前編ではニューヨーク散策の心強い味方、ニューヨークCityPASS🄬のご紹介をしました。後編ではエンタメ好きにはたまらない博物館やツアーをご案内します。
ニューヨークならではの最新ミュージアム■ブロードウェイ博物館
ブロードウェイミュージカルの本場、タイムズスクエアに2022年オープンしたミュージアム。展示室は3階から1階へと見て歩きながら降りていきます。まずブロードウェイミュージカルの歴史を紹介する映像を観賞後、それぞれの時代を代表する作品の世界観を体験するスタイルになっています。
1943年初演の「オクラホマ!」のトウモロコシ畑、1957年初演の名作「ウエストサイドストーリー」のバーカウンターや指を鳴らしながら踊るダンスの映像。さらに「キャバレー」「ヘアー」「コーラスライン」「エビータ」「キャッツ」「オペラ座の怪人」「ライオンキング」などの衣装や小道具、舞台セットなどの展示が続きます。要所要所ではなりきりスポット(笑)が用意され、ミュージカルの世界にどっぷり浸かれて、大興奮です!
ウエストサイドストーリーの展示と、右:なりきり「CHICAGO」
左上:ヘアーの衣装、右上:エビータ、キャッツ、ラ・ミゼラブル、ミスサイゴンの衣装、左下:ライオンキング、右下:キンキ―ブーツやアラジンのランプなど実際の小道具
さらに興味深いのが、制作の裏側がわかるメイキングゾーン。バックステージやメイク、音響などの舞台裏が紹介されています。なかでも「サウンドオブミュージック」のドレミの歌の歌詞シートにはびっくり。添削の跡があり、あの名曲がこうして誕生したのかと、感動です。
左:ドレミの歌の歌詞シート、右:音響装置の展示
この博物館を設立したのは、トニー賞のノミネート経験もあるプロデューサー、ジュリー・ボードマンと、マーケティングエキスパートのダイアン・ニコレッティ。ふたりは博物館について次のように話します。
左がジュリー、右がダイアン Photo: Eugene Gologursky for The Museum of Broadway
「私たちは大学時代からの友人で、5年前にブロードウェイに関するミュージアムがないことに衝撃を受けました。そこでユニークなインスタレーションと没入型の体験を一度に楽しめるミュージアムの建設に取り組みました。世界的なパンデミックの影響で開業が延びてしまいましたが、かえって良いものに仕上がったと思っています。著名なアーチストやデザイナー、演劇史家の支援を受けて、ブロードウェイの歴史の画期的な瞬間を表現することができました。
18世紀半ばのブロードウェイの始まりから現在に至る500以上のショーを年代順に構成していますから、誰もが楽しめるタイムトラベル。インスタ映えするコーナーもたくさんあります。また1階には有名なセットデザイナーのデビッド・ロックウェルによって、ショーのメイキングを体験できますので、次世代を担う若い方々にも興味を持ってもらいたいですね。最新の展示はミュージカル『six』です!」
ミュージカル好きにはたまらない、お土産品も充実しています。
「six」 Photo: Eugene Gologursky for The Museum of Broadway
映画やドラマの舞台にわくわく!■ニューヨーク テレビ&ムービー ツアー
テレビや映画のロケーションをバスで巡るツアー。集合場所はタイムズスクエアで大行列ができる「エレンズ・スターダスト・ダイナー」(スタッフはブロードウェイミュージカルの卵たちで、彼らが歌って踊る人気のダイナー)の近く。さあ、わくわくしながら出発です。碁盤の目のようなマンハッタンを走りながらバス内ではツアーガイドが様々なロケ地を説明してくれます。
100以上の作品のロケ地になったセントラルパーク、「オーシャンズ8」や「ホームアローン」に登場するプラザホテル、スパイダーマンが高層ビル群を飛び回った後に到着するセント・パトリック教会……。
左:プラザホテル 右:五番街にあるセント・パトリック教会(左側)
そしてグリニッチ・ビレッジの東側にあるワシントンスクエアパークで下車します。ワシントンアーチと噴水が印象的なこの公園も「ゴーストバスターズ2」「恋人たちの予感」「スピード」など様々なロケ地になっています。
ワシントンスクエアパーク
次に到着するのは、「ゴーストバスターズ」の本部、その前にはあの車も! もともと1895年に建てられた消防署だそうで、今も人気の観光地です。さらに、人気ドラマ「フレンズ」のアパートのロケ地へ。ウエストビレッジに実在する煉瓦造りのアパートです。こちらで記念撮影をして「フレンズ」大好きな私は大満足! ツアーは英語での案内ですが、映画やドラマ好きには最高の思い出になることでしょう。
ゴーストバスターズでおなじみの場所も!
「フレンズ」のアパート前で記念撮影
クリエイティブのプロセスを知る■映像博物館
ニューヨークのクイーンズ・アストリアにある映画をはじめとする映像をテーマとした博物館。周辺は多様なカルチャーがミックスされたところで、おしゃれなレストランが多い地区です。1988年に開館し、2011年にリニューアル、白を基調とする明るい館内です。作品の制作過程を紹介したり、歴史的な映像機器や懐かしいブラウン管のテレビ、有名作品のフィギュアやポスターなどが展示されています。
歴史的な映像機器
スタートレックのフィギュアや「エクソシスト」も
展示品も見ごたえがあるのですが、写真のフリップブックを使いストップモーションアニメーションを作ったり、映画のアフレコ(台詞を合わせる)や効果音、BGMを合わせる体験、スポーツの実況に合わせたカメラワーク体験などができ、映画ファンだけでなく、学生や家族連れなど幅広い世代が楽しめます。
左:ストップモーションアニメーション作り 右:カメラワーク体験
特別展として企画されていたのが「ジム・ヘイソン展」。彼はマペットショーやセサミストリートなど、人形のキャラクターが活躍する独自の世界を構築しました。マペットショーのミスピギーや、お馴染みのエルモ、クッキーモンスター、ビッグバードなどが勢揃い。セサミストリートで英語を学んだという人も多いのではないでしょうか。アートと映像の歴史を辿ることができます。
久しぶりのニューヨークは、さすがニューヨークでした。エンタメのメッカではぜひ、劇場にも足を運んでくださいね。ミュージカルはもちろん、オペラやバレエ、コンサートなど、眠らない街で遊び尽しましょう!
取材協力
NYC観光会議局
ブランドUSA
取材・文/関屋淳子