VOL.11 OMO7大阪(おもせぶん) by 星野リゾート サービスチーム マネージャー 高橋一夢さん

OMOらしいカジュアルさとラグジュアリーなサービスを!

 VOL.11 高橋一夢さん 1993年生まれ、28歳 (OMO7大阪 by 星野リゾート サービスチーム マネージャー)

20224月にオープンしたOMO7大阪 by 星野リゾート。

前編 後編

フルサービスとカジュアル、そしてラグジュアリーを目指すという欲張りな施設です。この施設のダイニングで奮闘する高橋一夢さんに試行錯誤を伺いました。

 ―――今のお仕事を教えてください。

 OMOダイニングのディナーとランチのサービスをしています。OMO7大阪は、なにわラグジュアリーというコンセプトがあり、ダイニングについても、OMOというカジュアルなブランドのなかでラグジュアリー感を加味、これは初の試みです。いかにお客様に満足していただけるかをサービスチームで考えています。

そのひとつが、QRコードで大阪の伝統料理をお伝えすることです。ディナーでは「Naniwa Neo Classic(なにわネオクラシック)」と「Naniwa KUSHI Cuisine」(なにわ串キュイジーヌ)の2つのコースを用意しています。Naniwa Neo Classicは大阪の伝統料理を斬新にアレンジしていますので、まずその料理について知っていただくことが大切だと思っています。通常であれば紙ベースでお伝えするという方法がありますが、お客様ご自身がスマホでQRコードを読み取って、伝統料理の知識を得ていただくというプレゼンテーションを考えました。

ご自身で読み取るという体験を通して、料理のストーリーを理解していただければと考えました。例えば箱寿司は酢飯と魚介を詰めた押し寿司ですが、コースでは前菜とデザートという形で登場します。また船場汁は魚のアラで作る具沢山の汁ですが、これはブイヤベース風に仕立てています。本来の郷土料理を理解していただくことで、料理がより楽しく味わい深いものになると思います。

 箱寿司をアレンジした前菜

 

―――開業に合わせて移動されたと聞きました。

入社後、星のや京都、星のや沖縄で働いていました。星のやとは異なるブランドを経験してみたいという気持ちがありました。星のやは星野リゾートのマスターブランドで、その世界観が出来上がっています。しかしOMOはまだこれから作り上げていくブランド。現場で試行錯誤ができる、チャレンジしてみたいと思いました。

試行錯誤といえば、Naniwa KUSHI Cuisineというコース料理は、串を使った料理が次々登場しますが、調理チームと話していたのは、串の向きをどうするかということです。料理のコンセプトや食べ方に合わせてどう向けるかという、細かいところまで何度も検討を重ねました。

親しみやすく、硬すぎないサービス、この施設ならではのダイニングを作り上げたいと思っています。

串の向きは?検討を重ねました

 

―――学生時代は何をされていたのですか?

 大学で茶道部に在籍していました。お茶や和菓子が好きだったという単純な理由から始めました。茶道はいろいろな決まりごとはありますが、決して敷居が高いものではありません。茶道を通して、器やお花、掛け軸、設え、建築など幅広い日本の文化を総合的に触れることができ、それが楽しかったですね。じつは入社の決め手も、日本文化の発信ができれば、と思ったからです。お茶会を開くときは、お茶会の趣旨に合わせて、部員自身で道具や菓子を決めます。お茶会ごとにストーリーがあり、ひとつひとつ作り上げていく。今、それが仕事でも生かされていると感じます。

 

―――休日の過ごし方を教えてください。

街歩きが好きなので、よく歩いています。最近のお気に入りは大阪城の北東を流れる大川沿いです。緑が多くて、桜並木が綺麗です。商都・大阪は川でできている、舟運を使って様々な食材が集まってきたという、ストーリーも考え中です(笑)。また、香炉や茶入れなどの名品がある美術館を訪ねて、茶屋でお茶を楽しんだりしています。

最近の街歩きでは美術館巡りも(写真:高橋さん提供)

 

―――今後の展望を教えてください。

 コロナ禍が落ち着くと、海外からのお客様も増えてくると思います。じつは私は大阪のインバウンドの賑わいというのを知りません。今は日本人のお客様に向けた文化の発信を考えていますが、今後はインバウンド対応も視野に入れないといけないと思っています。大阪の文化、日本の文化をいかに理解してもらうかという、大きな課題が待っています。ダイニングを通して、地元の大阪の方も知らない奥深い文化を伝え、大阪の新しさを感じてもらえる施設にしたいと思っています。

 

関屋メモ

若さっていいですね~ 目をキラキラ輝かせ、いろいろなアイディアを実現させていく、そんな仕事の楽しさを満喫している高橋青年。茶道を嗜むとあって、奥ゆかしさも感じられる人柄? じつは出身は山形ということできっと東北人の慎ましさがあるのでしょう。大阪人の馴れ馴れしさ(いい意味で)は嫌ではないという、東北人にしては結構順応性があるタイプみたいです。今度会った時にはノリツッコミや、関西弁で対応してるかも?それもよし、今から楽しみです!

 

取材・文/関屋淳子 撮影/yOU(河崎夕子)

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