第69回 大正3年からSDGsを実践していた!? 軽井沢星野エリアが取り組む自然との共生(長野県・軽井沢町)

最近よく聞きますよね、「SDGs」という言葉。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、クリーンなエネルギー、気候変動への具体的な対策、つくる責任・つかう責任などの17の目標で構成されています。2015年9月に国連で開かれたサミットで決められた国際社会共通の目標なのですが、実は星野リゾートは1914年の開業当初から持続可能な先進的な取り組みを行っていたのです!

といってもピンと来ませんが、1914年は大正3年のこと。なんと、星のや軽井沢の前身である星野温泉旅館では、開業当初から自家水力発電を導入し、電気をまかなってきた歴史があるのです。

星野リゾート×旅恋コラボ 第68回では星のや軽井沢の森林養生をご紹介しましたが、今回は豊かな自然を生かしたエコリゾートへの取り組みをご紹介します。

開業当初の星野温泉旅館(写真提供:星のや軽井沢)

星のや軽井沢を語る上で欠かせないのが、ほぼどこからでも聞こえる清らかな川のせせらぎ。敷地内にはこの川を使った水力発電所が2カ所あり、そのひとつが開業時に造られたものを元に、現在三代目として稼働中です。年間の平均発電量は実に約76万KWh。客室なら約75室分の電力をまかなえる程の電力量です。

星のや軽井沢の集落内を流れる川。
敷地内の樹木は伐採せず、星のや軽井沢の工事中も仮植などして保全したそう

星野温泉 トンボの湯」近くにある三代目の水力発電所

集落を流れる川は、川の下流・星野温泉エリアにある立ち寄り温泉「星野温泉 トンボの湯」近くの水力発電所のために調えられた調整池、沈砂池という役割を担っています。谷の集落を作り出す美しい水辺の風景が、まさかエネルギーを生み出しているとは驚きです!

源泉かけ流しの立ち寄り温泉「星野温泉 トンボの湯」

また、星のや軽井沢の宿泊客専用の温泉「メディテイションバス」の地下にも秘密のエネルギー源があります。星野温泉には7本の源泉があり、毎分約383リットル、約40℃の豊富な温泉が排出されています。このあたたかい湯を水冷ヒートポンプを活用して熱エネルギーを生み出しています。コスト面などで電力自体を貯めておくことは実用的でないため、作った電力を使って冷たい熱や温かい熱に変えておき、翌日の給湯として利用できるように一時的に貯めて利用できるようにしています。これも源泉の排湯熱を利用した、省電力となる技術のひとつです。

星のや軽井沢のメディテイションバス(右上の建物)。
水辺のあちらこちらで水鳥の姿を見られます。きっと居心地がいいのでしょうね

さらに、星のや軽井沢の地下には「地中熱交換井」と呼ばれる井戸が3本あります。これは、地中深く約400mにある地中熱交換井へ15℃の水を循環させながら、地中の熱を採り出すシステムのこと。40分かけて水を地中へ送り、4分かけて採り出すと、地中の熱で25℃くらいまで自然にあたたまるそうです。採り出した熱は温泉の排熱湯と合わせて利用されます。

氷蓄熱槽や貯湯槽、ヒートポンプなど。
敷地を流れる川や温泉、地熱などを使ってエネルギーを生み出しています

これらの三位一体の仕組みは「星のや軽井沢」開業の2005年から本格的に稼働し、約2割を水力で、約6割を地熱で、エネルギーを生産できているそうです。

他にも、近隣の牧場と連携した生ゴミの堆肥化や堆肥を利用した乳牛たちの寝床作り、普通は廃棄してしまう野菜の芯や皮などを出汁にして丸ごと料理として味わう「一物全体食」、全社員が徹底するゴミの28種類の分別(社内では、ゴミを“資源”と呼ぶとか)など、ゴミの資源化100%を目指しているそうです。

星のや軽井沢の日本料理 嘉助で味わえる野菜たっぷりの朝食

また、持続可能なリゾートのために取り組んでいることに、「エコツーリズム」もあります。星野温泉二代目当主の星野嘉助氏が、日本野鳥の会創設者であり歌人の中西悟堂氏に師事したことから保全活動に目覚め、その経緯で「国設 軽井沢野鳥の森」が制定されました。浅間山麓の森は、日本初の国設鳥獣保護区になった場所です。

そして、1992年に現代表の星野佳路氏が星野リゾートに「野鳥研究室」を設置、1995年に「ピッキオ」と改称され、エコツーリズムを行う専門部署となりました。「利用者に自然に親しんでもらい、生き物の凄さを実感・感動・そして理解してもらい、自然を守りながら未来に生態系を残すこと」がピッキオの目標です。活動の柱は、軽井沢星野エリアを訪れる方々が参加可能なネイチャーツアーと保護管理。詳しくは、旅恋アンバサダーの多田が小学生の息子さんと2019年に訪れた際の紹介記事をご覧ください(内容・データ等は掲載当時のものです)。

https://www.tabikoi.com/hoshino/40picchio/

今回の取材では、多田の記事で紹介されているクマ対策犬のベアドッグご本犬にはお会いできませんでしたが、お話を聞けば聞くほど、素晴らしい働きぶりのお犬様です。ハンドラーの方とともにシフト制で24時間体制でクマを監視をしているとは頭が下がります。そして約20年かけて軽井沢町と密接にじっくりとクマ対策に取り組んできたことが、今の安全へとつながっていることを実感しました。

イカルカフェを併設するピッキオのビジターセンター。冬にはケラ池はスケートリンクに

一時訪れる観光客のひとりとして出来ることは、ゴミのポイ捨てをしない、むやみに気ままに森に入らない、そしてもちろん自然を愛することなのかもしれませんね。

ピッキオ https://picchio.co.jp

星のや軽井沢 https://hoshinoya.com/karuizawa/

取材・文:塩見有紀子

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