北陸応援!!3月16日北陸新幹線延伸! 首都圏からぐっと近くなる福井・嶺南の魅力発見! 後編 小浜周辺

東京駅から長野・富山を経由し石川県・金沢駅までつながる北陸新幹線。来る316日には金沢から福井県・敦賀が延伸、前編では敦賀と美浜をご紹介しました。

 後編は、敦賀から電車で1時間ほどの小浜を中心にご紹介します。

小浜は古代から塩や海産物を都へ運んだことから「御食国(みけつくに)」と呼ばれていました。なかでもよく知られるのが鯖街道。若狭湾で獲れた鯖を塩で締め、京都まで丸1日がかりで運び、着いた頃合いには丁度よい塩加減になりました。鯖街道はいくつかのルートがあるのですが、よく利用されたのが小浜から熊川宿、朽木を経て京都の出町柳に至るルート。往時の名残を留める熊川宿を歩いてみましょう。

新しい風が吹く熊川宿

重要伝統的建造物群保存地区である熊川宿には、瓦葺・塗籠造りなどの建物が残ります。約1㎞の街道沿いには水路(前川)があり、宿場町の情緒たっぷり。しかし近年、どの地方も抱える高齢化の問題などで、街道の三分の一、約40軒が空き家になってしまいました。その後2018年頃から民間事業者の参入が増え、熊川地区グランドデザインとして、空き家利用や地域の活性化、魅力発信が進められ、5年間で14軒の空き家が再利用されています。

街道シェアオフィス&スペース菱屋

 

その中心となるのが、「街道シェアオフィス&スペース菱屋」。築130年ほどの大きな古民家はオフィス、カフェ、宿泊施設のラウンジ、食の体験スペース、シェスペースとなっています。なかでもカフェは東京・蔵前などにあるSOL'S COFFEE。焙煎機のある店内では地元の水で淹れた美味しいコーヒーが楽しめます。

SOL'S COFFEE

菱屋の近くには、古民家の宿泊施設「八百(やお)熊川」があります。14組限定、町並みに溶け込む静けさを楽しみ、地元のお母さんたちが作る夕食を味わい、おしゃべりに興ずれば、忘れられない体験になるはず。

 

さらに2023年にオープンした複合アウトドア施設「山座(さんざ)熊川」では、山間の集落で自然を満喫できるとのことです。

街道シェアオフィス&スペース菱屋 

小浜の美味と色香

今回の宿泊は小浜市内にある「夕雅と旬彩の宿 せくみ屋」です。若狭湾を目の前にするホテルで、大浴場と、三方温泉の塩化物強塩泉の露天風呂があります。

 

食事はもちろん海の幸がたっぷり。若狭ふぐのふぐづくしが味わえます。じつは若狭湾は日本最北の海上でのトラフグ養殖生産地。出荷先の大阪・黒門市場で若狭ふぐと名付けられたトラフグは、冷たい雪解け水で身が締まり、旨みを十分に蓄えています。てっさ(刺身)、唐揚げ、焼きふぐ、ふぐちり鍋などで存分に堪能できます。

左上から時計回りにてっさ、唐揚げ、ふぐちり、ひれ酒

北前船の寄港地として栄えた小浜には、三丁町と呼ばれる茶屋町があり、紅殻格子の家並みが色香のある佇まいをみせています。かつては若狭随一の花街として栄え、今も芸妓さんの伝統芸を楽しめる料亭があります。親子で芸を守る芸妓さんがホテルの宴席に華を添えてくれました。艶やかな舞に、しばし旦那衆になった気分でした。

三丁町周辺、寺社や商家などがある一帯は小浜市小浜西組重要伝統的建造物群保存地区となっていて、散策にぴったり。

 

町なかのあちこちには地蔵堂があり、花が供えられ、カラフルなお地蔵様が鎮座しています。町を愛する人々の想いも感じました。

夕雅と旬彩の宿 せくみ屋 

海と里を感じる「若狭佳日」

小浜にある漁村、阿納は全18軒中14軒が民宿を営むという小さな集落。ここに2023年8月、入江の目の前という絶好のロケーションに「若狭佳日」がオープンしました。もともとは地域のシンボル的な旅館だった建物で、往時の面影を残しつつ、大胆にリノベーションされています。新たな宿を造るために集落が一致団結し、地元の三分の二の住民がプロジェクトオーナーになり、地域を盛り上げています。

 

建物は本館・離れ・別館にある13の客室、蔵(ラウンジ)、外湯の5つの建物で構成されています。客室は海を感じたり、ちょっと隠れ家のような気分を味わったりという和モダンな雰囲気の個性的な部屋ばかり。専用の屋上テラスのある部屋もあります。

左上からラウンジ、外湯、客室

夕食はもちろん若狭の海が育む若狭ぐじ(甘鯛)や若狭ふぐなどの海の幸などを堪能できます。さらに朝食はほっこりするお惣菜の盛り合わせや、小浜の名水の汲み上げ豆腐、鯖の醤油干し、若狭がれいの一汐など。地元のコシヒカリのご飯が進む美味しさです。佳き日が始まる、そんな心にしみる味わいです。

海を見晴らす食事処で朝食

今後は近くの施設での魚さばき体験やふぐの餌やり体験などのアクティビティを検討中とのこと。小さな漁村ならではの滞在が楽しめそうです。

若狭佳日 

 

敦賀、小浜という嶺南の旅、いかがでしたでしょうか? これまでちょっと遠いな、あまりなじみがないと感じていた福井の嶺南が近くなります。知られざる福井の魅力にどんどん近づいてください。

 協力:福井県嶺南振興局 青々吉日 

 

取材・文/関屋淳子

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