トコトコ東北 by 川崎久子

第10回 小さな城下町で驚きの体験、白石城ミュージアムの歴史シアターは配役が豪華すぎる!(宮城県・白石)

白石城の歴史探訪ミュージアムに展示されていた甲冑もソーシャルディスタンス

世界史か、日本史か。大学受験で選択を迫られた時のこと。それまでの世界史の授業で、先生がおどろおどろしく語るハプスブルクの血みどろの歴史秘話や皇妃エリザベートの執拗なまでの美意識などなど欧州史っておもしろい!と、がぜん興味を持った私。迷わず世界史を選びました。20代ではじめて海外生活を体験した際に、もっと日本の歴史や文化について学んでおけばよかったと、後悔することは知る由もなく……。

時は流れ、最近、東北の各地を訪れるたび、特に城下町に心惹かれるようになりました。歴史上のエピソードが残る地に立っているのだと実感できるからか、歴代藩主によって守られた工芸があるからか。城のない街で生まれ育った私は、城下町にそこはかとない憧れを覚えます。

東北新幹線・仙台駅からひとつ東京寄り、白石蔵王駅に降り立つと、遠くに蔵王連峰の雄大な山並みを遠望できます。街の中心に立つ白石城は、東北の雄として名を馳せた伊達政宗の右腕、片倉小十郎景綱が住まった城。一つの国に一つの城のみと定められた「一国一城令」が1615年に江戸幕府によって出されましたが、仙台藩は特例で仙台城に加え白石城を置くことが許されました。白石は小十郎以降、明治維新までの約260年間、片倉家によって治められました。戊辰戦争の際、かの有名な奥羽越列藩同盟が結ばれたのもここ・白石城です。

在りし日の白石城のミニチュアと、
ミニチュアと近いアングルから撮影した復元された白石城天守閣

歴史探訪ミュージアムでは白石の歴史についても紹介

白石城発掘時に見つかった陶磁器のなかには、相馬焼も。
トレードマークの馬の絵でそれと分かります

城が立つのは標高約76mの丘の上。天守閣に隣接して城の歴史などを紹介する歴史探訪ミュージアムがあります。このミュージアム内にある3Dハイビジョンシアターの上映作品が、かなり豪華!奥羽越列藩同盟秘話など3作品を上映しているのですが、西郷輝彦、渡辺謙と名だたる俳優が出演しているのです。大河ドラマ『独眼竜政宗』を見たことがある方なら垂涎もの。1作品あたり30〜40分ほどなので、前もってみたい作品の上映時間を確認してから訪れることをおすすめします。

ちなみに、私は「奥羽越列藩同盟秘話 賊にはあらず」を観賞しました。大河ドラマで片倉小十郎景綱を演じた西郷輝彦がプレゼンターとなり物語を進めていく内容で、作中、白石城近くの武家屋敷も登場します。3Dシアターなので、戦闘のシーンなどは弓矢が目の前にびゅっと飛んでくるなど、おおっと思う演出も。西郷さんもまだ若く、大河ドラマを見ていた当時に戻ったような気分になります。時間の関係で1作品しか観られなかったのが残念!

ミュージアムの後、いそいそと白石城の天守閣・三階櫓へ。日本古来の建築様式を駆使し、1995年に復元されたもので、戦後に建造された木造の天守閣としては、高さ・広さともに日本最大級の規模なのだそう。急な階段を上り、最上階へ至ると、眼下に街並みが広がる大パノラマが。天守閣の周辺には桜が植えられ、桜の名所としても知られています。花霞に縁取られる時季の再訪を誓いつつ、白石の街ぶらを楽しむことにしました。

急な階段を上った最上階から市街地を一望

柱は吉野桧、化粧材には青森ヒバや山陰地方の松丸丸太など
主に国産の材料を使用しているそう

奥羽越列藩同盟が結ばれた城にちなみ、
五芒星を染め抜いた奥羽越列藩同盟旗が展示されています

城の周りにおよそ300本の桜が植えられています。
見頃は例年4月上旬〜下旬にかけて(写真提供:白石市・蔵王町)

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