
2026年が始まりました。みなさま今年はどんな旅を計画していますか?
日本人にも大人気の世界遺産「マチュピチュ遺跡」があるペルーは、フーディーにとっても魅力的なデスティネーション。ただし地球の反対側にあり、旅の難易度も高め。多くの旅に恋する人たちにとって“一生に一度”は訪れたい憧れの旅先ですよね。
食を目的にペルーを旅する料理人さんなど食のプロは、時間的な制約もあり、マチュピチュ遺跡やナスカの地上絵をスキップすることも多いのです。ということで、ここでは美食に特化してご紹介します。

ナスカの地上絵のハチドリ。スマホでもこれくらいの写真が
いざペルーへ旅する機会を得たら、美食を心ゆくまで満喫するためにちょっとした工夫が必要かと。その最たるものが「Central」。マチュピチュよりナスカより「Central Immersion」を推したい理由についてはこちらをどうぞ。

ペルーの豊かな食文化を体感できる市場やスーパーマーケットめぐりは外せない
その前に。なぜペルーが世界のフーディーを魅了するのでしょうか。ファインダイニング好きには“耳たこ”かもしれないのですが、ここで今一度おさらいを。ペルーの食文化を構成しているものは、地理的要素と文化的要素のふたつの側面があります。
地理的要素としては、太平洋の深海から海岸線、平原、アンデス山脈の高地、アマゾンの熱帯雨林までさまざま(これを”高度”という視点で鮮やかに切り取って、世界をあっと言わせたのが「Central」ですね)。
文化的要素としては、インカ時代からの先住民の文化にスペインの統治、中国や日本からの移民、アメリカ文化の流入が挙げられます。日本人の移民が持ち込んだ当時の日本の食文化が、現地の食文化と融合して生まれたのが、いま世界的にトレンドとなっている”Nikkei(ニッケイ=日系)”というわけです。

セビーチェやアルパカなどローカルフードも楽しいけれど、時間が限られている人は、リマではファインダイニングに全振りしてもよいかと
そんなペルーは、ワールド・トラベル・アワードの「World’s Leading Culinary Destination(世界で最も美食を楽しめる国)」部門で12年連続最優秀賞に選ばれています。また、レストラン界のアカデミー賞とも称される「The World’s 50 Best Restaurants(世界のベスト50レストラン)」で、世界一になったレストランが2軒あります。
ちなみに過去23回発表された世界のベスト50レストランで、首位に立ったレストランがある国は7カ国。欧米以外ではペルーだけがトップの座を射止めています。(そう、日本はまだなんですよ〜・涙)

2021年の世界のベスト50レストランで世界最優秀女性シェフ賞を受賞した「Kjolle」のPía Leónさん
では「Central」の予約が取れたらプランニングを始めましょう。
まずは首都リマから。真っ先に組み込みたいのは「Astrid y Gaston」。ペルー料理をイノベーティブに変え、ここからペルーのダイニングシーンの躍進が始まったレジェンドです。ペルー料理とは何かを大局的に捉えるのにぴったり。

フレンチの技法を用いながら、ペルー料理を誰が食べてもおいしい料理に再構築した「Astrid y Gaston」の美しいお皿の数々
次は「Kjolle」。「Central」のVirgilioさんの妻で元スーシェフでもあるPiaさんの料理は、「Central」の料理を補完するものでもあり、ビギナーにとってよりわかりやすい。ここまでは「Central」を体験する前に行っておくのがおすすめです。

「Kjolle」は2025年「南米のベスト50レストラン」で2位に大躍進!
そして最新(2025年)の世界のベスト50レストランで1位になった「Maido(まいど)」。こちらは”日本移民と現地の融合”という文化人類学的なアプローチが特徴です。

「Maido」の料理は、料理というジャンルを超えて、日本のよさをどう世界に伝えるべきかのショーケースのよう
ここは旅の最後に訪れるのがよいかと。「Central」がペルー全土を俯瞰しているのに対して、「まいど」は「ニッケイ」をマクロ&複眼的に捉えていて、特に日本人にはなるほど!と思うことが多いのです。

リマで時間にゆとりがあったら加えたい「Mayta」はクイ(食用モルモット)など現地の食材をアラカルトで無理なく楽しめる。2025年「南米のベスト50レストラン」11位

スターシェフとして大注目。Juan Luis さん率いる「Mérito」は「Central」の流れを汲みつつ食材の持ち味にフォーカス。2025年「南米のベスト50レストラン」4位

世界的にトレンドになっているガストロバーとしてオープンした「Lady Bee」は2025年「世界のベスト50バー」でいきなり13位に初登場。いまリマでもっともおしゃれなスポット。事前予約がおすすめ

東京の「MAZ」でも体験できるように、アマゾンのカカオやコーヒーはペルーの食を語るのに欠かせない。スターシェフたちも信頼を置くコーヒー&チョコレート専門店「Ciclos」

ペルーを代表するお酒といえばピスコ。ピスコサワーは滞在中一度はトライしたい。蒸留所の見学ツアーやピスコサワーをつくる体験レッスンなども各地で開催

ナスカとセットで観光したワイナリー「TACAMA」。ペルーのワインの品質はどんどん向上。「MAZ」で予習して好みのワイナリーを訪れるのも良さそう
いや「一生に一度」。みなさん一応行っておこう。特にクスコはぜひ行ってほしい。なぜってここには”神様に祝福”されているような崇高なレストラン「MIL Centro」があるのですから。
そしてこの聖なる空気の中で、母なる大地の神・パチャママにちなんだ、インカ時代から受け継がれた祝祭料理「パチャマンカ」も体験してみてください。

大地を掘って食材を入れ、熱した石と共に土に埋めて地中で蒸し焼きにするパチャマンカ」は大地のパワーをそのまま味わうような力強さ。記憶に刻まれる一食

クスコからマチュピチュへは観光列車での移動がおすすめ。高山病を考えて往路は静かにシンプルな鉄道、復路は最高級の「ハイラム・ビンガム号」(お酒や料理を楽しめる)を選ぶのが一般的。ですがアルコール(と高山病)に強いなら、景観も雰囲気も料理も往路が断然よいので、往路を楽しみながらどうぞ
そしてもうひとつ外せないのは、三度目のペルーの旅ではじめて訪れたアレキパ。スペインの影響が特に色濃く感じられる白く輝く街並みは、散策するだけでも楽しい。ですが「高度で切り取る視点」を持って食にフォーカスするとめちゃくちゃおもしろい。私の「世界のファインダイニングの読者のみなさんには、きっと刺さるはずです。私はまた行きたい。

自然と文明の距離が近いアレキパ。人々も素朴でオープンマインドで居心地がよく、次回(があれば)ゆっくり滞在してみたい

ペルー料理として人気の「ロコト」(辛くない大きめな唐辛子にひき肉やオリーブ、チーズ、卵などを詰めてチーズをのせて焼き上げた料理)の発祥の地といわれるアレキパではぜひ郷土料理を
最後にリマに戻って、ガストロノミーな旅を「まいど」で締めくくり。ペルーを旅している間に見て触れて学んだ多くの情報が、自分ごととして落とし込まれていくあのスッキリしたカタルシスを、みなさんと共有できたら嬉しいです。

現在の世界一のシェフは日系3世。「Maido」オーナーシェフ、”ミチャ”こと津村光晴さん
いつかは行きたい「一生に一度」の旅先ペルー。
2026年もみなさんの旅がおいしさで満たされますように!
取材・文/江藤詩文







