【今、ここに注目!その2】開業後に見えてきた、旅人の“本当のニーズ” 「OMO関西空港 by 星野リゾート」にバゲージルームが生まれた理由

(写真提供:星野リゾート)

 

関西国際空港にほど近い「OMO関西空港 by 星野リゾート」。
空港がすぐそばにあるロケーションや、旅の気分をぐっと高めてくれる空間づくりで人気のホテルですが、その裏側には“旅人のリアルな声”から生まれた小さな進化があります。
今回は、今では多くのお客さまに欠かせない存在となっている「バゲージルーム」が誕生した舞台裏をご紹介します。

 

想定外だった「荷物預かり」の圧倒的なニーズ
開業前、OMO関西空港が思い描いていたのは、お客さまが空港とホテルを往復するシンプルな導線でした。
「空港を利用するお客様が、荷物を預けるケースは少ないだろう」――。
そうした読みのもと、当初は荷物を預かる専用スペースを設けていませんでした。

しかし、フタを開けてみると、その想定は大きく外れます。
チェックイン前の時間帯、フロントに旅行者が荷物を抱えて訪れ、一時預りを希望するケースが非常に多かったのです。

特に、OMO関西空港から徒歩10分ほどのところにある「りんくうプレミアム・アウトレット」へ向かう人の割合は想像以上。チェックアウト後も「荷物を預けて買い物に行く」という行動が多く、「荷物預かり」のニーズは明らかでした。
ホテルではすぐにフロントでの荷物預かりを強化しましたが、「専用のスペースが必要だ」という思いが高まっていきました。

 

そして誕生した、旅人のためのバゲージルーム
こうして2024年11月に、「バゲージルーム」が誕生しました。

バゲージルームのエントランスも空港をイメージ(写真提供:星野リゾート)


単なる“荷物を預るスペース”で終わらないのが、「空チカ、ファンタイム」をコンセプトに掲げるOMOらしいところ。室内には“旅の準備”がより快適になる機能や、利用者の気分が高まるような仕掛けがいくつも盛り込まれています。

計測器とパッキングエリア


なかでも特徴的なのが、「計測器」と「広々としたパッキングエリア」です。
計測器は荷物の重量をその場でチェックできるため、空港で荷物を預ける際の“重量超過の不安”を軽減してくれます。もともとフロント前にも計測器を設置していましたが、利用が非常に多かったため、バゲージルームにも欠かせない設備とされました。
また、大きなスーツケースを開いてパッキングし直せるパッキングエリアも用意。
計測の結果、重量オーバーとなってもその場でバランスを調整できるほか、出発前の荷物の整理にも便利です。

さらに、空港好きの心をくすぐるデザインを施したインテリアがアクセントに。
「機能的なのに遊び心がある」――OMOらしい“ファンタイム”が息づいた空間になっています。

ロッカーには、飛行機のメンテナンスに使用する工具のイラストや空港コードがあしらわれている

 

 

半年で見えた利用傾向、そしてさらなる進化へ
バゲージルームは誕生後、すぐに人気設備となりましたが、使われ方を分析していくと、さらに興味深い傾向が浮かび上がってきました。

それは――「大きな荷物から埋まっていく」 という事実。

チェーンロック付きのスペースや大型荷物用ロッカーが先に埋まり、小さなロッカーには比較的余裕があるという状況が見られたのです。
これは海外旅行者が多い関空エリアならではの特徴で、特大サイズのスーツケースを持つ旅行者が多いことが背景にあります。国内の都市型ホテルとは異なり、求められる収納の種類がまったく違っていたのです。

写真下部がチェーンロック付きのスペース。ここから埋まることが多い

こうしたデータをもとに、OMO関西空港では、さらなる改善に踏み切ります。
2025年7月に、収納スペースを 240個から427個 へと大幅拡充。
単純に数を増やすだけでなく、小型ロッカーを減らし、大型スーツケースに対応するチェーンロック付きスペースを増やすといった、実際の利用状況を反映したレイアウト変更を行いました。
「必要なものを、必要な人に届ける」。
その姿勢が形になったアップデートだと言えるでしょう。

 

 

旅の前後にこそ、“良いホテル体験”は生きる
旅には“空白の時間”があります。
フライト前の数時間、帰国後のひと息――。その時間に、OMO 関西空港では「もっと自由で、もっと快適に」過ごせる空間を提供したいと考えています。
バゲージルームの誕生と進化は、その象徴ともいえる存在です。

滞在する部屋だけでなく、館内の動線や荷物の扱いまで含めて“おもてなし”をデザインする。それがOMOらしさであり、旅人がこのホテルに惹かれる理由なのかもしれません。

 

(写真提供:星野リゾート)

今日もまた、旅行者が大きなスーツケースを預け、身軽な姿で街へと出かけていきます。
その背中を見守りながら、OMO関西空港はこれからも、旅人の“こうだったらいいな”に寄り添ったホテルであり続けます。

 

→こちらの記事もご覧ください
第126回 旅の出発の前や後に、「OMO関西空港 by 星野リゾート」でプチリゾート気分(大阪府・泉佐野市)

 

取材・文:川崎久子


 

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