世界のファインダイニング by 江藤詩文

第12回 沖縄出身の匠が沖縄料理を洗練させたらこうなった!ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄「シラカチ 炉端」(沖縄県・恩納村)

東京の私の事務所から、徒歩15秒の角にオープンした沖縄料理店。何でもテイクアウトできるし、値段は安いし、元気なスタッフが気持ちいいし、自粛期間中はお世話になりました。だけどいつも思っていたのです。沖縄特有の食材、たとえば海ぶどうに大衆的なポン酢を、島らっきょうにスーパーでよく見るかつお節としょう油をざっとかけるのではなく、日本料理のアプローチで調理したらどうなるんだろうって。


「琉球スペシャリティー」からヤギ刺しサラダ。
一般的にヤギには臭み消しのためにフーチバー(ヨモギ)を合わせますが、
ここでは新鮮で上質なヤギ肉を仕入れているので、
やわらかな苦味のサラダ春菊を使っています

そのひとつのアンサーを見つけたのがハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄「シラカチ 炉端」です。今年(2021年)3月、メニューを一新してリニューアルオープンしました。新しいメニューは、沖縄で親しまれてきた料理をそのままクラスアップした「琉球おばんざい」、沖縄料理に料理長の創作性をプラスした「琉球スペシャリティー」、沖縄産を中心に、素材の持ち味をシズル感いっぱいに楽しめる「炭火焼き」の3部で構成されています。


 ビールにも泡盛にも合う「やんばる鶏のささ身とハンダマの山葵醤油和え」

たとえば「琉球おばんざい」にラインナップされている、ハンダマを使った一品。昔から産後の肥立ちによいと言い伝えられ、特に女性に好まれてきた島の葉野菜で、酢味噌で和えたりおひたしで食べるなどが一般的だそう。それをシラカチではさっとゆで、沖縄のブランド鶏「やんばる鶏」のささ身と共にわさび醤油で和えています。


「琉球スペシャリティー」から、沖縄でよく食べられるセーイカ(ソデイカ)を使った「セーイカ、中トロの手巻き 海ぶどう添え」。海ぶどうはこういうのが食べたかった!

こんな素敵な新メニューを考案したのは、琉球料理伝承人で泡盛マイスターでもあるシラカチ統括料理長の嘉数順さんと、「炉端」スーシェフの宮城進さん。沖縄県が認証する琉球料理伝承人は、沖縄の歴史や地理、行事食、器など、総合的な知識を持っていると県が認めた、実績のある料理人に与えられるそう。


「琉球スペシャリティー」から
「島らっきょうと鮪ほほ肉のちゃんぷるー」。
沖縄では手でちぎるのが当たり前だった固い島豆腐を、
美しく切り揃えて均一に火を通しています

実は2019年に「かんだ」の神田裕行さんが1年間監修に入ったことで、繊細な日本料理の手仕事から学びもあったとか。
沖縄で生まれ、沖縄料理を食べて育ち、その魅力を地元出身の自分たちの手で発信したいという嘉数さん。嘉数さんお気に入りの泡盛やオリオンビールのほか、ソムリエによる全国の銘酒や国産ワインまで取り混ぜたペアリングのセンスも抜群でした。


琉球料理伝承人資格の保持者で泡盛マイスターでもあるシラカチ統括料理長の嘉数順さん(左)と
スーシェフの宮城進さん。セレクトがすばらしい日本酒も要チェック

<データ>
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄
https://www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/hyatt-regency-seragaki-island-okinawa/okaro
公式サイトからオンライン予約できます。

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