第66回 前編「OMO3京都東寺」「OMO5京都三条」からGO 近所!京都旅をもっとディープに楽しもう(京都府・京都市)

「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」がコンセプトの「星野リゾート OMO」に、2021年4月15日、「星野リゾート OMO3京都東寺」「星野リゾート OMO5京都三条」が仲間入り。これまで旅恋でも2018年に開業した「OMO7旭川」、「OMO5東京大塚」をご紹介してきましたが、さて、ここで素朴な疑問。OMOのあとに続く数字の意味は?
答えは、ホテルで受けられる“サービスの幅”です。「OMO7」は、レストラン・カフェ、大浴場が備わるフルサービスホテル、「OMO5」はカフェ完備のブティックホテル、「OMO3」はカフェがない代わりに“Grab & GO”のスナックコーナーを設けたベーシックホテルを意味します。どのナンバーのホテルでも、OMOの魅力の一つであるローカルガイド・アクティビティや「Go-KINJO MAP」、ラウンジがあるのは共通です。例えば、朝食はゆっくりホテルで楽しみたいなら「OMO5」、ホテルの近くに目当てのモーニングがあるなら「OMO3」など、旅の目的でセレクトできます。
今回は、開業したての「OMO3京都東寺」と「OMO5京都三条」を前編・後編に分けて、ご紹介します。

「星野リゾート OMO3京都東寺」ステイで世界遺産・東寺が“私の庭”に
東寺と聞いて真っ先に思い出すのは、新幹線の車窓からも見える、あの五重塔。「星野リゾート OMO3京都東寺」は、JR京都駅から徒歩約13分、近鉄京都線東寺駅から徒歩約2分の好立地にあります。もちろん、東寺も徒歩圏内!旅装を解くのももどかしく、ご近所ガイドOMOレンジャーの案内で、東寺散策へ出発です。

ご近所アクティビティ「東寺まんだらさんぽ」で東寺の魅力を知る
ガイドを務めてくれたのは、OMOレンジャーのお一人、石橋さん。
大阪府出身の石橋さんは、なんと四国八十八か所霊場をすべて巡ったという経験の持ち主。その際、霊場を開創した弘法大師空海が、いかに偉大な人物であるかを知ったのだそう。平安京を開いた桓武天皇の命で造営された東寺は、嵯峨天皇の治世で弘法大師に託されました。この東寺を、弘法大師をこよなく尊敬する石橋さんが案内すると、それはもう京都の夏より暑い(熱い)ガイドになります。

この日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天気のため、まずはエントランスの正面に飾られた「まんだらアート」で仏像についてのプチ講座。“まんだら=曼荼羅”は、密教の教えである仏様の世界観を絵に表したもの。東寺にはなんと、曼荼羅を仏像で表現した立体曼荼羅があり、OMO3京都東寺の「まんだらアート」には、この立体曼荼羅の21躯が描かれています。このあと本物にご対面するのかと思うと、胸が高鳴ります。

車が行き交う九条通りから南大門をくぐり、東寺の境内へ入ると、喧騒が遠のくよう。正面に見えるのが金堂で、その背後に講堂、食堂(じきどう)と連なっています。建物こそ、戦火などで焼失しましたが、この並びは平安時代に創建された当初と全く同じ。石造りの基礎をそのまま活用し、再建されています。

「ぜひ、見て欲しい道があるんですよ」と石橋さんが案内してくれたのは、金堂などを挟み、南大門と相対して
立つ北大門。

そこから延びる櫛笥小路は、なんと道幅が平安時代のままなのだそう。遠くに新幹線の高架橋が横切っているのが見え、道沿いの高校からは吹奏楽部と思しき、楽器を演奏する調べが聞こえてきます。現代の日常と隣り合わせの平安京の風景に、悠久の時の流れを感じずにはいられませんでした。

立体曼荼羅を拝観できるのは、講堂のなか。ほの暗い堂内に入ると、すぐそこに21躰の仏像が静かに佇んでいます。大日如来を中央にした五智如来、その左右に五菩薩、五大明王が配され、さらにその端に四天王と梵天・帝釈天が安置されています。表情、出で立ち、どれをとっても美しく、その荘厳な空気に圧倒されます。石橋さんが丁寧に仏像の持つ意味を説明してくれるので、より深い鑑賞の時になります。

講堂前から望む金堂(講堂・金堂ともに、内部は撮影禁止になっています)

今日はいい写真が撮れるかも!とおさんぽ途中、石橋さんに五重塔のフォトスポットを教えていただきました。五重塔の周りに広がる庭園に瓢箪池があり、そのほとりに立つと、水面に逆さ五重塔が!時おり、アメンボが静かな水面を散らすのも微笑ましく見えました。

見てください!と言われて石橋さんに注目していたら気づきませんでしたが、ちょっと引いてみると、水面に五重塔の全容が!

