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 列車で行くVol.14 千葉・鋸山

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東京駅から京葉線、内房線を乗り継ぎおよそ2時間10分。凪いだ東京湾の風景を車窓に見ながら到着した浜金谷駅が、鋸山登山コースの玄関口です。

鋸山は標高329m。山の端の奇岩が折り重なる姿が、ノコギリの歯のように見えることからその名がつきました。低山ながら、見どころが多い山なので、気楽な登山を楽しみたい方にぴったりのスポット。もちろん、もっと楽をして眺望だけを満喫したい方なら、鋸山ロープウェーもありますので、そちらでどうぞ。


さて、プチ登山。

浜金谷駅から登山コースの入口まで随所に案内板が立っているので、地図なしでも迷うことはありません。

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歩くことおよそ10分で、左に「車力道」、右に「関東ふれあいの道」とある分岐点に到達。車力道という力強い名前に惹かれ、左の山道を歩くことにしました。

鋸山は火山性堆積物でできた山です。ここから産出される石は「房州石」と呼ばれ、安政年間に伊豆の石切職人によって切り出されるようになったといわれています。石切の歴史は1982年まで続きました。

車力道は頂上部付近で切り出された石を運び出すのに利用された道で、平坦な場所もありますが、ゴツゴツとした石が転がっていたり、もちろん山ですから急な坂道も。雨上がりの曇り空の下では、ぬかるんで歩き難いところもありました。

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この道を木製の荷車に房州石を載せて運搬する人々を「車力」と呼んだそう。麓まで石を運んだ車力たちは、空の荷車を背負ってまた石切り場へ戻るという重労働を13往復も繰り返しました。車力のなかには女性もいたというから驚きです。登山としては超初心者向けの山道ですが、石を運ぶとなると話は別。ドリンクやランチを入れたリュックを背負っているだけでも、大変だと思う私にはとても無理!(運動不足過ぎ...)。

車力の方々のご苦労を思いながら頂上手前に至ると、木造りの急な階段が続いていました。そこを登り切ると、待っていたのは東京湾一望の大絶景!


...のはずでしたが...

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大パノラマはあいにく靄に遮られ、胸のすくような絶景とはいきませんでしたが、それでも山裾に沿って広がる街並や東京湾を行き交う船を見ることができました。天気に恵まれれば、対岸の三浦半島や富士山まで見晴るかすことができるそう。晴天の日に、ぜひチャレンジしたいところです。


しばしの休憩後、来た道を戻り急な階段を下りたそばにある分岐点から関東ふれあいの道に入ります。途中には今や産業の遺産となっている石切り場の跡が。崖を鋭角に切り取って造られた入口から見える洞窟内は、これまた鋭角に切り取られた岩が柱のように並び、まるで古代の神殿のよう。洞窟の近くにはかつて使われていた石切の道具たちがそのまま打ち捨てられており、その上の岩肌には安全第一の文字が風化せずに残っていました。往時のにぎわいはいかばかりだったのでしょうか。赤く錆び付いた道具たちに感じ入るものがあります。

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↑鋭角に切り取られた崖は古代神殿の入口のようで神秘的         ↑壁に刻まれた安全第一の文字


産業遺産の後に、花のスポットを。

石切り場跡からさらに下った場所、金谷漁港方面を望む観月台の近くにあじさい広場があります。地元の小学生が植えたというあじさいは、例年6月いっぱいが見頃。関東ふれあいの道からも行くことができる日本寺内には8000株あまりのあじさいが楽しめます。

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↑あじさい公園で咲きほこるあじさい


220日~313日まで鋸南町で「頼朝桜まつり」が開催されます。「頼朝桜」は河津桜のことで、町内に14000本も植えられています。「頼朝桜」の愛称は、治承41180)年、石橋山の戦いで平家に破れた源頼朝が真鶴から当地に逃れ、再び反平家の旗揚げをした史実に基づいて名付けられました。頼朝桜の一番のスポットは保田川沿い。最寄り駅は浜金谷駅のお隣、保田駅なので、ちょっと足を延ばしてこちらも訪れてみましょう。

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↑保田川周辺のほか、佐久間ダム公園などにも頼朝桜が植えられています(写真提供:千葉県観光物産協会)



(取材・文 川崎 久子)