ナチュラルワインを愛する人々の間で、いまや世界的な存在となっているのが「RAW WINE(ロウワイン)」です。
これは、自然派ワイン(ナチュラルワイン)の普及と発展を目指して、フランス人女性として初のマスター・オブ・ワインに認定されたイザベル・レジュロンが創設した、世界最大級のナチュラルワインのプラットフォーム。哲学あるワイン造りを支える造り手たちと、それを求める消費者をつなぐ架け橋として、世界各地でフェアやイベントを開催しています。
「RAW WINE」はこれまでに、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、モントリオール、パリ、ベルリンなど名だたる都市を巡ってきました。そして日本には2024年に初上陸。今年で2回目となる「RAW WINE TOKYO 2025」は、5月10日・11日に東京・流通センター第二展示場Fホールにて開催されました。
ナチュラルワインファンで溢れる会場(5月11日の様子)
会場には、世界中から300種類を超えるナチュラルワインが集まり、まるで香りと味わいの世界旅行をするような空間が広がっていました。フランスやイタリア、スペインなど欧州の名だたる生産者たちに混じり、日本ワインのブースも数多く出展。日本酒の寺田本家も姿を見せており、土と向き合う酒造りの奥深さが静かながらも確かに感じられました。
日本のブースも賑わっていた
心に残ったのは、ギリシャ・サモス島のワイナリー「フィリア」のブース。元シェフのヴァシリスさんがお祖父さんから引き継いだワイナリーで、ワインは個性的でありつつも、彼のお人柄そのままにあたたかく、優しく、すっと身体になじむような味わいでした。
フィリアのヴァシリスさん(中央)を囲んで
そして、私が長年惹かれているのが、ワインの故郷ジョージアのナチュラルワイン。
この国には8000年のワイン造りの歴史があり、今なお土に埋めた素焼きの壺(クヴェブリ)で白ブドウを皮や茎ごと自然発酵させる伝統が生きています。その独特の製法から生まれる琥珀色の白ワインは「アンバーワイン」とも呼ばれ、滋味深く複雑な余韻が魅力です。今回のイベントでは、ジョージアからも多数のワイナリーが参加し、日本初お目見えのワインもありました。
アンバーワインの色合いの美しさにうっとり
たくさんのテイスティングをして真っ赤に染めた頬で笑い合う人々の姿。国も言葉も越えて、グラスを交わすたびに生まれる笑顔や会話。ワインが人と人の距離を、こんなにも自然に近づけてくれることに、あらためて心を打たれました。
そしてブースを巡りながら出逢うワインたちは、それぞれが大切に育てられていて、風土の空気や人々の営みと愛情がぎゅっと詰め込まれていました。
また、RAW WINEには“おいしい寄り道”も用意されており、西麻布「葡呑」のふっくらとやさしいお稲荷さん、滋味深いしじみ汁や、逗子「Ginger Beach Inn」のブースでは、香り高いコーヒーや焼き菓子が味わえ、ワインの合間にほっとひと息つける時間が流れていました。
小腹も満たせるイベント会場
ナチュラルワインは、均一ではありません。だからこそ、一本一本にその年の気候や土、造り手の想いが現れ、まるで人と人が出会う時のようなドキドキ感、ワクワク感があります。その“素顔のまま”の味わいに、いつも心を動かされるのです。
いよいよ夏がやってきます。夕暮れどきのテラス、誰かとの語らいの時間に寄り添うのは、ナチュラルワインのような、静かで自由な一杯なのではないでしょうか。
そしてこの夏、7月19日(土)・20日(日)には、私、旅恋アンバサダーでもあるフォトグラファーyOU(河﨑夕子)がプロデュースするナチュラルワインイベントを、葉山・一色海岸の海の家「UMIGOYA」にて開催いたします。主役はジョージアの自然農法で醸されるクヴェブリワイン。太陽と海風に包まれて、夏を味わう夕暮れ時をぜひご一緒に。
ぜひお立ち寄りくださいね
この夏、あなたにも「ほんとうの一杯」との出会いがありますように。
写真・文/yOU(河﨑夕子)