「やさしい温泉」人、動物、地球にも! by 西村理恵

第28回 美味しいビーガン料理はもちろん、ゲストに寄り添う宿「八景」 前編(岡山県・湯原温泉)

野菜が中心の通常夕食。野菜のかき揚げやおこげ入りのお米とっても美味

「今までで一番おいしいビーガン料理は八景」との投稿を見たのが初夏のこと。以前に二度ほど泊まったことがある八景ですが、卵もすべてフリーケージのものに変えるなど、どんどん進化している様子。えいやっと岡山まで出かけてきました。

温泉街の一番奥、シンボル「砂湯」の川向かいに立つ八景

岡山駅よりレンタカーで1時間30分。ダムのすぐ下、橋を渡った先に八景は立っています。今から35年前、大阪出身の女将・上塩浩子さんが、実業家の父親から任されて始めたお宿です。何度かお目にかかったことはあるけれども、きちんとお話を聞くのは今回が初めて。開口一番、「私はちょっと変わり者なの。人生後半、これからは自分の気持ちに叶う活動をしていきたいと思っているんです」と話してくれました。

 

八景と女将とは一心同体。背筋の伸びたステキな女性です

愛護団体から保護犬を迎え、ワンコと一緒に泊まれる客室を作り、一時は旅館内でこども食堂も運営。取材に出かけた8月には、毎晩、スイカ割り大会。「ロビーで盆踊りもやったんですよ」とのこと。そして9月は敬老月間。90歳以上のゲストは無料、80代は宿泊代が半額に。「最後にどうしても八景に行きたい」という高齢の常連さんが、ご家族と一緒に簡易ベッドに乗ってやって来たことも…。

広々としたロビーは八景のシンボル。多くの八景ファンを受け入れてきた場所

お話を聞いていると、宿の可能性って無限大なんだなと思えてきます。その可能性を広げているのが、「ゲストの人生に寄り添う」という八景の姿勢。ビーガン料理を提供しはじめたのも、「常連さんでビーガンの方がいらしたから」。料理長の松本さんが「お一人のためにでも鍋を変えて料理を作っている」のだそうです。0歳〜100歳まで、八景を愛するゲストならば、誰でもが気持ち良く泊まれるよう、設備を整え、様々な食の嗜好に対応しています。

一方でスタッフさんたちの幸せも考え、週休二日制やリフレッシュ休暇を取り入れ、各所へ研修旅行に出かけています。外国出身者を含めたスタッフさんたち、それぞれの個性を活かし、マニュアルに縛られず、「自分たちの宿」として、気持ちのこもったもてなしをしてくれて、何だか心があたたかくなってきます。

八景が愛される理由が腑に落ちていきました。


男女別大浴場(左)のほか、屋上の有料貸切り露天(広い!)、
貸切りサウナやバリアフリーの無料貸切り浴室などお風呂の種類も多い

後編は、宿を飛び出し広がっていく八景の新たな挑戦、「ドギーズ八景」についてお伝えします。

八景 電話:0867-62-221111時〜1518時〜21時)
住所:岡山県真庭市豊栄1572

https://hakkei-yubara.jp

 

 

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