世界のファインダイニング by 江藤詩文

旅心を貯金しよう!~Keep on traveling,Stay safe~ 第22回 西表島で会いたいのはイリオモテヤマネコよりノコギリガザミ!(沖縄県)

いよいよ都道府県をまたいでの旅が解禁されました。さあ、どこへ行こうと盛り上がり気持ちと、もう少し自粛しようかしらと迷う気持ちがいったりきたり。わくわくする次の旅への想いを心に貯めて、あたためておく「旅心貯金」。もう少し貯金してもいいし、パッと使ってしまってもいい。旅恋厳選、旅心を誘う記事をお届けします!#旅心貯金 #旅恋

 

国内外の美味を求めて旅するフードライター・江藤詩文さんがご紹介します。

第22回 西表島で会いたいのはイリオモテヤマネコよりノコギリガザミ!(沖縄県)

西表島といったら、何を思い浮かべますか?

植物園になっている由布島へ遠浅の海を渡る水牛車も西表島の名物

 

八重山列島最大(沖縄本島に次ぐ2番目の大きさ)で、国が指定する特別天然記念物イリオモテヤマネコの生息地。南米アマゾンを思わせる日本最大のマングローブのジャングルや、透明な海の中では400種類を超えるサンゴが集まって形成するサンゴ礁。奇跡のように守られた雄大で美しい自然、でしょうか。

そんな西表島のアイコンといえばマングローブの森。そして、わたしにとってマングローブといえば、ジューシーで甘い身が詰まったノコギリガザミ(大きなカニ)です。

ノコギリガザミは強靭なハサミを持つ、夏が旬の貴重な食材(写真:PhotoAC)

 

これをたらふくつまみながら泡盛を飲み倒れたい。そんな野望を持っていたものの腰が重かったのは、ネイチャー秘境系の旅先には、虫や小動物が気ままに行き来する、自然と一体感を得られるタイプの宿泊施設しかないことも多いから。

 

けれども西表島には、前身のリゾートホテルをリノベーションした「星野リゾート 西表島ホテル」が、2019年10月にオープンしました。プールにビーチ、デイベッドのある素敵なゲストルームにスパなどなど、快適なステイを楽しみながら自然とも触れ合えるのです。

星野リゾート 西表島ホテル。
プールのすぐ先にはビーチが広がり、客室には天蓋付きのデイベッドも。

 

広々としたリゾート内で、わたしがもっとも気に入ったのは、緑に包まれて森の香りを感じられるオープンエアのラウンジ「KICHI(キチ)」。朝ごはん後に本を片手にくつろいだり、アクティビティ後の休憩タイムにまったりしたり。

フリースペースのラウンジ「キチ」。コーヒーや紅茶も用意されています

 

そうそう、西表島のネイチャーを体験できるプロのガイドつきアクティビティが充実しているのもいいところ。わたしのようなへなちょこ自然好きでも、裸足で海に浸かってのストレッチや、マングローブの森を分け入るカヤックツアーを楽しむことができました。

食事はブッフェが基本。滞在時には泡盛飲み放題(夕食)のサービスが

 

多幸感に満たされた西表島ステイ。けれども島の名を冠したイリオモテヤマネコを見られなかったし、なんと言ってもノコギリガザミを食べそこねたのは、食いしんぼの名がすたるというもの。自然の恵みだからしょうがないとはいえ、未練たっぷり…。

 

でもいいんです。西表島へは石垣島からフェリーで約45分。「星野リゾート 西表島ホテル」へは、港から車で約10分。日本の秘境と言われていますが、海外へ行くことを考えれば簡単、簡単。近くて行きやすい。

星型の砂が見つかる「星砂の浜」の海は透明度が高く、シュノーケリングもおすすめ

 

旅人の心理として、やりそびれた心残りがある旅先ほど、また戻りたくなるものですよね。イリオモテヤマネコとノコギリガザミ、2大目的を逃した西表島をリベンジに訪れたい。

 

だから神様、お願いです。ふたつもなんて欲張りでしたら、この際イリオモテヤマネコは写真でも見ればいいや。次回こそノコギリガザミに舌鼓を打てますように。

取材・文/江藤詩文

 

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