今日も古墳日和 by 多田みのり

第3回 フォトジェニックな古墳とバラエティ豊かな埴輪が魅力!保渡田(ほどた)古墳群(群馬県・高崎市)

【古墳群プロフィール】

名   称:保渡田古墳群(ほどたこふんぐん)
古墳の数:前方後円墳3基(二子山古墳、八幡塚古墳、薬師塚古墳)
時   代:5世紀後半から6世紀初頭
整備状況:八幡塚古墳と二子山古墳は「上野毛はにわの里公園」として整備
展示施設:かみつけの里博物館

群馬県高崎市にある保渡田古墳群は、約1500年前の豪族が葬られた古墳で、3基ある前方後円墳はいずれも全長100mを超える大きさを誇り、二重の濠と多くの埴輪を立て並べた堂々たる古墳群です。

空から見た保渡田古墳群。手前が二子山(ふたごやま)古墳、
奥が八幡塚(はちまんづか)古墳、
左中ほどの木々が茂っているのが薬師塚古墳です。
(写真提供:かみつけの里博物館)

初代の王の墓である二子山古墳からは格式の高い舟形石棺が見つかり、周囲からは金銅製の馬具や金製の装飾具など、朝鮮半島製を含む多くの破片が出土しました。

1500年余の時を経たままの姿で整備された二子山古墳。

次に築かれたのが、一際目を惹く八幡塚古墳です。墳丘部には葺石が施され、円筒埴輪列が古墳を囲んでいます。内堤上には人物埴輪や動物埴輪が並べられた形象埴輪配列区が見つかり、54体の埴輪が儀式や狩りの場面を表しています。

古墳築造当時の姿に復元整備された八幡塚古墳。
榛名山をバックに青空に映える美しい古墳です。

狩りの場面を表した埴輪。
弓を引く狩人や鷹狩り(鵜飼という説もあります)をする男性、
矢を受けた猪や犬、鹿などが配置されています。

地下には舟形石棺が据えられた「石棺見学施設」があり、出土時の状況が伺えます。

最後に築造された薬師塚古墳は、西光寺という寺院の境内になっており、地域の暮らしに馴染んだ姿で残されています。

三者三様の古墳の姿が見られるのも、保渡田古墳群の魅力です。出土遺物や八幡塚古墳の築造工程を表した模型などが「かみつけの里博物館」に展示されています。

ところで、現在でも存在感あふれる古墳を見ていると、「古墳に葬られた王たちはどんな生活をしていたのだろう」と思いませんか?

そんな疑問に答えを与えてくれるのが、保渡田古墳群の近隣で見つかった王の館やムラ、水田・畠などの遺跡です。この地域一帯は、約1500年前の榛名山の2回の噴火による火砕流と土石流に襲われ、火山灰にパックされた状態で見つかったのです。この「日本のポンペイ」ともいえる遺跡群により、古墳に眠る王たちの生前の支配域がどんな様子であったかが、解明されつつあるのです。

古墳のすぐそばにある「かみつけの里博物館」では、
古墳や周辺遺跡の出土品はもちろん、
模型などを使って当時の様子をわかりやすく解説しています。
(写真提供:かみつけの里博物館)

★アケスケ・チェック★

きれいに整備されていて、古墳を見ながらのピクニックにも最適。公園に隣接したJAはぐくみ農産物直売所「はにわの里」でのお買い物も楽しめます。

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