第125回 新シリーズ「旅好きなあの人と。」episode1 沖縄出身のファッションデザイナー、比嘉京子さんが訪ねる「星のや沖縄」(沖縄県・読谷村)

 

【記事の最後に星野リゾート施設の宿泊券プレゼントのお知らせがあります】

 読谷村の自然海岸沿い、約1㎞にわたる星のや沖縄。沖縄ラグジュアリーの最高峰であるこの施設については、旅恋ではこれまでも琉球ガストロノミアとトスカーナワインのマリアージュ春の贅沢滞在などでご紹介してきました。

 今回は、沖縄出身のファッションデザイナーで、国内外で活躍する比嘉京子さんに非日常の滞在を体験してもらいました。

比嘉さんは浦添市にもお住まいがあり、今も東京と沖縄を行ったり来たり。沖縄の友人との待ち合わせには、星のや沖縄に隣接するバンタカフェ by 星野リゾートをよく利用するとのこと。もちろんホテルの存在は知ってはいたものの、独特のグスクウォールに囲まれた内部へは初潜入。さっそくチェックインです。

 最初に通されるレセプションは深い海の底をイメージした空間。南国の強い日差しから一転、静寂の世界に導かれます。

 

受け継がれる琉球文化を体感

 客室は全室オーシャンフロント。今回の宿泊は星を意味する「フゥシ」という客室で、堀ごたつ式の床座リビング、土間ダイニング、ベッドルールから成ります。ベッドルームの琉球紅型の壁紙は読谷村に伝わる伝説や風習をストーリー仕立てにしたもの。「やちむんの登り窯や猫がいるわ。読谷村らしいですね」と、比嘉さんも感心しきり。この壁紙の原画はラウンジである集いの館に飾られているので、是非チェックしてみて。

ブーゲンビリアが彩る壁紙

集いの館の琉球紅型原画

旅装を解いたところで、道場へ向かいぶくぶく茶を味わいます。煎り米を煮出した湯1に対し、さんぴん茶2を加えて専用の鉢と茶筅で泡立てます。最初に泡をがぶり、そしてこぼさないようにさんぴん茶を味わいます。

「私が知らない琉球王朝の文化かしら?」と、比嘉さんは初見。かつて港町で親しまれ、旅人の疲れを癒し、航海の安全を願うという思いで振る舞われたお茶とのことで、特別に泡立て体験も。手首のスナップをきかせながら、シャカシャカとリズミカルにきれいな泡が立ちました! じつは沖縄の硬水だからこそ、泡に弾力があり崩れないそうです。

 

 

捨ててしまう月桃を活用したい

 今回は、施設での月桃を用いた新たな取り組みについて知る機会も得ました。ショウガ科の月桃は沖縄ではごく身近な植物として親しまれています。ムーチー(餅菓子)を蒸すときには抗菌・防腐作用がある月桃の葉で包んだり、種子は月桃茶に用いるほか薬草としても利用されています。

生命力の強い月桃は施設内で大量に茂るため捨ててしまうことも多々。それを少しでも活用したいと、施設内で使用する円座の作成を始めました。

左:月桃の実と葉 右:春の月桃で染めた月桃染め

円座作り

 

手順は月桃の茎の部分を割き、ワタを取ります。薄い皮状にして2日ほど乾燥させ、水に濡らして柔らかくして円座を作ります。さらに円座は使ううちに、ほころびてしまうため、スタッフが自分たちで修復もしています。今夏に始まったばかりの取り組み。比嘉さんもワタ取りと、縫い付けに挑戦です。

ワタを取り、乾燥させ、縫い付ける

「雑草のように思っていた月桃がこうして使われているなんて、驚きです。ワタを取るのも楽しかったし、円座の修復も最後まで仕上げたかったです」と比嘉さん。さすが針を持つ手が様になります。

 

 

 

日が傾くころ、集いの館では宵の座が始まります。今宵は三線の音に合わせて歌う琉球民謡。どこか郷愁を誘うメロディと、しっとりと心情を歌い上げる素朴さ。ゆるやかな島時間が流れます。比嘉さんも子どもの頃に親しんだ曲を懐かしく思い起こしていました。

 

今回の夕食はバンタカフェにあるオール―グリル by 星野リゾートで。ディナーは薪火で焼き上げるステーキやシーフードなど。肉好きの比嘉さん、そのボリュームと素材の良さを堪能しました。

 

花と海と馬に癒される

 よく眠った翌朝は道場で朝の鍛錬深呼吸でスタート。琉球空手の型を取り入れたストレッチで体を目覚めさせます。海を眺めながらスタッフの指導で30分、指先から足先まで“気持ちいいモード”を送ります。

 

気分がすっきりしたところで、ゆんたく庭めぐりに参加。ゆんたくとはおしゃべりのこと。スタッフの案内で植栽豊かな中庭を歩きながら植物のこと、沖縄の風習のことなどをおしゃべりします。

じつはチェックインしてから、比嘉さんはこの中庭の素晴らしさに圧倒されていたといいます。「まるでイングリッシュガーデンのように、自然体でありつつバランスがいい。よく手入れされているし、植物が生き生きとしていますよね。まさかあの塀の内側にこれほどの彩りがあるとは思いもしませんでした。様々な草花に癒され、心が豊かになります」

ハイビスカスだけで100種類はあり、花びらの中央にある花柱が短いものは沖縄産でアカバナ―と呼ぶ、あるいはモンパの木は昔、水中メガネの木枠に使われていたなど、それぞれの植物が愛おしくなる話をたっぷり知ることができます。

スタッフの宮城まゆみさんと

 

星のや沖縄ではご紹介した無料のアクティビティのほかに、琉球舞踊や琉球空手の手習いなどしっかり学ぶプログラムも用意。そのなかから、馬に乗って海岸線を散歩したい!という比嘉さんのリクエストで朝凪よんなー乗馬を体験。馬とも触れ合い、さらに癒されました。

 

 

朝食は琉球朝食をいただきます。マース煮やゆし豆腐、ラフテー、炊き込みご飯のジューシーなどの伝統的な沖縄の味覚が揃い、質量ともに満足のいくもの。「素材の味わいが感じられて、しっかり腹ごしらえしました」と、比嘉さん完食です。

 

今回の滞在を振り返って、比嘉さんは以下のように話します。

「客室は海と植物に囲まれ自然の中にいるようで、それでいて凛とした雰囲気がとても気に入りました。集いの館や道場へ行くのも、カートを使わずに中庭を歩きました。この動線がとてもいいですね。沖縄のアメリカンカルチャーの中で育った私にとって、ここは私の知らない沖縄の一面も教えてくれたような気がします。もっと頑張って、長期滞在を楽しめる様に、豊かになりたいと思わせるポジティブなエネルギーが湧いて来る、星のや沖縄でした」

 

比嘉京子さん キョウコ・ヒガ

沖縄県浦添市出身。文化服装学院卒業後、ロンドンでの生活を経験。1991年「キョウコ・ヒガ」ブランドを立ち上げ、東京コレクションに参加するなど高い評価を得る。2000年の九州沖縄サミットでは、G7各国の首脳のためのサミットウェアのデザインを担当。エイジレスで、ポジティブパワーにあふれるデザインを目指す。

  

星のや沖縄

沖縄県中頭郡読谷村儀間474

050-3134-8091(星のや総合予約)

  

取材・文/関屋淳子 写真/yOU(河崎夕子) 

 

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