星野リゾート×旅恋 記事

 第48回 出来立てホカホカ!「星野リゾート 界 長門」(山口県・長門湯本温泉)は今一番ア…

2020312日にオープンしたばかりの「星野リゾート 界 長門(ながと)」。長門って、どこ?という方も多いと思います。施設があるのは山口県長門市、萩から車で1時間ほど、秋吉台・秋芳洞へは車で40分の日本海側の町です。

長門湯本温泉の知名度は観光経済新聞発表の2019年度のランキングでは48位。これって相当の温泉好きでないと知らないかもです。ご記憶にある方ならば、2016年プーチン大統領が来日した際に、安倍首相が日露会談の旅館に選んだ場所が長門湯本温泉です。

なぜここに、「界」が? それは2016年に星野リゾートが長門湯本温泉観光まちづくり計画に参画したことから始まります。今に至る経緯はまた別の機会にご紹介するとして、今回は今一番新しい、ピカピカの「星野リゾート 界 長門」をご紹介します。

テーマは藩主の御茶屋屋敷

 長門湯本温泉は今からおよそ600年前に大内家の菩提寺・大寧寺(たいねいじ)の和尚が住吉大明神からのお告げによって発見された、県では最古の歴史を持つ温泉で、江戸時代には藩主も度々、湯治に訪れています。そこで、藩主が休む屋敷を意識し、テーマは武家文化を発信する御茶屋屋敷。外観はどっしりとした格式ある面構えです。

重厚な外観の「星野リゾート 界 長門」

40室ある客室は「長門五彩の間」と称し、山口県の伝統工芸である「徳地和紙」「萩焼」「萩ガラス」「大内塗」そして「窓から見える四季折々の景色」が彩ります。なかでも徳地和紙のベッドボードはきらびやか! 現在数戸しか残っていない紙すきの職人の方が仕上げた大作で、殿様気分が盛り上がります。

客室は4タイプ

また客室全体を引き締めるのが萩焼のオブジェ。温泉地に近い深川窯の3人の作家による作品で、ぽってりと温かみのある萩焼とは異なる斬新なものばかりです。窓の外は音信(おとずれ)川を中心とする長閑な温泉街の景観が楽しめます。取材時はちょうど桜が咲き始めたばかり。満開の桜並木を心に思い描いてみました。

「徳地和紙」のベッドボード、「大内塗」の壁飾り、「萩焼」のオブジェ、「萩ガラス」のルームプレート

美肌の温泉と山海の幸

長門湯本温泉は知る人ぞ知る美肌の湯。アルカリ性単純温泉で、ぬるっとした化粧水のような肌触りが特徴です。大浴場は内風呂湯と露天風呂。内風呂湯には「あつ湯」と「ぬる湯」があります。源泉の温度があまり高くないので、ぬる湯は源泉かけ流しとなっています。

大浴場

露天風呂はもちろん気持ちいいのですが、温泉街にある元湯の共同浴場「恩湯(おんとう)」の趣にちょっと似ていて、厳かな気分になります。ぜひ「恩湯」にも入ってその共通点を確かめてみてくださいね。さらに客室に露天風呂を備える部屋もあります。

気持ちのいい露天風呂

 入浴の前にぜひ、受けていただきたいのが「温泉いろは」。界の「湯守り」が温泉の歴史やまめ知識、入浴法などを伝授してくれます。「あつ湯」で体を温め、「ぬる湯」で火照った体を落ち着かせるのがおすすめだそうです。

 

湯守りが解説

夕食は旬の食材を使った会席料理です。先付は雲丹でイカ墨も。萩焼の桃を模った器で登場です。

器は萩焼

仙崎は車で20分ほどにある日本海に面した漁港。なかでもイカの水揚げが多いことで知られ、かまぼこや竹輪も美味しく、朝食ではかまぼこの食べ比べというお楽しみもあります! ちなみに仙崎は文学好きならば詩人の金子みすゞの故郷として有名です。

朝食はこんな感じです

夕食の続きは、御椀の後には、お造りと八寸を盛り合わせる「宝楽盛り」です。萩焼の器と桶を使った演出のインパクトに圧倒です! 県内唯一の桶職人・坂村晃さんが手掛ける桐桶は温泉旅館として風呂桶に因み使用しており、そこのないデザインからは咲の見通しが良いように。仙崎烏賊をはじめとする鮮魚のお造りなどが楽しめます。

運ばれた瞬間、歓喜の声

 合肴、揚物と続き、御飯は石州瓦の土鍋で炊き上げた鰆を使った炊き込みご飯。お腹いっぱいと言いつつもついついお代わりしてしまいました。デザートには山口の銘菓・外郎も入ります。

お替りをどうぞ


最後のデザート

夕食は9月より提供する特別会席は、ふぐをメインにした会席料理を予定しているそうです。お造り、唐揚げ、ふぐと牛肉のしゃぶしゃぶなど。秋以降にもう一度行きましょう。

墨の香りに癒されるご当地楽と街歩き

 「界」では各施設でその土地の魅力を伝えるご当地楽を開催しています。こちらでは「大人の墨あそび」を提案。県の伝統工芸「赤間硯」で墨をすり扇形の型紙に自由に筆を遊ばせます。

硯のもとである赤間石は赤褐色の輝緑凝灰岩で宇部市周辺産出のもの。かつては藩士も好んで用いていたのですが、今は希少。職人が自分で石を採石し、形作っていくそうです。石英や鉄分が多く、表面を触るとざらざらとしたきめの細かい鋒鋩(ほうぼう)があります。これによって早く墨がすれ、赤間硯は今や実用的にも美術的にも価値の高いものとなっています。墨をするなんて何十年ぶり? その香りのよさに気持ちがどんどん落ち着いていきます。

心落ち着く体験

何度が筆で試し書きをしてから、平仮名で「たびこい」と書いてみました。うん、なかなかの出来です! 絵を描いたり英文を書いたり、思い思いの一筆をぜひ。

上出来!

「界」では初の試みももうひとつ。それは宿泊者以外の方も利用できる「あけぼのカフェ」を併設していることです。こちら、「ゆずきち」「夏みかん」という山口らしいジャムと蜜漬けを使ったどらやきを販売しています。このどらやき、もうすでに人気で窓口には長蛇の列! どらやき片手に温泉街をぶらぶら。ぜひ楽しんでみてください。

 

人気のどらやき

「星野リゾート 界 長門」では、将来的に温泉街そぞろ歩きのコンテンツを増やしていく予定です。客室には作務衣を置いていますが、希望で浴衣を用意し、提灯を持って夕暮れ時の温泉街をぶらぶら。ひと足先に体験してみました。ね、いい感じでしょう。

温泉街をそぞろ歩き

長門湯本温泉の温泉街とともにあることを、この施設はこれからも発信し続けていくことでしょう。ここに行かないで、どこの温泉地に行くの?最高に注目の施設です!

 <星野リゾート 界 長門> 

山口県長門市深川湯本2229-1

料金:12食付き 22000円~(21室利用時の1名料金、サービス料込・税別)

予約:0570-073-011 (界予約センター)

 取材・文/関屋淳子 撮影/yOU(河崎夕子)