あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

「ただいま」と言いたくなる宿 中棚荘(長野県・小諸市)

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中棚荘は島崎藤村ゆかりの宿として知られる一軒宿です。藤村が新婚時代を含め足かけ7年にわたり、足しげく通った宿で、『小諸なる古城のほとり』を執筆した客室が残っています。約110年という歴史が感じられる落ち着いた佇まいの部屋は、今も宿泊客に親しまれています。この宿にはちょっとしたエピソードがあり、「藤村ゆかりの宿」の名を掲げていることから、若い女性が「ふじむらゆかりさんって、誰ですか?」と言って訪ねてきたというもの。強烈なエピソードとともに、個人的にも関屋の忘れられない宿のひとつとなっています。



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この宿を語るときに欠かせないのが女将の富岡洋子さんの存在。洋子さんは宿の隅々にまで気を配り、お客様をもてなすことに力を惜しまず、笑顔を絶やしません。土蔵のギャラリーでは陶芸展や俳句展などを行い、コンサートやハイキングなどのイベントを積極的に行ない、宿が文化の発信地になることを常に意識しています。ご本人は愛車のバイクで気分転換にツーリングを楽しむというアクティブな一面があり、私は一度でこの素敵な女性にほれ込んでしまいました。

ご主人の正樹さんは5代目の宿主。自家畑で野菜を育て、10余年前からはワイン用のブドウ栽培も行ない、ソムリエの資格まで持つというつわもの。周辺の醸造所に依頼しシャルドネとメルローの中棚ワインを造り、料理とともに供しています。穏やかな風貌とは異なり、いずれは自身の醸造所を持ちたいと、少年のようなキラキラした目で語ってくれました。

信州フードとオリジナルワイン、そして美肌の湯

関西出身の料理長が作り出す料理は素材の味が伝わる薄味で、季節感あふれるもの。とれたての野菜や信州牛、手打ち蕎麦などがいただけ、これがオリジナルのワインとぴったり。贅を尽くすのではなく、美味しいものを美味しく丁寧に仕上げているという印象の料理です。別注では馬刺しもいただくことができます。




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温泉はなめらかなアルカリ性の単純温泉。露天風呂はかけ流しで、少しぬるめ。じっくり湯浴みすると肌がつるつるとなる美肌の湯です。

内湯では10月から5月初めまでリンゴを浮かべる「初恋りんご風呂」となり、浴室に甘い香りが漂います。信州ならではの贅沢といえるでしょう。



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登録有形文化財の「はりこし亭」

この宿には「はりこし亭」という食事処があり昼食の利用などができます。登録有形文化財に指定される土壁と欅を中心とする純木造建築の旧家で、築年は140年以上。大きな梁と柱、どっしりとした佇まいが、心地よい空間です。こちらで結婚式を挙げることもできるそうです。こちらではそば打ち教室なども開催されています。


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中棚荘には富岡夫妻や元気なスタッフのほかに、愛されるキャラクターがたくさんいます。犬のチビ、山羊の親子、合鴨たち、そして亀......。

玄関横の居心地のよい中庭で寛いでいると、人懐っこいアイドルたちが次々と登場します。「ああ、またここに戻ってこよう!」と思わずにはいられない雰囲気に包まれるあたたかい宿です。

(取材・執筆:関屋淳子)


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住長野県小諸市古城中棚℡0267-22-1511 料12食付きひとり1700円〜。チェックイン14時、同アウト11時。27室。


中棚荘


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