あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

第13回 100年の時を超え、創建当時に復原!大正ロマン溢れる「門司港駅」(福岡県・北九州市)

2019年3月10日、約6年の歳月を経て、JR鹿児島本線の門司港駅がリニューアルしました。この駅の歴史はちょっと複雑。北九州の港町・門司は明治から昭和初期にかけて、石炭などの特別輸出港として繁栄。日清・日露戦争時には軍需品などを扱い発展します。その賑わいを象徴するように、大正3年(1914)に「門司駅新駅舎」として現在の駅舎が完成します。その後昭和17年(1942)に関門鉄道トンネルが開通すると、「門司港駅」と改称。さらに関門国道トンネル、関門橋が開通すると、門司は単なる中継点に過ぎなくなり、門司港駅も往時の賑わいを失いました。しかし駅舎としての価値が高いことから昭和63年(1988)には鉄道駅初の重要文化財に指定、東京駅よりも15年も早い指定でした。

リニューアルで見飽きることのない美しい駅舎へ

その後、平成に入り門司港駅を含む地区一帯は「門司港レトロ」として整備され、駅舎をはじめ、商館、税関などの近代化産業遺産が楽しめるエリアに生まれ変わりました。「門司港レトロ」についてはまたあらためてご紹介します。

今回の保存修理工事では、創建当時の姿に復原することを基本としました。外壁は石貼り風にモルタルを塗り、屋根には天然の石盤。一番の大きな変更は正面車寄せの庇の取り除きでしょう。2010年に訪ねた時と比べていただくと一目瞭然です。

2010年訪問時の姿

駅コンコースも大正ロマンの味わいがあり、駅2階にはかつて「みかど食堂」という高級洋食店があったそうで、このリニューアルで「みかど食堂byNARISAWA」として営業。ミシュラン二つ星シェフの成澤由浩さん監修の料理がいただけます。また、1階にはスターバックスもできたそう。もちろん歴史を宿す品も残っています。それが、青銅製の「幸運の手水鉢」です。戦時中の貴金属回収を免れたラッキーな品。さらに復員兵が喉を潤した帰り水、関門連絡船通路跡もあります。

駅コンコースも木目調がレトロ

幸運の手水鉢はお手洗いの近く

門司港駅へはぜひ鉄道でいらしてください。小倉駅から約15分、終着駅であり起点駅である雰囲気を味わい、ゼロマイル標を確かめ、改札から駅舎の中へ。そして、昼間もいいのですが、夜もインスタ映え間違いなし! ライトアップされた噴水の向こうに浮かび上がる左右対称の美しい姿は歴史の証人であり、旅の目的にする価値ある駅なのです。

夜もお見逃しなく

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