もう一つのご近所アクティビティ「国宝の朝さんぽ 〜空海に会える朝〜」
弘法大師空海への愛に満ちた石橋さんが強くおすすめするこちらのご近所アクティビティ「国宝の朝さんぽ 〜空海に会える朝〜」は、早朝の出発。日々東寺で行われる弘法大師へお食事をお供えする法要「生身供」に参加します。

OMO3京都東寺オリジナルの数珠の貸し出しもあります。コロナ禍で手水が使用できないため、お清めの道具で、お香の一種
「塗香(ずこう)」も用意されています。塗香を手首にすり込み、身を清めて。


法要が行われるのは、弘法大師の住房であった大師堂。毎朝の生身供と毎月21日の弘法大師の命日の際にのみ、
国宝である弘法大師像を安置する厨子がご開帳されます。信者の方々とともにお経を唱える時は、貴重な記憶に
なるでしょう。

大師堂の南側、「ちょっと気になる碑がありますよね」と石橋さんが案内してくれたこちらの石碑。亀のように
見えますが、中国の想像上の生き物「贔屓」で、竜の子どもなのだそう。「万病手ぬぐい」を手に、贔屓をなで、
それから自分の患部をなでるとご利益が得られると聞き、必死に頭をなでなでしました。

法要の帰り道、早朝にオープンする門前の店に立ち寄ります。その名も「東寺餅」。

大正元年に兵庫県の城崎で創業し、その後、東寺の門前に移転した和菓子店で、看板菓子の「東寺餅」は、
3代目店主の沼田友幸さんが考案したもの。ふっくらとした求肥でこし餡を包んだひと品で、求肥はもうふわっ
ふわ。なんとメレンゲを加えているそうで、そのおかげで、日持ちもよく、2日ほどこの柔らかさが続きます。
私も購入した翌々日にいただきましたが、まだふっくら柔らかで、上品な甘さの餡とともにおいしくいただき
ました。東寺土産として持ち帰るのもおすすめです。

看板菓子「東寺餅」と、夏越しの祓にちなんだ初夏の菓子「みな月」。レンジャーイチオシのわらび餅は、この日は夕方に訪れたので
残念ながら売り切れでした。「空海の朝さんぽ」なら開店直後に立ち寄るので、購入できる可能性が高いです。店主の沼田さんは
カメラがご趣味。腕前はもう玄人はだしで、店内にも沼田さん撮影の五重塔の写真が飾られていました。さすが和菓子職人だけあって、
写真の色合いが鮮やかで美しい!訪れる際には、和菓子ももちろんですが、地元愛に満ちた写真も注目です。

*ご近所アクティビティはコロナの感染状況により休止となる場合があります。
最新の状況はHP等でご確認ください。


「OMO3京都東寺」のパブリックスペース「OMOベース」はユニークな仕掛けがいっぱい
フロントやライブラリーの機能を備えたOMOベース。レストランやショップなど、OMOレンジャーが街に足を運んで見つけた情報をまとめたご近所マップに加え、OMO3京都東寺のOMOベースには独自のスペースがあります。

引き戸になったご近所マップを開くと、東寺エリアの平安時代の古地図が現れます。

写経テーブルもその一つで、ここではなんと砂の上に文字を記します。砂ですから、消すのはひと掃き。
心の赴くまま、書を楽しめます。

写経テーブルを石橋さんが実演!「般若心経」と書いてくださいました。

もちろん、通常の写経もご用意。書き上げた写経は、かの五重塔に奉納されるので、ぜひ体験してみて。

紙の写経を心静かに書き上げたら、フロントにて写経と志納金500円を納めます。

写経テーブルのお隣には、五重塔の心柱をイメージした心柱ブックテーブルがあります。柱が本棚になっており、
東寺や弘法大師にまつわるものなどOMOレンジャーがセレクトした書籍を自由に楽しめます。

心柱ブックテーブルにはさまざまな本が。OMOレンジャー推し情報には付箋も。

自由に飲めるドリンクコーナーや軽食などの自販機が設置された「Grab and Go」コーナー。館内はキャッシュレス仕様になっています。


【星野リゾート OMO3京都東寺】
料金:1泊2名1室の場合、1名あたり4,500円〜(税込、食事別)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo3kyototoji/

・星野リゾート OMO5京都三条編はこちら

取材・文/川崎 久子

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