朝ドラ「舞いあがれ!」で話題の離島 初めての五島列島でぜひ体験したいこと (長崎県・五島列島)

大小140あまりの島々からなる五島列島。2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として、世界文化遺産に登録されたことで大きな話題を呼びました。最大の島である福江島は、現在、放送中のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」の舞台のひとつにもなっていて、ますます注目が集まっています。

日本列島の中でも西端に位置することから、遣唐使の時代からアジアとの交流の要所でもあった五島には、今なお、キリスト教や遣唐使にかかわるものなど、その勇壮な歴史を感じさせる施設や建造物が数多く存在しています。そして、なんといっても、五島は美しい海をはじめ手つかずの豊かな自然に恵まれた場所。昨今、旅のデスティネーションとしての人気も高まっていて、個性的な宿泊施設も急増中です。

島外からの移住してくる人も増えているのだとか。また、食の豊かさも五島を語る上で、無視できない魅力のひとつです。──と、前振りだけで、だいぶ長くなってしまいましたが、今回は、「初めて五島を訪れる」という人に向け、五島の基本情報、そして、初めての五島の旅で、ぜひ訪れたい場所、やりたいことを、(筆者の独断と偏見は入りますが……)ご紹介しましょう。

そもそも五島の島は5つじゃない!

五島列島は大小150あまりの島々で構成されています(ちなみに日本で一番島の数が多いのが長崎県で、その数は971にも及ぶそうです)。そして、そのなかに、「五島」という名前の島はありません。「五島」という名称は、中通島(なかどおりじま)、若松島(わかまつじま)、福江島(ふくえじま)、奈留島(なるしま)、久賀島(ひさかじま)という5つの大きな島で構成されていることに由来します。

五島列島のなかで、いちばん大きく、人口が多いのが、五島市がある福江島です。福江空港(五島つばき空港)や福江港があり、五島列島の玄関口でもあります。福江空港へは、長崎空港と福岡空港から、ANA(全日本空輸)とORC(オリエンタルエアブリッジ)のコードシェア便が運航しています。

まずは美しい海を愛でる

海に囲まれた立地なだけに、美しいビーチにはこと欠きません。なかでも、「日本の渚・100選」、「日本の水浴場88選」などにも選ばれていて、屈指の美しさを誇るのが、福江港や福江空港から車で約40分の場所にある「高浜海水浴場」です。海と空のブルーと、白い砂浜のコントラストにしばし見惚れてしまいます。遠浅の美しい海で、夏場ならばしゃばしゃと泳ぎたいところですが、白い砂浜をのんびり歩くだけでも心が癒されます。海水浴シーズンでなくても、訪れる価値あり、です!

海に囲まれた五島列島には、ほかにも美しい海が望める場所がたくさん! まあ、言ってしまえば、どこから見ても、五島の海はきれいなんですけどね(笑)。ぜひお気に入りの場所を探してみてください。

高浜海水浴場
住所:長崎県五島市三井楽町貝津1054-1
*海水浴場開設期間は7月中旬~8月下旬
アクセス:福江港・福江空港から車で約40

潜伏キリシタンの歴史を垣間見る

五島といえば教会、という人も多いのではないでしょうか。五島に足を運んだからには、潜伏キリシタンの歴史を現在に、そして、未来につなぐ教会などの資産は、ぜひ訪れてみたいところです。

1549年に、フランシスコ・ザビエルによって日本に伝来したキリスト教が、五島に伝えられたのは1566年のこと。フランシスコ・ザビエルが上陸してから17年後の出来事でした。五島の領主の病気を癒すために、宣教師が訪れたことがきっかけだったのだとか。その後、江戸幕府によって、禁教令が発せられると、五島列島には、多くのキリシタンが移り住み、弾圧のなかでも信仰を守ってきました。

五島には、今なお美しく厳かな教会をはじめとする、潜伏キリシタンの歴史が色濃く残る資産がいくつも点在し、その一部は、世界遺産に登録された、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺跡」の構成遺産となっています。

頭ヶ島天主堂

五島では、現在でも人口の12割がカトリック信徒と言われています。なかでも五島列島の北部を占める上五島(新上五島町)は、「祈りの島」とも呼ばれる場所。29の教会があり、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産も有しています。そのひとつである「頭ヶ島(かしらがしま)天主堂」は、全国でも珍しい石造りの天主堂を有しています。建設資金が乏しかったため、近くの砂岩を利用して建てられたのだとか。竣工は1919年。数々の教会を手がけてきた、建築家・鉄川與助によるものです。

