ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

第53回 前橋でアート散策。これで来年開催の芸術祭の下見はばっちり!? (群馬県・前橋市)

前橋は新幹線停車駅の高崎駅からJRで約15分の場所にあります。県庁所在地ですが、他の多くの地方都市と同じく1990年代後半から衰退が続き、シャッター通りなども目立つように。そこで、2016年から再開発プロジェクトが進められ、現在では特にアートの街として知られるようになりました。そして、来秋には「前橋国際芸術祭2026」の開催が予定され、最先端のアートにふれられる機会として注目を集めています。 

そこで、前橋のアートスポットの下見をしてきました!

まずは、大阪・関西万博の大屋根リングの設計で知られる藤本壮介氏による「白井屋ホテル」へ。創業300年の老舗旅館が、間取りもデザインもすべて異なる客室25室のホテルへと2020年に生まれ変わりました。馬場川通りに面した新館は緑の丘状、表通りは個性あふれる外観です。美食を堪能できるメインダイニング「ザ・レストラン」(ザ・レストランの詳細はこちらへ ※内容は掲載当時)のほか、カフェダイニング「ザ・ラウンジ」や「ザ・パティスリー」なども併設しています。

前橋駅から徒歩約15分の白井屋ホテル

白井屋ホテルからすぐの場所にあるのが、キューブ状の小さな部屋を少しずつずらした積み木のような独特な外観を有する「まえばしガレリア」です。テラスとキッチン付きのレジデンス&ホテルがあり、1階にはギャラリーとレストランを併設。東急プラザ原宿「ハラカド」の設計者のひとり平田晃久氏によるものです。

ギャラリーが休廊日で入れなかったのが残念

「アーツ前橋」は、まえばしガレリアから徒歩5分の場所にあります。2013年に開館した市立美術館で、ネットのようなアルミパンチングの外観が目立ちます。ミュージアムショップやカフェ、エントランスがガラス張りなのが、「まちとつながる」というテーマ通り、シームレスなのが親しみやすいです。前橋市ゆかりの作家のコレクション展や現代アートなどの企画展などを開催しています。

 アーツ前橋にて、20251221日まで
「ゴースト 見えないものが見えるとき」展開催中

文学好きの方は「前橋文学館」や「萩原朔太郎記念館」へ。「萩原朔太郎記念館」には、詩人・萩原朔太郎が使用していた書斎や土蔵などが移築復元されています。

 前橋文学館(上)と、向かいにある萩原朔太郎記念館(下)

他にも、明治17年に迎賓館として誕生した「臨江閣」や、昭和3年築のスクラッチタイル張りの群馬県庁昭和庁舎、大正2年に建築されたかつての生糸担保倉庫である「旧安田銀行担保倉庫」なども興味深いスポットです。

 明治天皇や大正天皇らが使用された臨江閣

なお、通常内部非公開の「旧安田銀行担保倉庫」、アーケード街「中央通り」「弁天通り」にあるギャラリースペース「Maebashi Works」や「ya-gins」、画家・近藤嘉男の自宅兼アトリエであり、国の有形文化財登録の「広瀬川美術館」などを使った街なかアートフェス「River to River 川のほとりのアートフェス2025」が2025年1018日から119日まで開催中です。

 住宅街にある旧安田銀行担保倉庫

ほかにも、街をぷらぷら歩いていると、これはアートなのか?オブジェ?それとも趣味のもの?という気になる物や建物を続々と発見できるはずです。閉店している店舗も多く、寂しいイメージは否めませんが、Uターンの若い方がオープンさせたおしゃれカフェや雑貨店も点在しており、昔ながらの商店と共存するなど気になるスポットもありました。

 閉館したビルの前に「ぐーちょきぱー」の巨大なオブジェ!(上)

 広瀬川河畔の岡本太郎のパブリックアート

今回ご紹介したスポットは基本的に徒歩圏内ですが、レンタサイクルもあるので自転車で巡るのも楽しいと思います。前橋へ足を運んでみてはいかがでしょう!

前橋国際芸術祭2026
2026919日(土)~1220日(日)
https://maebashi-biennale.com/ (20266月頃に詳細発表予定)

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