心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第26回 ススキの草原にカエデのトンネル、晩秋の箱根路を歩く箱根浅間山(神奈川県箱根町)

青空と、ひんやりとした風を感じながら秋の低山歩き。10月から11月は東京近郊の低山の紅葉の季節です。今回ご案内するのは神奈川県・箱根浅間山。鎌倉時代から箱根越えの道として歩かれていた湯坂路の途上にある山で、現在はハイキングコースが整備されています。

箱根登山鉄道も箱根の旅の楽しみのひとつ

スイッチバックを繰り返しながら急勾配を登っていく箱根登山鉄道。車窓からの風景を楽しみ、小涌谷駅に下り立ったらスタート。まずは道標に従って進み、千条(ちすじ)の滝を目指します。心地よい樹林の中を進んでいくとほどなく滝に到着。幅広の岩壁に、細い流れが幾筋もかかり、水音を立てています。ここまでは観光客も多く訪れます。

 岩壁をスダレのように流れ落ちる千条の滝

沢を渡り、登山道へ。木の根や岩が露出しているところもある本格的な山道、傾斜もそれなりにありますから、ゆっくりと景色を楽しみながら進みましょう。針葉樹の森から明るい広葉樹の森に変わると、赤や黄色に染まった木々が陽光に映えて美しいです。両脇に細いササが茂るようになると山頂まではもうすぐ。

箱根浅間山の山頂から二子山を望む

草原状の広々とした山頂でゆっくり休んでいきましょう。三角点と山名板の近くにはベンチとテーブルもあります。

山頂から箱根湯本方面に下っていきます。下り始めてすぐ、道の両側にはカエデやサクラが多く見られるようになります。11月には木々が真っ赤に色づき、深紅のトンネルが息を飲むほどの美しさです。

真っ赤に色づいたカエデやサクラのトンネルが続く

ところどころでススキの草原も現れます。斜面を覆うススキ野原、道沿いにススキが茂るところもあり、風情があります。

カエデやサクラの並木道から針葉樹の森変わると、歩きにくい木の根が露出した道になり、しばらく進むと古道の名残、石畳が現れます。かつて山城があったという湯坂城跡を過ぎ、さらに石畳の道を進んでいくと、国道に突き当たります。通り沿いの土産物屋などに立ち寄りながら、ゴールの箱根湯本駅を目指しましょう。

道沿いにススキが茂るところもあり、風情たっぷり

箱根は関東屈指の温泉地でもあります。下山後は山歩きで冷えた身体を日帰り温泉で温めていくのはいかがでしょう。あるいは箱根の宿に1泊して自分にご褒美でも。歩いた翌日は街歩きや観光地めぐりも楽しみです。

なめらかで肌当たりのよい温泉が心地よい

【谷川岳:山歩きデータ】
アクセス:箱根登山鉄道小涌谷駅下車
コース:小涌谷駅…千条の滝…箱根浅間山…湯坂城跡…箱根湯本駅
所要時間:約3時間30分
体力度★★☆ 技術度★☆☆

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