桐教会

1897年に中五島最初の小教区として設立されたのが、「桐教会」です。現在の教会堂は、1958年に建てられたもの。小さな漁村の高台に位置し、オレンジ色の屋根が印象的です。

頭ヶ島天主堂
住所:長崎県南松浦郡新上五島町友住郷頭ヶ島638
アクセス:有川港から車で約20分、頭ヶ島停留所から徒歩約5
頭ヶ島天主堂の見学は(個人・団体問わず)事前連絡が必要
連絡先:長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター
電話番号:095-823-7650(前日より0959-42-8118)受付時間:9:3017:30
*事前予約可
拝観料・入場料:無料 内覧時間:9:0017:00

桐教会
住所:長崎県南松浦郡新上五島町桐古里郷357-4
拝観料・入場料:無料 内覧時間:9:0017:00
*ミサ、冠婚葬祭時など、不定期で閉まっている場合あり
アクセス:奈良尾港から車で約10

五島随一のラグジュアリーホテルが誕生!

とびきりラグジュアリーなホテルや、五島の美しい海に面したワーケーションにおすすめのホテルなど、ここ数年、五島には個性的な宿泊施設が続々開業しています。

なかでも「五島リトリートray」は、2022830日に福江島にオープンした、ラグジュアリーホテル。ホテル好きの間では、すでに話題になっています。同ホテルのコンセプトは「祈りの島、光の宿」。ロビーに入った瞬間、正面に広がる海にしばし言葉を失います。背景の海と見事な調和を奏でる窓は、五島の教会建築から着想を得ているそうです。

客室は、全26室、すべてがオーシャンビューで露天風呂付。目の前には、絵画のような美しい風景が広がります。一度、部屋に入ってしまったら、出たくなくなること間違いなしです。今度はぜひここで時間を気にせず過ごしたいと、再訪を誓いました。

五島リトリートray
住所:長崎県五島市上崎山町2877

移住者が営む場所で、五島の「今」を体感する

地方の過疎化が問題となっている時代ですが、五島への移住者は年々増えているそうです。島そのものの魅力に加え、移住者への支援も手厚いんですって。

そんな五島には、移住者が手がける、魅力的な施設がいくつもあります。福江空港から車で20分強の場所にある私設図書館「さんごさん」もそのひとつ。東京から移住してきた大島健太さんが切り盛りする施設です。小さな港町にあった築80年の古民家を、リノベーションした建物はさまざまな意匠が施されていて、建築雑誌にも取り上げられるほど。

で、こちらの図書館、島の人、島外の人、有名人、そうでない人問わず、さまざまな人が、「人生の3冊」を選び、寄贈した本で構成されています。それぞれの本には、寄贈した人の名前や選んだ理由が記された紙が栞のように挟まっていて、それを読むだけでもあっという間に時間が経ってしまいます。本の持ち出しはできませんが、利用は無料。帰路につく頃にはきっと、自分だったらどの3冊を選ぼうかと思考をめぐらせていることでしょう。

ちなみに、「さんごさん」のすぐ近くには、やはり移住者が営んでいるという、ガレット屋がありました(その日はすでに閉店していては入れなかったのですが、次回はぜひ訪れてみたいです)。

さんごさん
住所:長崎県五島市富江町富江280-4
営業時間:金曜日~月曜日 11:0017:00
*営業時間は変更する場合があるため、事前にSNSで確認を

五島市の年間平均気温は約17度と比較的温暖。1年中、ベストシーズンといってもいいんじゃないでしょうか。そして、新鮮な海の幸や希少な五島牛、日本三大うどんのひとつに数えられる、五島うどん、さつまいもで作る郷土菓子かんころ餅など、五島は美味しいものの宝庫。胃袋がいくらあっても足りません! ダイエットは家に戻ってから! とばかりに、五島ならではの美食も存分に楽しんじゃいましょう。

取材・文/長谷川あや

フリーライター。ホテルやグルメ、お酒、エンタメなど、ライフスタイル系を中心に執筆。趣味はミュージカル観劇。好きな作品と推しのためなら遠征も厭わない。最近は、コロナ禍で目覚めた愛犬との旅に夢中。

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