星野リゾート 界マーケティング 泉谷晴香さん
皆さん、もうご購読していただいていますでしょうか? 星野リゾートの温泉旅館「界」の魅力を凝縮した「界 111の秘密」(絶賛発売中です!) 旅恋代表の関屋がご縁をいただき、界の全施設を取材し、まとめた一冊ですが、編集担当者はもちろん、フォトグラファー、デザイナーさんなど多くの方のお力をいただきました。そして、なによりも全面協力をいただいたのが、泉谷晴香さん率いる星野リゾート 界マーケティングチーム。今回は、製作過程での裏話を泉谷さんに伺いました。

関屋 あらためて泉谷さんとお話ができること、大変楽しみにしていました。まず、最初に界のムック本ができると聞いたときに、どう思われましたか。
泉谷 界の魅力を「秘密」という形で、星野リゾート創業111周年に合わせて111の秘密で紹介すると聞いたときには、それほど秘密があるのかと、少し半信半疑でした。もちろん担当になるからには、やり切るつもりではいましたが、最初はちょっと不安というのが本音でした。私たち広報担当は、界の魅力について、これも知ってほしい、あれも知ってほしいと発信していますので、全部出し切っているつもりでいたんですね。
関屋 そうですよね。私たちメディアへのプレスリリースもしっかり作り込まれています。
泉谷 施設の開業の際には、ご当地楽はもちろん、ご当地部屋の細部に至るまで私たちの想いをすべてお伝えできるようにしています。またゲストの皆様への想定問答集も施設ごとにあり、いかに施設の魅力を伝えるかということに徹しています。
 
2025年8月にリニューアルオープンした界 箱根のご当地部屋。ウォールアートは三度笠と引廻し合羽がモチーフ
関屋 だからこそ、今回の「秘密」というワードがよかったかなと思っています。今回、あらためて数名の施設のスタッフの方にインタビューさせていただき、まだ誰も気づかない界の秘密がたくさんある!と、確信しました。
泉谷 私は2019年から界のマーケティングで広報の仕事をしていて、界の隅々まで分かったつもりでいたのですが、インタビューに立ち会わせていただき、現地スタッフが水面下で様々な試行錯誤をして施設の魅力を作ってきたのかと、初めて知ることもあり、再認識したしだいです。例えば、界 津軽のご当地楽の三味線のキーを調整している話などは、驚きました。リリース資料やHPでは書ききれない秘密に気づかされました。ですから普段からもっとスタッフと密に話をして、私の引き出しを増やしていきたいと思いました。これからも112、113と、次々と新たな秘密が見つけられそうです。
関屋 スタッフおひとりおひとりが、本当に施設のことを愛していらっしゃるのだなと、強く感じました。ほんとうに感動しました。
泉谷 そう言っていただけると、スタッフも一番の励みになると思います。私も、こういう素敵な仲間たちと一緒に働いているということが、とても誇らしく嬉しく感じています。
関屋 実際の製作の作業で、いろいろとご苦労をおかけしたと思うのですが、いかがでしたか。
泉谷 普段の仕事のボリュームとは異なり、128ページという大作を最後まで集中力を切らさずにしっかり見届ける。これはチャレンジングでしたし、自分が試されていると感じました。ぜったい成し遂げるぞ、という気持ちでした。校正の段階で、20を超える全施設について、あらためて資料を確認するなどの作業が、自分のいい復習の機会になったと思っています。間違って記憶していては困りますから、そこは結構ノリノリの作業でした。また、一冊にまとまったことで、界の基軸が明確になったとも思っていますし、それぞれの施設の特徴が一目瞭然というのも、嬉しいです。社内的にもとても参考になると感じています。
関屋 校正もノリノリでやっていただいたなんて、ありがたいです。完成本を手に取られて、どう感じましたか。
泉谷 表紙がとてもいいというのが第一印象でした。夕暮れ時の温泉で、宿に到着し、夕食前に温泉に入る。周りの風景を楽しみ、どのような食事だろうと想像し、これから始まる滞在に期待する。そんなストーリーが見えてきますね。
関屋 今や星野リゾートの施設の中で、界は施設数が一番多く、日本旅館を牽引する存在です。泉谷さんが考える界の醍醐味はなんでしょうか。
泉谷 界は、ご当地楽やご当地部屋、日本旅会席などに地域の魅力が詰まっているのですが、ともすると気づかずに過ごしてしまうかもしれません。器やクッション、ウォールアートなどにひっそりと控えめに伝統工芸などがちりばめられています。キラキラ輝く高級な宝石ではないので、簡単には見つけられないかもしれません。それでもスタッフの説明に耳を傾けていただき、地域の魅力、日本文化の美を見つけていただくこと、でしょうか。
関屋 界は地域の魅力を深掘りし、次々と発信し続け、本当に進化していますね。2026年は開業ラッシュです。
泉谷 はい、6月に界 草津(群馬県)、夏に界 宮島(広島県)、秋に界 蔵王(山形県)が開業予定です。施設が増えるたびに、発想が広がり自由度が増しているように感じますので、より個性的になっています。生きもののように界が進化していて、私自身、どのように完成するのか心待ちで、ワクワクしています。2022年に界 由布院(大分県)ができたときに、本当に温泉旅館に棚田ができたんだと感動しました。ですから2026年の3施設、さらに界 松本(長野県)も大胆なリニューアルになりますので、忙しいですが、楽しみです。
 
上:専用トンネルがある界 草津のイメージ、施設内には蕎麦割烹も。下左:界 宮島のご当地部屋「海霧の間」、下右:界 蔵王の御釜をイメージしたルーフトップテラス
関屋 プライベートでも温泉へ行かれますか。
泉谷 はい、家族でよく出かけます。温泉地に行くと、ここに界があったら、こんな風景の中で温泉に入って、こんな工芸品を使って……と想像を巡らせてしまいます。家族からは、熱心だね、と一言。それで我に返ります(笑) 日本の温泉文化はやはり素晴らしいです。心から大切にしたいと思います。
関屋 温泉文化はかけがえのない宝物ですね。ぜひ、多くの方に「界 111の秘密」を手に、界を巡っていただき、それをきっかけに日本の津々浦々の温泉地に出かけてほしいと思います。これから温泉が恋しくなる季節ですからね!
星野リゾートの温泉旅館「界」のムック本
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取材・文・写真/関屋淳子


      
      
    
    




