京都には深い井戸が幾つもある by 小林禎弘

第17回 京都に来たらマイ座布団一枚作って帰ろう(京都市)

同級生の高岡隆行君の実家は、京都の老舗の布団屋だということは知っていました。しかし製品の素晴らしさを知ったのは、取材で高級旅館や人気旅館を訪れてからです。その多くの客室に高岡屋の座布団やクッションが備えられており高い評価でした。

隆行君の兄であり(株)髙岡三代目社長髙岡幸一郎氏に業界のことや社歴も含めて取材してきました。

おじゃみをもって話す髙岡幸一郎社長

元呉服商の百貨店には昔、布団や座布団等を作る加工所があったそうで、(株)髙岡は京都大丸の寝具の加工所として1919年(大正8)に創業します。明治から大正にかけての初期の百貨店では、掛敷布団や座布団は、客が生地を選んで加工した由です。それが大正以降百貨店では、既製品の布団を売るようになっていったため髙岡も、大丸とともに成長していきます。地域に必ず1軒や2軒あった布団屋、畳屋、豆腐屋等のお店は、昭和50年頃からスーパーの進出やライフスタイルの変化によって需要が減りすたれていきます。地域の布団屋も西川などの大手のチェーン店になることによって、工場で生産する製品を販売する職人が作るものではなくなったのです。

京座布団の製作、こんなに綿が入ります

髙岡は、西川などの大手の百貨店への進出にともない1995年頃に販売戦略を見直し、大丸集中型から職人が作る製品を主力に据えた、販路拡大に動き出します。1999年にはモダンな和ブランド・洛中髙岡屋を立ち上げます。座布団を座るだけでなく寛ぐ道具へシフトさせます。ごろ寝敷布団、おじゃみ(座布団)、こじゃみ(座布団)、せんべい、など現在の主力商品がラインナップされます。2001年に現社長が就任すると、インテリアライフスタイルという展示会に参加し始めます。すると取引先は大丸以外の百貨店、通販会社、インテリアショップや家具店等の新しい業界へとつながってゆきました。

ごろ寝敷布団

 おじゃみ、生地はオーダーメイドできます。名前も刺繍で入れられます

京座布団、少し縦長なのが特徴です

座布団の始まりは、平安時代に位の高い人が座る場所を示す茵(しとね)だと言われています。つまり京都がルーツである京座布団の文化と職人手仕事の技をかたくなに守ったうえで、寛ぐことをコンセプトに進化させたものを「寛具」と名付け、オーダーメイドのカスタマイズされた商品をお届けするそうです。通販で購入できますが、是非来店して生地選びと製作工程を見学されることをお勧めします。

五条通に面してあるショウルーム

 おじゃみ¥8000~ ごろ寝敷布団¥15000~ せんべい¥10000~など 税抜価格

(株)髙岡 〒600-8331京都市下京区五条通油小路東入

075-341-2251 日祝休、土曜日不定休 9:00~17:00

https://www.takaokaya-shop.com/

楽天やAmazonなどでも購入可

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