今日も古墳日和 by 多田みのり

第19回 三角縁神獣鏡も出土!大和政権との密接なつながりが伺える銚子塚古墳(山梨県・甲府市)

【古墳プロフィール】
名  称:銚子塚古墳附丸山塚古墳
古墳の形:銚子塚古墳は前方後円墳、丸山塚古墳は円墳
時  代:4世紀後半
整備状況:国指定史跡として整備
展示施設:「甲斐風土記の丘・曽根丘陵公園」内に、山梨県立考古博物館がある
U R L:https://www.pref.yamanashi.jp/kouko-hak/standing/choushizukakofun.html

今回はフルーツ狩りとあわせて訪ねても楽しい、山梨県甲府市の古墳をご紹介します。全国に「銚子塚」と名付けられた古墳がありますが、これは前方後円墳の側面の形が酒器の銚子に似ているから。それゆえ地名を冠して呼び分けています。今回の主役は、甲斐銚子塚古墳とも呼ばれています。

丸山塚古墳の墳頂から銚子塚古墳を望みます。甲府盆地を見渡す抜群のロケーションが魅力の古墳です

古墳のある曽根丘陵一帯は弥生時代から古墳時代にかけて、東海地方から富士山西麓を経由する交通の要衝であったことから、権力者の墳墓が集中して作られました。多くの人と文物、文化が交流するこの場所に築かれた銚子塚古墳は、東日本最大級の169mの大きさを誇ります。

銚子塚古墳の前方部から見た後円部。
墳丘全長169m、後円部は直径92m、高さ15mの3段築成、
前方部は幅68m、高さ8.5mの2段築成の前方後円墳です

江戸時代から存在は知られていましたが、竪穴式石室が発見されたのは1928年のこと。古墳の大きさと形、石室の造り、三角縁神獣鏡をはじめとした中国製の鏡などの豪華な副葬品から、被葬者は大和政権と深い関係を持っていたと考えられています。


2001年から行われた発掘調査で発見された突出部(復元)。
大小の石を敷き詰めて葬送儀礼を行った祭りの場と考えられており、東日本の前期古墳では貴重な発見です

スギ材の表面を丁寧に削って加工した、祭りに使う木の道具「立柱」も出土し、復元されています。
柱が埋め込まれたまま発見されるのはとても珍しいケースです

隣接して築造された丸山塚古墳は直径72m、高さ11mの山梨県最大の円墳。銚子塚古墳より少し遅れて造られており、後に続いた権力者の墓と考えられています。1907年に墳頂から竪穴式石室が検出され、鏡や武器、装身具などの副葬品が見つかっています。

美しいフォルムの丸山塚古墳。墳丘は二段築成で、埴輪が立てられていました

★古墳日和ポイント★

山梨県立考古博物館は必見!山梨は古墳だけでなく、縄文遺跡の宝庫でもあります。じっくり見学してみましょう。また一帯は「甲斐風土記の丘・曽根丘陵公園」として整備されているのでピクニックにも最適。お弁当を持参して、ぜひ古代に親しむ1日を過ごしてみては。

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