美味しい奈良のオーベルジュ 前編  レトロを味わう! 歴史ある今井町の「農家のオーベルジュ こもれび」 (奈良県・橿原市)

奈良といえば大仏・素麺・鹿…。修学旅行以来、行ったことない…。京都観光のついでに寄る…そんな声が聞こえてきそうですが、それって、本当にもったいない! じつは奈良県は美味しい食材の宝庫。近年は、豊かな味覚を楽しめる料理店が増え、各地に食と宿泊を堪能できるオーベルジュが次々と誕生しています。

タイムスリップ! 今井町の町並み散歩

近鉄橿原線八木西口駅から徒歩約5分、飛鳥川に架かる赤い橋を渡ると、今井町に到着です。今井町は戦国時代に寺内町として建設され、称念寺を中心に城塞都市の形態を整えました。江戸時代には商業都市として栄え、「海の堺、陸の今井」と呼ばれるようになります。

今も東西約600m、南北約310mの地区内には、往時の豪商の建物が軒を連ね、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。まずは、今井まちなみ交流センター「華甍」でマップなどを入手して歩きましょう。ディープに巡りたい方は、ボランティアガイドさんの申し込みを(橿原市観光協会

河合家

中尊坊門跡から町並みに入ると、さっそく酒造業を営んでいた高木家・河合家が見えてきます。河合酒造は約280年の歴史があり「出世男」というプレゼントにぴったりの代表銘柄を置いています。その近く、旧米谷家住宅は金物商を営んでいた旧宅で、雰囲気ある建物。CMのロケ地にもなったそうです。

旧米谷家住宅の縁側

町のかたちは碁盤目状の町並みなのですが、見通しのきかない筋もあり、時々自分が今どこにいるのかわからなくなる不思議な感覚。ぶらぶらのんびり歩いて、西端へ。

ここには城郭風の豪壮な今西家住宅があります。町内の司法権と行政権を担って、お裁きが行なわれたお白州や、罪人を閉じ込めた「いぶし牢」もあります。訪ねたところだけでもすべて重要文化財! そして何よりも豆腐屋があり、床屋がありと、人の暮らしがあるところが素晴らしいのです。町家を活かしたショップやカフェも控えめでしっくり溶け込んでいます。

今井家住宅

カジュアルに町の住人になる

そして今井町の大工町筋にあるのが「農家のオーベルジュ こもれび」。築100年以上の町家を改装し、2019年にグランドオープン。ランチと、宿泊&ディナーが楽しめます。

農家のオーベルジュ こもれび

奈良は、大和丸なすや大和まな、宇陀金ごぼう、大和いもなどの大和の伝統野菜をはじめ、独特で美味しい野菜の宝庫。オーナーの恵良容子さんが、様々な調理法でもてなしてくれます。なにせ野菜の味が濃いので、満足感は抜群! 

「花籠ランチ」(1800円)は、メインは煮込みハンバーグですが、ほかは野菜尽くし。吉野産の柿の白和えや、パープルスイートロード(サツマイモ)のサラダ、わさび葉や赤ピーマン、蓮根などのさくさくの天ぷら、煮物はどれもこれもやさしい風合いで、ほっとできる味なのです。

野菜たっぷり花籠ランチ、デザートも付きます

宿泊は母屋の奥の蔵。秘密基地のようなわくわく感がありますし、歴史ある今井町に泊まるということ自体が素敵! 夕食は、ジビエ料理がおすすめで、オーナーのご主人が田畑を荒らす猪を退治するために猟師免許を取ったとか。12食付き2名利用時ひとり1万円~と、カジュアル&リーズナブル。早起きして早朝の今井町をお散歩してみるのもいいかも、です。

重厚な蔵の扉を開けると、宿泊空間

農家のオーベルジュ こもれび

 

後編は長閑な里山のオーベルジュをご紹介します。

協力:奈良県 食と農の振興部、読売旅行 奈良営業所

 取材・文/関屋淳子

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