ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

第42回 南極に行ったネコがいた!? 国立極地研究所 南極・北極科学館(東京都・立川市)

南極のコウテイペンギン。
旗は、移動時に氷の割れ目や海氷の盛り上がりがないかなど、
安全なルートの目印として立てられる
写真提供:国立極地研究所 ※画像の転載・コピー禁止

南極、北極にどんなイメージがありますか? 南極にペンギン、北極にホッキョクグマそして、寒いところ。たしかに正解です。

気温を見ても、昭和基地のある南極沿岸部は年平均気温はマイナス約10℃、そして内陸にあるドームふじ基地は年平均気温はなんとマイナス50℃以下!

このような酷寒の地はいったいどんな所なのでしょう。それを知るため、立川にある「国立極地研究所」の広報展示施設「南極・北極科学館」へ行ってきました。

右上付近に、1957年に開設された昭和基地がある。夏の時期は隊員約100名が過ごす

館内ですぐ目に入るのが、巨大な南極大陸の地図。南極大陸は面積約1,390万㎢と日本のほぼ37倍もの広さ! この広い南極に、4つの観測基地を持つ日本、アメリカ、イギリス、ロシア、フランスなど世界各国の基地があり、情報交換しながら気象や生物、環境、宇宙などの調査が行われています。

館内に入ると、「歴史」コーナーには、あのタロ・ジロも引いた?犬ぞりや雪上車、南極へ物資や食料などを運ぶ南極観測船の模型などが展示されています。

1968年~1969年に実際に南極点と昭和基地を往復した雪上車

静かに佇むのが南極越冬ネコのたけし。第一次南極観測隊で南極に渡り、昭和基地で隊員にとても可愛がられ、その後、無事に帰国を果たしたそう。

「たけし」の姿を再現したフェルト人形

「大気・氷」コーナーでは、氷床を3千mの深さまでくり抜いて行う環境変化の調査や、上空の大気の状態やオゾン量の分布の測定など、実際に使われていた機器やパネル展示を通してどのように観測しているか、何故観測が必要なのかなどを解説。南極、北極で進む温暖化は、世界中で起こっている異常気象の原因のひとつとされています。その影響やメカニズムを明らかにするための研究が日夜行われているのです。

<南極観測隊のブログで日々の活動を発信中!>
https://nipr-blog.nipr.ac.jp/jare/

高層気象観測用ラジオゾンデや、厚い氷を掘削するカッターやドリルなど

生物エリアには、コウテイペンギンや孵化直後のヒナなど、南極の動物たちの剥製がずらり! 長さ1mを超える魚・ライギョダマシ、タコやヒトデなどの標本もあり、海の中も含めると南極には意外と多くの生き物が生息しているのに驚きます。


ホッキョクグマの体長は約2~2.5m。牙もツメも鋭い!(右)
屋外には、初期の南極観測で活躍したカラフト犬のブロンズ像(左下)

他にも昭和基地の実寸大の部屋の展示や、実際に南極・北極圏で撮影されたオーロラ映像を見られるオーロラシアターなどがあり、見どころたっぷり。何より凄いのは、ここで展示されている展示品はほぼすべてが本物なこと。南極で数多く発見される岩石や隕石、南極から持ち帰った氷まで見られます。

南極や北極は私たちが簡単に行ける場所ではありませんが、ここは入場無料で気軽に行けて学べる魅力たっぷりの広報展示施設なのです。

国立極地研究所 南極・北極科学館

https://www.nipr.ac.jp/science-museum/

◇おひとり様ポイント◇
一部を除き撮影OKなので、剥製や雪上車とツーショット自撮りするのも楽しいですよ。

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