あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

第11回 朝ドラ「おかえりモネ」の舞台は、懐かしい学び舎がある“みやぎの明治村”(宮城県・登米市)

先月から始まったNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」。宮城・気仙沼の亀島出身の主人公が気象予報士を目指すドラマですが、高校卒業後、森林組合の見習い職員として働き始めるのが同県の登米(とめ)市。登米は北上川の舟運による米穀の集散地として栄え、かつて登米県・水沢県の県庁が置かれた地でした。じつはこの地にはみやぎの明治村と呼ばれる、近代建築が残ります。

水沢県庁記念館。裁判所として使用

 明治の近代化の波は教育の分野にも広がり、「国家百年の計は教育にあり」ということで、日本各地に新しい学校建築が生まれました。町の中心に立つ「登米(とよま)高等尋常小学校」もそのひとつです。現在は教育資料館として保存され、重要文化財指定を受ける木造校舎で、明治21年(1888)に建造されました。設計は1873年のウィーン万国博覧会で日本館の建築に当たった山添喜三郎。船大工をしていたのですが、1年ほどヨーロッパで西洋建築を学びました。この木造の校舎は、中庭を囲んだコの字形で、両側先端に六方と呼ばれる昇降口があります。校舎は100年を経ても寸分の狂いもないと、山添の仕事ぶりが高く評価されています。

コの字形の校舎

重厚な瓦屋根、木造のぬくもりを伝える吹き抜けの片廊下、窓には当時貴重だった板硝子を用い、さらに目を引くのが正面の白いバルコニー。和洋をうまくミックスした擬洋風建築の美しさと洒脱さ、そして、学校という厳しくも優しい貌をきちんと持ち合わせているのです。

白いバルコニーがお洒落

昭和48年(1973)まで現役の学校だっただけに、廊下を歩けば子供たちの声が聞こえてきそうだし、教室の机と椅子の小ささに、子供のころから何にも考えてなかったなあ~なんて、感傷にも浸れちゃいます。

吹き抜けの廊下と教室

町内には、同じく山添が設計した旧登米警察署庁舎(警察資料館)があり、木造二階建て下見板張り白ペンキ塗りの親しみやすい外観です。当時は消防の役割も担っていたそうで、館内には火消しの道具や再現された牢屋があります。

 警察資料館

朝ドラの舞台、ちょっと興味が湧いてきたでしょう。新緑輝くみやぎの明治村、学校教育という今に続く近代化遺産に出会えます。

写真提供:宮城県

みやぎの明治村 http://toyoma.co.jp/

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