紀前半頃から副葬品を多数収めた大型墳が現れ、5世紀に入り隆盛を極めましたが、5世紀中頃以降は次第に新羅文化に吸収されて独自性を失っていきました。

53号墳は単独竪穴式石槨墓、54号墳は副槨付竪穴式木槨墓。
こちらは53号墳の内部で、土器や鉄器が副葬されています。
異なるタイプの墓を展示することで、墓の構造や副葬状態を学ぶことができます

隣接する福泉博物館では、新石器時代から三国時代までの墓の変遷についてや、古墳群から出土した陶質土器や鉄器、甲冑、馬具、装身具などの副葬品が展示されています。

古代の韓国は日本とも密接な関わりがあり、韓国ドラマでなんとなく知っている、という方もいらっしゃるかもしれませんね。伽耶に興味が湧いてきた、という方には、伽耶初代国王のキム・スロが主人公の『鉄の王キム・スロ』がおすすめです!

ところで、古墳散策のあとは、釜山を代表する郷土料理「東莱ハルメパジョン」もぜひ味わってみませんか。昔からの作り方を継承する創業80年の老舗です。ネギと海産物の旨味がとろりとした生地に包みこまれ、一般的なパジョンとは格別の美味しさ! 食べなきゃ損の逸品ですよ。

日本でもお馴染みのチヂミは小麦粉で作りますが、パジョンは米粉で作ります。
ネギと海鮮の具をたっぷり入れますが、昔ながらの「東莱ハルメパジョン」には
イカを使わないのが特徴です。ああ、もう一回食べたい!

★アケスケ・チェック★

釜山国際空港から東莱経由、海雲台行きのバスのほか、地下鉄1号線明倫駅・東莱駅や地下鉄4号線寿安駅からのアクセスも可能。古墳のある東莱区は韓国屈指の温泉歓楽街でもあります。古墳を満喫したら温泉で汗を流して、東莱ハルメパジョンに舌鼓、なんて最高ですね。

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